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プリント

2007年新入社員意識調査 その1

掲載日: 2009年02月14日

印刷会社のイメージは向上―――仕事内容で印刷を選択。でも残業、出世は望まない

JAGAT人材育成を考える会 調べ


印刷会社と言えば、映画寅さんシリーズ「男はつらいよ」に出てくるタコ社長率いる朝日印刷(最初は共栄印刷)が良くも悪くも典型的なイメージとして定着している。しかし、主役の死去によって人気シリーズは1995年の48作で終了した(1997年に特別編があるが)。既に11年が過ぎ、時代はデジタル化へ大きく変化した。JAGATでは今年度印刷会社に入社した新入社員に意識調査を行った。携帯電話世代の若者は印刷業界および印刷をどう見ているのだろうか。
調査は、JAGAT(東京・関東近県含む)および宮城県、富山県、岐阜県、大阪府の各印刷工業組合の協力を得て意識調査アンケートを実施した。有効回答数359人。男54%、女46%。2007年4月6日~4月21日で実施。



■変わりつつある印刷のイメージ
かつては印刷も3K職場(きつい、汚い、危険)の一つとされた。特に若者からは敬遠されがちであった。しかし、ここ十数年のデジタル化、自動化、明室化などによって職場環境は大きく変わった。印刷業界のイメージをひと言自由に書いてもらった。さまざまな回答が出てきたが、最も共通語として多く散見したのが、「忙しい」「地味」「厳しい」であった。かつての「暗い」「汚い」という言葉は予想以上に少なかった。企業間、職場間によって違いはあるが、クリーン、衛生的、きれいといった憧れの回答もチラホラ見える。総じて職場の環境自体はかなりイメージが良くなったことはアンケートの回答から伝わってくる。
「忙しい」「地味」「厳しい」というのはビジネスのやり方、仕事ぶりへのイメージのようで、「正確さ」「細かい」「仕事量が多い」「高い専門知識」「厳しい品質」「納期」「地道な作業」「表には出ない」といった仕事の大変さ、ポジションを捉えての評価のようだ。一方、「変革期」「幅広く展開できる」「紙からマルチメディア化」といった課題をしっかり意識している人もいる。

■仕事内容で印刷を志望する人が増えている
印刷業界のイメージアップは業界全体での活動も大切だが、個々の企業努力の積み重ねがなければ実質的な向上には結び付かないであろう。新入社員が感じた面接時の企業イメージはすこぶる良い。「明るくて活発なイメージをもった」「仕事を楽しそうにやっていた」「仕事内容が面白そう」「アットホームである」「社員が生き生きしている」「丁寧に説明してくれた」「がんばっている話を聞き私もがんばろうと思った」「社長が面白い人だ」「きれいな会社」「200人の社員の名前と顔を覚えている社長に驚いた」「丁寧で分かりやすく説明してくれた」など良い印象が圧倒的である。マイナスイメージが非常に少ない。入社した会社だから当たり前かもしれないが、「いやいやながら」「仕方ない」入社ではなく、希望して入社した相思相愛がいかに多いかである。印刷が第1志望の人が40%、第2志望の人が33%で合わせて73%が印刷会社を望んで入社している。



また、志望動機は圧倒的に「仕事内容」(22.2%)が1位、2位は「技術を身に着けたい」、3位が「親・知人・先生の薦め」、4位が「会社に活気がある」、5位が「安定性がある」と続いている。11年前にも同様のアンケートを行っているが、その時は「親・知人・先生の薦め」が1位であった。2位が同じ「技術を身に着けたい」、3位「仕事内容」、4位「通勤に便利」、5位「安定性」である。学校からの薦めよりも、自ら仕事内容で選択をしている人が多い。それだけ自分の考えや判断をしっかりもっていることの表れであろう。



昨今の印刷業界での新人社員評は良い。「賢い」「意見をハッキリ言う」といった評判を聞く。JAGAT新入社員担当講師からも同じ感想を聞いた。心強い限りである。アンケート範囲での結果ではあるが、11年前は大卒(35.7%)と高卒(34.7%)の割合がほぼ同じであったのに比べ、今年は大卒が50%を超え、55%を占めていること、あるいは、男女の比率が11年前は約7割が男性、3割が女性であったのに対して今年はほぼ半々である。このあたりの変化が反映しているのであろうか。



