地震に備えた印刷機の設置

2010 年 8 月 11 日

阪神大震災クラスの地震があったときのことを考えると印刷機は固定したほうがいいのでしょうか。

 

 

ある印刷会社の経営者によると印刷機を固定して設置すると強い揺れがくると印刷機は傷みやすくなる。ですから、固定しないで地震の揺れに応じて機械が動いたほうがいいという考えもあります。ただ阪神大震災クラスの揺れがくると機械がずれて間に人が挟まれたら危険です。そこをどう考えるか、オペレータに危害を加えるようなことは最低限避けないといけないので固定するという考え方もあるようです。それによって機械が壊れても人命を優先と考えるのが妥当かもしれません。

 

ロス率の考え方

2010 年 6 月 30 日

印刷で使用する用紙とインキのロス率はどうやって把握したらいいのでしょうか。

 

 

 

一般的な考え方の一例として、各社独自に実績から積算資料「印刷料金」(財団法人経済調査会編)と同様の方法を用いることもあります。

 

実績から、標準予備率表を作りこむ場合

 ○難易度設定

  作業条件

・通しヤレ(黒損紙、白損紙)を利用するか、本紙のみか。

・印刷機の安定性や、オペレーターの技能

 仕事内容

・用紙の特性

・絵柄の重さ

  要求品質

・見当精度

・色調

以上から、難易度を設定

 ○基本数量

  立ち上げに必要な最小枚数:a

  刷出し(見当・色調合わせ)回数:b

  チョコ停(ブラン洗浄、汚れ取り・・・):1回/C

    予備率計算 = a×(b+通し数÷C)× 難易度

     ※抜き取りチェック、提出見本、後加工予備なども別途に必要

○インキロス率

インキロス率は、作業終了後に、壷に残る必要最小量とローラーに巻かれている量といえます。従って、印刷機のサイズによって決まる。一般的には、菊全機で200300gといわれています。

 *インキの場合、ロス率より、マイレジ(1㎏あたり何枚刷れるか)が重要です。

簡単な文字物の8,000枚/㎏から、ベタで500枚/㎏等、幅広いです。印刷機・用紙・絵柄・インキの組み合わせで、実績から割り出す必要があります。

色見本

2010 年 6 月 14 日

12年前に購入してキャビネット内に保管している印刷見本帳の「色」は信頼できるものなのでしょうか。

 

 

おおむね、信頼できると判断しても良いと思います。日光や照明を遮断している環境で保管していれば、原則的には大丈夫です。ただし、インキの性状から湿度やその他の化学物質(溶剤を含む接着剤など)が保存環境にあると変化しますので、乾いた「無臭」の環境であればベストです。

管理法としては、印刷・加工後にベタパッチで色彩(L*a*b*)値を計測・添付しておき数年後に使用する際に再計測して⊿E値を測ると良いでしょう。その際の色差が自社基準または⊿E=23以内であればよいでしょう。濃度では「印刷原稿用」の色としての管理は難しいので「色彩」を測っておいたほうがいいでしょう。

圧胴の汚れ

2010 年 5 月 19 日

1胴目から4胴目になるほど圧胴のよごれが目立ってきますがなぜでしょうか。

 

 原因はいくつか考えられます。現場ではよくあることで、こうした場合にする対策としては次のことが考えられます。

①インキの乳化:水上げ量をできるだけ少なくする。

②エッチ液の不適合:PH5.5に調節する。又はエッチ液を変えてみる。

③インキを盛りすぎ:必要以上にインキを出さない。高濃度インキに変えてみる。

④インキのタイプを変えてみる。インキには低速用700回転以下、中速用1000回転まで、高速用13000回転まで、超高速用16000回転までと分かれています。

日頃印刷している回転数にあったインキを使用することをお薦めします。

接着剤のムラ

2010 年 4 月 23 日

背糊接着状況で接着にムラがでることがありますが、このようにならないようにするにはどうしたらいいのでしょうか。

 

 

 

さまざまな原因でホットメルトの塗布ムラが発生します。

 

①ホットメルトの温度低下。

 ホットメルトが粘度が低く(硬く)なると、ローラーへのホットメルトののり方が変わり、ムラになります。

対策:温度管理をきちんとする事です。

 

②塗布量の低下。

 糊ローラー、ドクター、スピンナーの設定不良の場合、塗布ムラが発生します。

対策:糊ローラーに充分にホットメルトが乗っていること。スピンナーで均一にする。

 

③表紙との接合不良。

 仮付けドラムやプレスの設定が悪いと、ホットメルト層と表紙に隙間ができます。

対策:表紙ときちんと接合させる。

 

④糊ローラーとスピンナーの間に異物が挟まる。

糊ポットへの供給不足。バインダーの停止時の本。この様な場合にも、塗布ムラが発生することがあります。

 

