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印刷技術を加味した折込広告の可能性としての3つのイノベーションの中から「(3)1軒1軒に1枚1枚、違う広告を届ける」について解説する。
前回 を受けて、印刷技術を加味した折込広告の可能性としての3つのイノベーション
(1)平面の広告を立体にし、情報量を増やす
(2)遊び感覚の広告で集客を促進する
(3)1軒1軒に1枚1枚、違う広告を届ける
の中から「(3)1軒1軒に1枚1枚、違う広告を届ける」について、折込広告文化研究所 鍋島裕俊氏が解説する。
一般的な新聞折込広告は、広告主の商品並びにサービスの販売促進メッセージを、同じ版で印刷し、新聞販売店で新聞に挿んで読者に届ける。同じ広告主で多店舗展開している場合、店名差し替えや日替り特売商品の差し替えもあるが、版の差し替えで対応している。
版の差し替えで際立って面白い手法は、スプリット・ラン・テストという方法で、事例として「ロート製薬」の「ディーナ」という化粧品(クリーム)広告を紹介する。それは4種類のデザインの違う広告が一つの梱包(サイズB4の場合は2000枚)の中に互い違いに刷られており、仮に4軒隣で同じ新聞を購読していれば、4軒ともデザインの違う「ディーナ」の広告が配布されることになる。
下記サンプルをご覧いただきたい。
4軒ともデザインの違うスプリット・ラン・テスト例である。
※写真をクリックすると拡大します。
デザインを決めるマーケティングで使われる手法で、どのデザインが生活者(読者)のレスポンスが高かったかを問う方法だ。
類する考えで、仮に5万枚の折込広告があったとする。5万枚の一部分の内容を変え、違う広告に刷るには、費用を考えるだけでも不可能に近いものがある。否、あった。
2012年9月、東京ドームホテルで、K社とT社による合同記者会見及び実機デモ公開が行われた。オフセット輪転機にインラインインクジェットユニットを導入し、チラシの付加価値をさらに高めるシステムだ。
※左:チラシ全体例 右:可変印字例
次回 2/22は、デジタル印刷バリアブル可変情報を印刷した折込広告の活用について言及する。
(JAGAT 教育コンサルティング部 小須田紀子)
●● 鍋島裕俊(折込広告文化研究所) ●●
1950年、佐賀県佐賀市に生まれる。
1980年に朝日新聞社系の折込広告会社に営業で入り、その後、出版、マーケティングを経て、現在、メディアの方向性を考えるマーケティングセクションに所属。
折込広告全国大会の分科会やセッションのプロデュースを担当(2000年の横浜大会、2008年の東京大会、2010年の東京大会、2012年の東京大会)。
研究テーマは、①折込広告の全般研究、②折込広告史の研究、③新聞販売店のイノベーション研究など。特に新聞販売店のイノベーション研究は、2011年9月から早稲田大学ソーシャルアントレプレナー研究会で新規講座を開催している。
折込広告に関する過去の著作は、「商業界」「食品商業」「宣伝会議」「販促会議」「物価資料」などに掲載。
Facebookアドレス:http://www.facebook.com/hirotoshi.nabeshima
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