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セミナー等で学んだスキルを頭で理解するだけではなく、行動・実践につなげ、成果に結びつけるためには“型”をしっかり身につけることがひとつの有効な手段である。
■教育の成果は見えづらく評価が難しい
JAGATでは、会員企業をはじめとして印刷業界各社が経営を発展的に持続させ、あるいは変革を実現するために様々な情報及び教育機会を提供している。ニーズに応えるべく時代に則した教育コンテンツを開発し、例えばセミナーや通信教育という手段で学ぶ場を作っている。
一方、経営者の立場から見れば教育機会は単に社員の学びの場ということだけではなく、人材への投資という意義が大きいであろう。
したがって、言葉は少し乱暴かもしれないが投資に対する見返り、すなわち費用対効果が期待され、あるいは求められるのは当然のことであろう。
しかしながら設備投資による効果(必ずしも期待値の達成や現状では差別化はできないとしても導入したことによる評価はわかりやすい)と違って、人材投資の成果は目に見えにくく時間もかかるため、なかなか評価が難しいのも事実である。例えば営業のスキルアップセミナーを受講して、翌日から新規開拓が飛躍的に可能となることなど、ほとんどありえないだろう。
セミナーに参加して得られるものは、様々な気づきであったりノウハウ、知識レベルでのスキルである。あるいはモチベーションが得られとしたらそれは大きな意味のあることであろう。しかし、スキルやノウハウを学ぶことと、それを実践することに大きな壁が立ちはだかっており、そのためになかなか成果として出にくく、評価しづらいといった側面があるからだ。
■型の習得が成果への近道
昨年来、各地での講演依頼が多くあった「印刷営業マンの売上が4.5倍になった“販促プランナー変身術”」の講師、加藤洋一氏は、セミナーを受講しスキルを学び「わかった」となることは、意識、スキルレベルでみると“無意識/無能力”から“意識/無能力”の状態になることだが、この段階まででは全く意味はないと言う。
目指すところは「できた…意識/有能」へとレベルアップし、最終的には「続ける(習慣化)…無意識/有能」の段階に達することである。
そして、そのための手段として“型”を学ぶことが有効であり、早道であると説く。当セミナーでは販促プランナーとして顧客の課題やUSP=独自のウリを引き出すためのトークプロセスを5つのステップ、すなわち“型”をロールプレイングを通じて会得させる手法をとっている。
同様に、JAGATのグループコンサルティングやセミナー、通信教育の講師、岩本俊幸氏は、売れる広告表現を追求した結果SED(セールスエンジニアリングデザイン)という“型”を開発した。広告づくりにおけるレイアウトやアイキャッチの指標、メッセージ開発などをSEDという体系化した手法(型)を用いることにより、感性(センス)といった曖昧なものによらずにレスポンス率の高いチラシやDMを再現できることを目指している。
考えてみると、物事の熟練のためにこうした“型”を用いることは世の中に多々あり、特に空手や合気道といった武道・武術や、能、舞踊などの芸道においては規範となる型を繰り返すことによってしっかりと身につけることが基本となっている。技芸の上達のプロセスにおいては、何をさておいても基本形を忠実に守り、それらを無意識で実行できるようになって初めて新たな工夫や応用もできるようになるという。
「型にはまる」という言葉はネガティブなイメージもあるが、まずは学んだ型を従順に実行することが成果を出すための近道であろう。“型”はその道の達人や多くの先人達の経験と知恵の集積であるからだ。
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