ドライダウン

2010 年 4 月 6 日

印刷直後から印刷濃度(膜厚)が急激に減少しその後なだらかに減少しますが、ドライダウンの過程で、一般的にカラーバランスはどのように変動するのでしょうか。

 

 

ドライダウンの過程でインキ膜厚が下がるので「色は変わります」。ただし、インキ各色の性状、湿し水の量、用紙の性状、刷り順によりドライダウンの進行速度、濃度変化は異なりますので、一様には判断できません。実際の仕事の場面では、乾燥→加工へ回す時間内でドライダウンは終了していると判断し、色のバランスを評価しても良いかと思います。

極論すれば、印刷時の色コントロールは、乾燥後(ドライダウン後)の仕上がりを想定して印刷することになります。これは実際に機長さんが経験により行っている実務です。

一般的には塗工紙<マット・上質紙、IPA5%<15%の方がドライダウンが大きくなります。当然、ベタ部、シャドウ部が多い等という絵柄によっても影響を受けます。機械のデフォルト値が使えない理由はここにもあり、自社の機械・用紙・インキで刷ったものからデータを抽出することで、ドライダウンやトラッピングドットゲイン値が折り込み済みという考えになるからです。従って、グレーバランス等もドライダウンが大きいものは適正グレーバランスになるよう印刷時の色判断が必要となります。

 

メンテナンス

2010 年 3 月 19 日

印刷会社の技術力を維持するために必要なことにはどんなことがあるでしょうか。

 

 

 

最近発表されている印刷機は高度にコンピュータ化されてきています。そのため、印刷会社側でメンテできない内容も増え、定期メンテをメーカーに依存する傾向あります。しかし、その結果、印刷会社の技術力を低下させることになってはいけません。

例えば、組織改革に伴い技術部門を復活させた会社もあります。電気系統、機械系統とそれぞれの専門家を置き、又は教育に力を入れて専門家を育てながら技術向上を目指しています。

印刷機に携わる時間が最も長いのは現場の作業者なので、基本的なメンテは機械メーカーに頼らない方針をとっています。しかし、機械のメンテナンスのやり方が分からない人もいるので、メーカーから技術者を半年間派遣してもらい、オペレーターに技術承継しているところもあります。

メンテの前提である、点検方法として、点検項目・内容を明確にしたうえ、次のように分担することも考えられます。

日日点検:オペレーター

週一点検:監督者

月一点検:管理者立会い

年一点検:機械メーカーに委託

 

ある会社では生産技術チームを設置して機械ごとにカルテをつくり「印刷機の健康診断」を行っています。ここでは仕事ごとに刷り上ったもののドットゲイン・ベタ・ダブリ等を毎日計測して印刷機の状態を常にチェックして、計測により得られた数値からカルテを作り、積み重ねられたデータを基に「機械の変化」を観察することが予兆把握を可能にすると考えています。

 

 印刷機械メーカーのメンテサービスは充実しています。最近では、サーモグラフィーによる診断や、画像及び稼動情報がリモートで分析することが出来るようになっています。

しかしながら、基本は印刷会社の内部メンテナンス体勢が確立されていることです。メンテ項目・内容を徹底的に明確にし、役割分担を決めた上で、メーカーのサービスをその体勢の中の一環として捕らえ自社のメンテナンス手法をうまく融合させていくことが品質の維持管理にとって重要です。

デザインと後加工

2010 年 3 月 2 日

デザイン上の制約に基づく問題が後加工の分野では多いようですが、何か解決策はありますか。

 

 

 

箔押しやエンボス、型抜きなどをうまく組み合わせ見栄えよくデザインされた印刷物が多くあります。しかし、それが後加工の現場にとって容易に加工できるのか否か、できても多くの手間がかかり、それ相応の請求ができない等、頭を抱えることがよくあります。

企画段階でデザインする場合、大きく2つパターンがあります。まず、デザインが先で後から形が付いてくる場合。もうひとつは、最終的な完成物から遡ってデザインする場合です。パッケージに関しては後者で、形になっているものから遡ってデザインします。しかし、書籍の表紙等はデザインが先にくることが多いです。最終的にどんな形の本になるかは、デザインの時点では考えられていてもその比重がパッケージに比べて少ないようです。

加工業者にとって印刷会社や製本会社が直接やりとりする相手になります。最近では単純な加工よりも複数の加工が絡んでくる方が多いので、ものによっては発注元、出版社もしくはデザイナーも含めて打ち合わせる場合もあります。

例えば「PPがあって箔押しがあって、窓開けもある。この順番をどうやってやろうか」等ということがいつも話題になります。もちろん、順番は加工の内容によって決まります。しかし、順序が違うとデザイナーが考えていた穴の開け方ができなかったり、窓の位置が少しずれている等の問題が出てきます。

