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オムニチャネル、O2O、ビッグデータ、DMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)といった新たなコミュニケーション手法が話題になっている。 【page2014カンファレンス】
通信インフラは、ビジネスの仕組みだけでなく、社会の構造までも左右してしまう勢いがある。いまや当たり前になったiPhone、iPadを使ったデジタルビジネスのその先には何があるのか、いずれにせよコンシューマーを取り込んだビジネスモデルが考えられるだろう。
IT業界に印刷をはじめとするメディアまわりの仕事を取られるのではないかと危惧する人がいる。しかし「脅かされるのではなく理解する」ことと「デジタル化によっていかに売るための仕組みができているか」が重要である。
つまり、脅威に感じるより手を組むことを考えていこうということである。キーワードは「きずな」「つなぐ」である。技術としてのつながりもあれば、ビジネスとしてのつながりもある。当然ながら人と人をつなぐ必要もあるだろう。
もともと印刷物は絶対的なコミュニケーションツールであった。顧客の新市場開発のお手伝いができれば、それは自社の強みになるし、コラボレーションの進化系には、新しいネットワークができる。
クラウドなどのインフラの進化によって、これからのビジネスは24時間365日のモデルになるだろう。つまり仕事の仕組みが変わっていく。1社でできないことは、できるところとアライアンスを組んでいくという選択肢がある。
印刷会社にとっても顧客の新規ビジネスの実現が自社の強みになることを知っておくべきであろう。
流通・小売業では昔からCRMをはじめ顧客の購買行動の分析が重要であった。消費者の意思決定が変化していく中で、O2Oやビッグデータの活用が話題になっている。デジタル化されたデータをどのように活用していくか、新しいコミュニケーション手法の話である。
2014年1月6日、セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長兼最高経営責任者は、年頭あいさつの中で、「今年はオムニチャネルの取り組みをいっそう本格化する」として、「リアルとネットを融合したオムニチャネルを通じて、24時間いつでも、どこでもお客の要望に応えることが、さらなる成長につながる」と述べた。
また2014年1月23日、セブン&アイ・ホールディングスは、ニッセンホールディングスに対する株式公開買い付け(TOB)が成立したと発表した。ニッセンホールディングスを子会社化することで相乗効果を高め、店舗とネット通販を融合した「オムニチャネル戦略」を進めていく方針であるという。
オムニチャネル・リテイリング(Omni Channel Retailing)は、店舗やECサイトなどの境目がない状態での購買を軸に顧客との関係を築くことである。店舗で値段を確認してECサイトに行く人もいれば、ECサイトで値段を調べてから実店舗で買う人もいる。買い物客のすべての行動を網羅して、商品購入を積極的に促す活動のことをいう。
オムニとは「すべての」という意味がある。それまでのパターンは、単一接点の「シングルチャネル」、個別の複数接点の「マルチチャネル」、クロスした複数接点の「クロスチャネル」があった。「オムニチャネル」は顧客接点が、シームレスであることが特徴であり、リアル店舗であろうが、Web通販であろうが、チャネル横断型の商品・顧客・購買管理を行うことである。
商業印刷物を扱う印刷会社では、特に取引先・顧客が流通業の場合、新たな集客の手法として、これらの情報を知っておくことをお勧めする。「リアルとネットの組み合わせ」や「紙のビジネスとデジタル媒体」をどのようにクロスさせて新たなメディアにチャレンジしていくのか。
生き残りのためには、新鮮で有用な情報をシャワーのように浴びて身に着けていきたい。
(研究調査部 上野寿)
■B2 2014年2月5日(水)15:45-17:45
「通販メディアの特性を活かした複数チャネル戦略~顧客とのコミュニケーションマネジメント~」
通販について考えるセッション。明太子を例にとってオムニチャネルの実態を実例から考える。
■B4 2014年2月7日(金)13:00-15:00
「コミュニケーション・ビジネスの明日~グーグル、ソフトバンクの戦略からビジネスの変わり方を知る~」
グーグル、ソフトバンクが行っている「企業支援ビジネス」の実例と戦略を紹介。また印刷会社とアライアンスを組む可能性についても検討していきます。
■B5 2014年2月7日(金)15:45-17:45
「デジタルマーケティング・コミュニケーション~オムニチャネル、O2O、ビッグデータの活用などから読み解く~」
話題のオムニチャネルなどを紹介。メーカー・流通・通信の各プレイヤーがもたらす新しい生活者向けサービスの変革をディスカッションします。