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DTP担当者、Web制作者が知っておくべき電子書籍フォーマット、EPUB3.0の徹底解説をおこなう。電子書籍が本格的に普及していない、今のうちにさまざまな技術にトライしておくことが必要だろう。
若者から高齢者まで、iPhoneやiPadの普及はめざましく、新機種の発売の度にどんどんファンが増え続けている。
特にiPhoneは、マーケティング用語で言われるアーリーアダプター(初期採用者)の段階から、アーリーマジョリティ(前期追随者)へと移行したと言えるだろう。女子中高生の最近のケータイ購入調査でも、iPhoneは圧倒的な人気No.1ということである。
タブレットPCの国内販売シェアは、アップルが公表していないため正確な数値は不明だが、iPadが80%以上と予想されている。
ところが、iPhoneやiPadが大人気でシェアを伸ばしているからと言って、電子書籍コンテンツの普及はそれほどでないのが実情である。
コンテンツの品揃えは、2-3年前から大きくは増えておらず、購入サイトの使い勝手も改善が進んでいない。昨年、最も話題になった電子書籍コンテンツが亡くなったスティーブ・ジョブズの伝記本だったことは、電子書籍コンテンツが一般化していない現れとも言える。
現状では電子書籍だけで街の大型書店並みの品揃えとなる日が来るかどうか、想像もできないレベルである。
しかし、電子書籍フォーマットの環境も着実に整備されている。世界では縦組やルビなど日本語対応も実現したEPUB3.0、国内でも交換フォーマットが策定されている。
いつでも誰でも簡単に電子書籍を享受できる環境が実現するには、本格的なコンテンツの制作・流通が今後の課題であることは間違いない。
EPUB3.0関連の最近の技術的なトピック(課題)を挙げるだけでも、次のようなテーマがある。
・固定レイアウトのEPUBコンテンツを制作する方法
・InDesignのデータからEPUBに書き出し、電子書籍コンテンツを制作する方法
・シフトJIS(JIS X 0208)相当の文字以外は外字として扱う際の注意事項
・Webフォントや音声、ビデオを埋め込む方法
電子書籍のコンテンツ制作に関わることを考えている人は、電子書籍が本格的に普及していない、今のうちにさまざまな技術にトライし、準備しておくことが必要だろう。
(JAGAT 研究調査部 千葉弘幸)
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