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デジタル印刷バリアブル可変情報を印刷した折込広告の活用について言及する。
前回 を受けて、デジタル印刷バリアブル可変情報を印刷した折込広告の活用について、折込広告文化研究所 鍋島裕俊氏が解説する。
2013年1月5日は、日本で初めての可変シリアルナンバーが刷られた抽選券付き広告が新聞朝刊に折り込まれた日だ。
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前回 、この場で、デジタル印刷バリアブルで可変情報を印字する折込広告の活用の一例として「店名差し替え」や「日替わり差し替え」について紹介したが、やはり可変でインパクトある直接的な送客(集客)効果を高める手法は「シリアルナンバーを印字した抽選券」だ。
2013年の正月の新聞折込広告を集めて眺めて見ると、お年玉イベントが業種業態を問わず実施されている。「福袋」「千本くじ」「ガラガラポン」などで、店頭での参加型や買い上げ金額レシートによる抽選なども折込広告の紙面内容で告知している。
実例を2つ挙げる。
※左:「ロッテ葛西ゴルフ」例 右:「眼鏡市場」例
1つは「ロッテ葛西ゴルフ」の「謹賀新年」広告。1月2・3・4日限定で、「お手持ちの千円札をご覧下さい!」下4桁が「2013番」であればA賞で、葛西ゴルフで使える5000円プリペイドカード、下2桁が「25番」であればB賞で、コアラのマーチ福袋プレゼント。手持ちの千円札を抽選券(応募券)に応用するなど発想が面白い。
2つめの「眼鏡市場」の「お年玉キャンペーン」は小売業の良くあるパターンで、メガネ一式お買上げが条件で抽選ができるという手法。
催事の告知はあっても、配布した広告そのものが抽選券という手法は、今回のような可変シリアルナンバー印字の有無に関係なく、これまで新聞折込広告では取り扱われてこなかった。ポスティングでの取り扱いは問題がないが、新聞折込広告は器である新聞の販売に関する内規があり、新聞販売公正競争規約で「抽選券」「応募券」「無料券」が記載されている広告が折り込まれた場合、その特定の新聞のみが優位性を確保したことになるので公正なる競争と考えられない、ゆえに禁止事項になっていた。
今回の可変シリアルナンバーが刷られた抽選券付き広告が可能になった背景は、①広告を発信する企業は必ず公開サイトを持っているのでイベント情報を開示すること、②誰でも広告の現物を入手できる環境を作り、参加させること、③新聞購読者の減少、メディアの多様化による折込広告の減少の中、一枚でも広告を増やす仕掛けと考えられたことだ。
今までに無いデジタル印刷バリアブルの可変情報を印字した新聞折込広告は始動した。とりあえず広告現物を手に持って参加する仕掛けが始まった。しかし、これからは紙を入り口にモバイル(スマホ)との連動による仕掛けが、よりインパクトある効果を生み出すことになるだろう。次回最終回(3/12掲載予定)は、その可能性に言及する。
●● 鍋島裕俊(折込広告文化研究所) ●●
1950年、佐賀県佐賀市に生まれる。
1980年に朝日新聞社系の折込広告会社に営業で入り、その後、出版、マーケティングを経て、現在、メディアの方向性を考えるマーケティングセクションに所属。
折込広告全国大会の分科会やセッションのプロデュースを担当(2000年の横浜大会、2008年の東京大会、2010年の東京大会、2012年の東京大会)。
研究テーマは、①折込広告の全般研究、②折込広告史の研究、③新聞販売店のイノベーション研究など。特に新聞販売店のイノベーション研究は、2011年9月から早稲田大学ソーシャルアントレプレナー研究会で新規講座を開催している。
折込広告に関する過去の著作は、「商業界」「食品商業」「宣伝会議」「販促会議」「物価資料」などに掲載。
Facebookアドレス:http://www.facebook.com/hirotoshi.nabeshima
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