さらに、印刷と加工で言う「乾いた」はその捉え方が違います。印刷ではパレットを動かせる状態が「乾いた」といいます。しかし、加工の業者に入ったときにインクの臭いがしたり、触ってみて何となくしっとりする状態では、「乾いていない」と加工業者としては判断します。こうしたことも1日放っておくことで解決することです。

これらのことは、根本的には企画段階でのコミュニケーション不足が多いようです。こうした制作上の専門的な相談に応じられるのは印刷会社の生産管理です。クライアントから「こういうものを作りたい」という企画が出た時点で、営業マンやデザイナーからどんな加工が必要で作業上の問題点等をフィードバックすることが大切です。

デザイナーや営業マンが関連知識を持つことは大事ですが、それ以上に人為的なコミュニケーションの問題が大きいようです。

食品チラシ等のスミベタ背景

2010 年 1 月 27 日

最近、食品のチラシやパッケージもブラックを使用したものをよく目にしますし、これは商品をひきたたせる効果等があると思います。個人差があり物にもよると思いますが、食品チラシ等にスミベタ背景(半分程度)はデザインとしてどうなのでしょうか?

 

食品や衛生関連の商品に黒を使用するというのは、確かに昔はタブー視されていました。しかしすでに何年も前に、黒いガムが良好な売れ行きを示すなどのこともあり、また、最近では黒い綿棒やトイレットペーパーが話題を呼ぶようにさえなっています。今では特別使用してはならないということはないと思います。従って食品チラシに黒を使用してもいっこうに構わないと思います。しかし、これはその色が好きとか嫌いの問題ではなく、受け手や市場といった様々な条件を考慮した上で効果的であり適切だと考えたのであれば使用して良いし使用するべきだということです。
 色彩についての知識は、調和や対比といった基本を重視するのと同時に、流行や文化的側面にも配慮する必要があります。しかし、調和や対比を論じる視点と、流行や文化を論じる視点は別のものです。ここを混同して議論すると、混乱が生じ話が複雑になって何だか分からないことになってしまいます。
 たとえば黄色と紫のような「補色」を相接して使用したり、一画面にあまり多用すると、印刷ではいわゆるハレーションが起こってチラチラするので良くないし、品がわるくなるので使うなと言われます。これは、調和や対比と言った見方からは正しい意見です。
 しかし、水着のプリント柄などには補色をふんだんに使う事があります。夏らしい、トロピカルな感じや、リゾートの活気に満ちた楽しさなどを表現できるからです。
 基本は、判断基準でもあり道具でもあります。必要だし、とても大事なものです。しかし、教習所で習った運転だけでは公道を自信を持って走れないのと同じで、実際の運用では多様な判断が必要になります。色彩の使用でも流行、文化、政治、社会といったさまざまな要素が関係してきます。
 流行色については日本流行色協会のホームページなどが参考になるかと思います。 流行には敏感に、しかし惑わされないことが大切です。

理想の肌色

2010 年 1 月 13 日

理想の肌色はどんな色でしょうか。

 

 

 

日本の印刷業界で旧くから理想の肌色は、「湯上りピンク」といわれています。抽象的ですが、なんとなく湯上りの浴衣姿の美人を連想させられることも多いようです。色っぽい和服姿を撮影する場合は、少々お酒をたしなんだ後に撮影に入るというエピソードは、ピンク肌に対する日本人の嗜好性を示すものでしょう。 

YMCKの網%で示すとY25~30%M15~22%C2~7%Bk0%というイメージだろうか?ここでBkが入ると墨っぽくなりますし、C×M=30度モアレとM×Bk=30度モアレで出来る二次モアレであるロゼッタが問題になるので肌に墨とシアンが入るのはご法度になっています。いわゆる影の部分に亀の甲模様のザラツキが目だってきます。

 

CMYK的な理想肌

 日本人の嗜好がピンク肌ならYMの網%が同じでも良いではないか?と思われるかもしれませんが、あくまで基本はY>Mを守らなければなりません。これは色の絶対値というより印刷が暴れた場合の安全係数と考えるべきものです。インキを盛れば盛るほど、つまりインキ皮膜圧が厚くなればなるほど、グレーバランスのYMCの差は開いてきます。ということは「インキを盛れば盛るほど赤が浮いてくる」ということになります。このこともあって印刷でいわれてきた理想の肌バランスというのは決められてきました。

 ある有名な写真家によると「自然色」とは「フィルムは自然色だが、デジタルの色は人工的だ」ということらしい。ネガカラーもリバーサルフィルムもメーカーの開発コンセプトの強弱はあっても「色を忠実に出す」なんていうことはしていなかったはずである。ある会社などは「肌色再現」を相当PRしていたのを記憶されている方もいらっしゃると思う。