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管理者教育と若年社員の定着のためにキャリア形成促進助成金の活用という考え方

掲載日: 2009年02月14日

特に今年は印刷業界の採用が回復してきたことを実感した。しかし、今年度採用した新入社員は何年、また何人定着するのだろうか。景気が上向いてきた一方で、企業は人材の確保という課題を突き付けられている。これからは若手社員に対する教育と指導を行う管理者の育成が求められる。



人手不足は加速する
印刷業にかかわらず全産業で雇用を増加している要因として、景気回復による業績の向上、団塊の世代の大量退職(2007年問題)、少子化による労働人口の減少、十数年間、新卒雇用を抑えたことによるアンバランスな組織編制の是正、若年社員の早期離職の増加などが挙げられている。
このような状況になる前から印刷業界では「忙しくて人手が足りない」「若手社員が5年未満で辞めてしまう」という教育担当者の声を頻繁に聞いた。しかし、社会背景の変化でさらなる人手不足・人材不足になりかねない。転職に抵抗を感じない世代が増えていること、労働人口の減少で優秀な人材が大手企業に集中する可能性が高いからである。また、20代・30代が転職先に求める条件には給与待遇はもちろん重要だが、スキルアップ、自分に合った仕事、やりがい、成長のできる環境などが上位に上がってきている。つまり、単に日々の仕事に追われるだけでなく目標をもちキャリアアップできる環境を求めている。
就職、転職環境が「売り手市場」に転じた今、企業はこれからの人材不足へ対応するためには人材開発計画を早急に進めなければならない。そして人材開発を具体的に推進するためのキャリアアップが可能な職場環境、教育環境を整備しなければ人は集まらず、集まってもすぐ離れていく悪循環にならざるを得ないのではないか。
人材育成と言っても単に社内外研修や通信教育を受けさせるだけでは人材の育成とは言えない。業界と自社に合った体系的な教育、また長期的な教育計画である必要がある。

改めてキャリア形成促進助成金制度とは?
いまや教育費はコストではなく投資である。「コストが掛かる」「そんな余裕はない」「効果がすぐ現れない」と考えている方は、前回の「教育効果は『動機付け』と『目標』で決まる」も再度読んでもらいたい。確かに費用は掛かり、なかなか効果が目に見えにくいかもしれない。しかし、今のままでは給与待遇で相当満足させない限り、若手で優秀な社員に限らず次の職場へ移っていくだろう。
人材育成は企業の必須課題である。優秀な若手社員の定着と若手社員を職場で指導する管理者の育成が急がれる。人材育成のために計画的に投資をしようとする企業には助成金制度が準備されており、適切に、有効に使うことをお勧めする。
そこで改めてキャリア形成促進助成金制度の活用も視野に入れてみてはどうだろうか。この助成金は企業が社員の能力アップを支援する上で段階的かつ体系的な能力アップの推進をしようとする企業に対して助成する制度である。
キャリア形成促進助成金は、従来の5つの給付金などが今年4月から次の4つの給付金に変わった。

1)キャリア・コンサルティング推進給付金
従業員に対して、自己の職務能力や今後必要と考えられる資格・能力など、職業生活を送る上で従業員が抱える課題などについて相談・支援(キャリア・コンサルティング)を行った場合。

2)訓練給付金(主に自社の内部&外部で計画して行う、訓練型の研修が対象)
従業員に対して、専門的な知識・技能の習得または配置転換・定年退職後の再就職に必要な職業訓練など目標が明確化された職業訓練(1コース当たりの実訓練時間が延べ10時間以上行われるもので、OJTでないもの)を行う場合。

3)職業能力評価推進給付金(印刷業では印刷営業士、管理印刷営業士が対象)
従業員に対して、厚生労働大臣が定める職業能力評価(都道府県職業能力開発協会で実施している技能検定など)を受けさせる場合。

4)職業能力開発支援促進給付金(土日に受けた研修などの休暇も付与、その規定を設ける)
事業所において、従業員が自発的に行う職業能力開発に関する経費補助や休暇付与の支援措置(2日以上(1日5時間以上)、または日数10日以上かつ時間数10時間以上であるもの)を労働協約または就業規則などに新たにもししくは拡充として規程を設け、支援を行った場合。
ここで言う段階的かつ体系的な計画は、若手社員、管理者教育にも同じく必要なことである。つまり人材育成に必要なことと給付金申請に必要なことはイコールということになる。企業が社員のスキルアップ・技能習得を体系的に考え研修などに行かせた時きの費用を、国が少しでも支援してくれるのであれば(適用条件はあるが)有効に活用したほうがよいのではないだろうか。

申請のポイント
まず実際に初めて給付金を申請する場合は各都道府県の雇用・能力開発機構が開催する説明会に参加することをお勧めする。直接説明会を受けてみて感じたことは、書類などで詳細を確認するより直接説明を受けたほうが格段に分かりやすいということと、個別質問も受け付けており丁寧に対応してもらえるということであった。適用条件は各企業によって異なるため自社の場合に必要な要件などを相談したほうがよい。この説明会は各都道府県で月1~2回開催している(TEL 0570-001154)。
http://www.ehdo.go.jp/

申請する際の簡単なポイントを挙げてみた。


1)まずは社内で担当者を選出しよう!
いずれのキャリア形成促進助成金を申請する場合もまず社内で職業能力開発推進者を選出して届け(職業能力開発推進者選任届)出ることから始まる。

2)書類の数に惑わされるな!
書類は17点から多くて23点ほどある。この数で考えるとしり込みしてしまいそうだが、よく見てみるとすべての書類を一から起こす必要はない。例えば就業規則や事業内容などはもともとあるものを提出すればよい。

3)職業能力体系図をクリアしよう!
一番時間と労力が必要なのは職業能力開発計画(職業能力体系図)と年間職業能力開発計画である。年間計画は職業能力体系図が元となるので、この体系図ができればその後の申請自体はそれほどおっくうなことではないようである。

4)初申請には3カ月、次回からは1カ月の余裕をもとう!
初めて申請する場合は、該当する研修開始の3カ月くらい前には一度は提出してみたほうがよい。不備があった場合間に合わなくなる可能性が出てくる。2回目以降では指定の申請月より1カ月くらい前に提出する企業が多いらしい。

職業能力体系=教育体系
給付金申請でも申請の基盤となる職業能力体系図と企業の人材育成とは表裏一体である。
この体系ができていれば、社員のための教育計画は立てやすくなり、また申請もスムーズに行える。その一歩として自社の職業能力の棚卸しを行うことから始めてもらいたい。逆にこの体系を立てずに行き当たりばったりで体裁だけの計画では教育効果も上がらず、申請もとおりにくくなってくるだろう。
若手社員の定着には目標をもたせるために、管理者には意識改革のために、中長期的な教育設定をし続ける、その積み重ねこそが大切である。(S)