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「広告には目的がある」そもそも広告はいったい何のためにあるのか? 広告を見た人(消費者)の心理状態を考えながら答えを探る。
広告印刷物は大きく分けて「イメージ広告」「レスポンス広告」「公共広告」「意見広告」の4つに分類される。
公共広告とは、テレビなどで目にすることがあるかと思うが、商品やサービス、企業のイメージを訴求したりするものではなく、社会的な問題などを公共的に啓発する広告である。
意見広告とは個人や団体が政治的問題や社会的問題などに対して自らの意見や主張を訴える目的で作られる広告である。例えば、岡本太郎氏が1967年4月3日の「ワシントンポスト」紙の紙面まるごと1面を使ったベトナム戦争に反対する意見広告は、大きな反響を呼んだ。
そしてイメージ広告とは、企業が市場に出した商品やサービスを、企業が思う好ましいイメージに形成・熟成するためという目的を持っている。ただ、イメージ広告の最終的な目的はイメージを形成・熟成するだけはなく、イメージを形成・熟成するプロセスの中で消費者に購買活動を促すことが大きな目的であると言える。
それではレスポンス広告とは何か? 当社の定義では「反応を計測できる広告」としている。広告を見た人(消費者)を購買活動へと直結させる、すぐにつなげる(アクションさせる)ための広告であり、その反応(アクション)がどれくらい起きているのか計測し、広告を打った際の基準づくりが出来る広告と言える。
広告の事例をいくつか紹介しよう。電車の中などで大学入学案内の広告を見たことがあるだろう。 「オープンキャンパスは○月○日~○月○日」、というような告知をする広告。それを見た人(消費者=この場合は大学進学志望の高校生やその親)が実際に大学へと足を運び、大学というブランドを体験する。その上でこの大学を進学先として検討する。そして実際に進学先候補として受験し、この大学に入学をしたとすれば、学校法人としては広告に対する結果(売上)につながったと言える。
もうひとつ電柱広告の事例を紹介する。こちらも一度は必ず見たことがあるだろう。例えばあるクリニックが「この先交差点を右に曲がって100m先」という案内をする広告。このような広告も一見案内を促すことが目的のように感じやすいが、この電柱広告を見た人の心理を仮説すると、「あそこに○○クリニックがあるのか。今度風邪を引いた時にでも行ってみよう」という心理になるかもしれない。つまり突き詰めていけばクリニックの場所の認知を促すと同時に患者を増やすための施策であると言える。
このように広告にはしっかりとした目的がある。それは、消費者に購買活動を促すためのものと言える。これを前提に考えると、なんとなく作成していた広告にもしっかりとした意味があることが分かる。消費者が広告を見た時にどのような心理状態になるのか? どうすれば購買活動へと促すことができるかをしっかり仮説を含めて押さえた上で広告印刷物を制作すると大きく広告の表現方法が変わってくる。
広告のレスポンス率を上げるためには、前提条件として広告の目的があること、そして消費者の心理状態を模索しながらどのように購買活動へとつなげていけばいいのかをしっかり熟考した上で広告表現を工夫する必要があることを押さえておきたい。
次回以降は、そのレスポンス率を上げるための具体的手法について触れてみたい。
■執筆者:二宮 和雅 (にのみやかずまさ)
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会トレーナー
株式会社イズ・アソシエイツ
千葉県千葉市出身。九州にある大学を卒業後、人材派遣会社に入社。約4年間毎日100件飛び込み営業を続けた後、人事コンサルティングファームに入社。組織活性の為の人材育成・人材採用・(CI)コーポレートアイデンティティの確立など大企業・中小企業問わず様々な業種に対して組織コンサルティングを実施。その後、クライアント先に常駐して組織体制づくりや新規事業立ち上げなど多数のプロジェクトに参画。2011年から株式会社 イズ・アソシエイツに入社し、マーケティングとブランディングを軸とした営業活動に従事しながら(財)ブランド・マネージャー認定協会のトレーナーとしてブランド戦略の普及と活用に尽力している。近年では印刷会社の営業、デザイナーに向けて、ブランディングやダイレクトマーケティングの研修を多数実施し大変好評を得ている。
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