本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。
情報伝達手段を支援する印刷業にとってブランディングは非常に重要な要素であり、ブランディングを企画提案できる人材育成が必要になるだろう。
近年、長引くデフレ経済に加え、価格競争力のある新興国の台頭により業種を問わず、価格競争が激化している。また、製品・サービスの多様化により消費者に対しても飽和状態が続き、製品・サービス力だけでなく、それをどう訴求していくかが、差別化を打ち出すポイントとなっている。
こうした環境のなかで、差別化戦略として注目されているキーワードの1つに"ブランディング"がある。
ブランディングとは、企業が顧客にとって価値のあるブランドを構築するための活動である。ではブランドとは何であろうか。アメリカ・マーケティング協会の定義によれば、ブランドとは「ある売り手あるいは売り手の集団の製品およびサービスを識別し、競合他社の製品およびサービスと差別化することを意図とした名称、言葉、サイン、シンボル、あるいはその組み合わせ」とある。
つまり、企業の製品・サービスが他社のものより優れているポイント、あるいは訴求していきたいポイントを、消費者に対して"感じて欲しいイメージ"を的確に情報伝達する。そして製品・サービスが飽和状態の市場の中で、消費者がニーズ喚起を生じた時に、いかに自社の製品・サービスを想起してもらえるかがブランドの役割である。
ブランディングすることで差別化は勿論のこと、高付加価値化による売上の増加、無駄な広告費の削減による顧客獲得コストの低下、収益性の改善につながる。
また、ブランドが確立されている製品・サービスを扱っていることによる、従業員の自尊心、モチベーションの向上も図ることができ、模倣困難性の高い競争優位の源泉を築き上げることができる。
では、印刷業とブランディングはどう関係するのであろうか。ブランドと一言で言っても、「製品ブランド」「店舗ブランド」「コーポレートブランド」「事業ブランド」「地域ブランド」などがある。印刷業が自社のブランディング(コーポレートブランド)を考えるのも重要だが、ここでは印刷業がクライアントの製品・サービスに対して、ブランディングを支援する視点で見ていきたい。
今日の印刷産業は、情報産業として業態を変え、クライアントの情報伝達方法に付加価値を提供することが重要になってきた。ここで言う付加価値は、クライアントが果たしたい目的(収益・価値向上)を達成することができるコミュニケーションツールの提供だ。
そのためには、製品・サービスのブランドイメージを統一し、それを訴求するために必要な、ロゴ・キャッチコピー・キャラクター・デザイン・配色・フォント・紙質などのブランド要素を考える。そしてパッケージ、POP、カタログ、パンフレット、ポスター、地域誌、フリーペーパーなどの印刷物、あるいはweb、スマートフォン、デジタルサイネージ等の電子メディアなど、統一したブランドイメージを訴求するための最適なコミュニケーションツールを提供する。
ブランディングを含めたソリューションサービスを提供できれば、印刷業にとって大きな強みになるのは間違いない。印刷業がソリューション提案力を高めていく必要があるなかで、ブランディングは非常に重要な要素であり、クライアントのブランディングを企画提案できる人材育成が必要になるだろう。
JAGATでは、ブランディングに関する各種研修を実施していきます。詳細は以下のホームページをご覧ください。
■関連研修
・ビジネス支援ワークショップ「顧客ブランディング手法・ベーシック編」(2013年7月12日開催)
・第2期ブランディング支援による受注力UP実践塾 (2013年9月開講/全4回28時間)