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カタログ、テレビ、店舗、Webなど複数通販チャネルの連動を通じて最大価値を生み出す通販会社が増えている。今、通販業界で売上増を図る有効なメディアの組み合わせはどのようなものなのか、また、顧客コミュニケーションを深めるために活用される媒体・手法とは。2人の講演者の話から通販業界の現状と今後を探る。
福岡・博多に本社を置き、創業66周年を迎える老舗食品会社「ふくや」は、明太子を日本ではじめて製造・販売した実績を持つ食品メーカーだ。創業者の川原俊夫は九州の明太子を日本中に広めることを目標に、作り方などを無償で公開するなど、「九州の明太子」の認知度向上に努めた人物として知られている。
最近では、地元テレビ局と協力し、創業者やふくやをモデルにしたドラマ「めんたいぴりり」を製作、ATP賞やギャラクシー賞の奨励賞を受賞するなど、カタログやネット、店舗だけでなく、コンタクトセンターやテレビ番組など複数のチャネルを活用しながら顧客とのコミュニケーションを深めている。
創業時から、「原点の味」を守りつつも時代に合った美味しさを追求し、年に数回カタログを発行、ネットにお得情報を掲載し、コンタクトセンターでは細やかなサービスを徹底するなど、顧客を大切にしながら直販形式にこだわってきた。しかし、店舗を訪れて自宅用やお土産用として購入し、持ち帰る顧客の情報を収集できない、情報の無い顧客とは十分なコミュニケーションが取れず、提供できないサービスがある、という問題があった。
その問題を解決したのが、店舗で発行するレシートに仮IDを印刷することだった。ふくやのWebサイトにアクセスしてレシートにある仮IDを入力、続けてメールアドレスなど個人情報を入力すると、お得なクーポンが取得できるサービスを構築した。このように、複数のチャネルを活用することで、顧客に喜ばれるとともに、顧客満足向上に役立つデータを収集できる仕組み作りが可能になっている。
本セッションでは、複数メディアを組み合わせて情報を発信、顧客とのコミュニケーションにこだわりながら直販形式を実践し、効果を上げてき博多の「味の明太子 ふくや」の平山氏、大手総合通販会社でカタログを中心にしたクロスメディア戦略を実施してきた廣瀬氏の講演を通し、通販会社の媒体戦略、通販メディアの特性とその活用法など、ビジネスの本質に迫る。
(研究調査部 小林織恵)
2014年2月5日(水)15:45-17:45 (受付15:00から)
「通販メディアの特性を活かした複数チャネル戦略」