■5年程度で退職したいという人が3割
印刷はどのような業種分野かを聞いてみると、製造業との回答が42.3%を占めている。新入社員にとって印刷業とは物作りそのものに映っているようだ。入社時の感想の中にも、最新の印刷現場を見学して、設備のすごさ、先進的技術に圧倒されたことを書いている人も少なくない。印刷設備に驚いている様子が手に取るように分かる。ソフト・サービスと言っても目に見えないものだけに、印象は薄いのが現実であろう。情報サービス業が20.0%、クリエイティブ業17.1%が続く。都市圏(東京・大阪)と地方(岐阜、富山、宮城)を比較すると地方では製造業への回答が高く(平均約50%)、東京・大阪は7ポイントから13ポイント少なく、逆に情報サービス、クリエイティブ業の比率が高い。特に東京は顕著である。

地域別にみた印刷の業種イメージ



(複数回答)

働く目的については半数の人が「経済的安定」を挙げている。かなり離れて、「自分の能力を試したい」「人間関係の広がりをもたせる」「生活のレベルアップ」などと続いている。11年前は「自分の能力を試したい」がトップで「経済的安定」がわずかの差で続く。11年前にはない項目であるが、「独立への足掛かり」と回答した人が8%ほどいる。長い間高い失業率、買い手市場であったことから経済的安定を望む人が多いのであろう。印刷会社の選択肢に安定性が挙がっていたことと通じるところがありそうだ。



やりたい仕事は本人のイメージや学校での専攻、興味などさまざまであることから、バランス良く営業、企画(クリエイティブ)、デザイン・DTP、印刷機オペレーター(ちょっと少ないが)の4つに分割されている。少ないがWeb制作という新分野を目指している人もいるようだ。
会社に望むこととして多いのが、「明るく働きやすい職場」が半数を超えている。続いて「良い人間関係」「高い給料・手当て」。これは11年前も全く同じ順番である。新入社員にとってまずは居心地の良い場所が優先だということであろう。
3年で3割が退職すると言われているが、今年の新入社員はどうであろうか。「3年未満でやめる」という回答が10%、3~5年という人が23%、5年程度で退職する人を合わせると33%になる。世間の流れと全く同じである。しっかり定年まで働くという人も約3割いる。



そんな新人たちはどこまで昇進したいと考えているのだろうか。「出世には関心がない」「人並み程度」という回答が大半である。前回と大きな変化はないが、社長を目指す人が5ポイント程度減っており(前回14.1%、今回8.9%)、社長は憧れであっても、大変そうだと映っているのかもしれない。全体では3割弱の人が管理職ぐらいには就きたいと考えているようだ。

どこまで昇進したいか



入社時期の居心地については、身近に同期生や先輩がいるかどうかである。同期や身近な先輩がいない企業ではどうしても孤立しがちで、話し相手や身近な指導者がいないと先が見えない状態に陥りやすく、退職の大きな要因となる。今回のアンケートでは45.4%が同期がいると回答。2~5歳程度上の先輩がいる人が3割弱(28.7%)、また約1割の人が「相談できそうな上司がいる」と回答。第一関門はクリアしているようだ。
では、理想とする上司・先輩とはどんな人なのか。最も多いのが「何でも相談しやすい」が30.2%、次いで「目標・やり方を明確に指示してくれる」が21.6%、「部下の能力を最大限に引き出してくれる」が16.2%。新人にとって左も右も分からない時期は、仕事を教えてくれる人と相談に乗ってくれる人に集中するのは当然の結果かもしれない。
「意見を聞いてくれる」「厳しく指導してくれる」「任せてくれる」といったところが少ないのは、実際にまだ仕事をしていない証拠でもある。実際に仕事をし始めるとこれらの回答が増えることは間違いないだろう。
(その2につづく)