本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。
第13期クロスメディアエキスパート認証試験の合格発表(5月19日JAGAT Webサイト)を踏まえ、解答の傾向と試験が問うポイントを報告します。
■全体を通して
社団法人 日本印刷技術協会は、2012年3月11日(日)に第13期クロスメディアエキスパート認証試験を実施いたしました。受験申請者153名のうち、148名が受験をしました。今期の試験では、「二段階合格方式」の活用により33名が論述試験のみ受験をしました。採点・検討が行われた結果、62名(合格率:41.9%)の方が第13期クロスメディアエキスパートとして認証されました。なお、前期試験より採用した「二段階合格方式」による学科試験のみの合格者は41名おり、第14~17期の学科試験が免除されます。
■学科試験の傾向
過去問題に関する情報が、ガイダンスセミナーや関連セミナー、関連書籍などで浸透しているため、学科試験の合格率は77.4%となり9期試験以降、高い水準で推移しています。これまで、「メディアに関する市場規模の推移」の問題については、前期まで低い正答率の問題でしたが、第13期試験では、高い正答率を記録しております。しかしながら、新規に出題された問題の一部については、今期に限らず全ての期の試験を通し、正答率が非常に低くなる傾向があります。また、「顧客セグメンテーション」や「論理的思考」についての問題は、正答率が低いといった結果も出ております。論述試験で提案書を作成する際には、「顧客セグメンテーション」や「論理的思考」が基礎知識となりますので、受験をする際には、その内容について、確実に身に付けてください。
■論述試験の傾向
1.試験内容と解答傾向
今期の試験では、健康ランドを中心としたアミューズメント事業やリゾート事業、飲食業を営む、中規模の企業が与件企業となりました。受験者の解答で多かった提案は、「Webサイトのリニューアル」や「ソーシャルメディアの活用」、「フリーペーパーの配布」でした。論述試験だけで見ると、66名の方が合格水準の解答を書かれていました。
提案書としての様式が整っていない解答は、非常に少なくなりました。合格ラインである70点前後の受験者が最も多く、また、非常に良くできている解答(90点前後)と全くまとまっていない回答(40点以下)が5%程度ありました。
2.メディア特性を考える
販促ツールとして利用される印刷物やデジタルメディアは、それぞれの特性があります。
例)
2-1.印刷物
2-1-1.フリーペーパー、カタログ、チラシなど
フリーペーパー、カタログ、チラシなどの販売促進用の印刷物は、保存性や携帯性、一覧性だけでなく、媒体としての説得力が期待できるツールです。メディアとしての歴史も長く、対象となる閲覧者は幅広い年齢層が期待できます。
2-1-2.インターネット
コーポーレートサイトやソーシャルネットワークサービスの活用により、即時性やインタラクティブ性、表現性などが高いコンテンツの提供が可能になります。パーソナルコンピューターやスマートフォン、携帯電話など、閲覧する端末の特性に左右されますが、世代別普及率やデジタル・リテラシーの視点から、オピニオンリーダーとして期待が高いM1層(20歳から34歳の男性)やF1層(20歳から34歳の女性)とのコミュニケーションツールとしての活用が見込めます。
上記した特性は、概要に過ぎませんが、クロスメディア提案を考える際、常に考えていただきたい内容です。メディアを活用し、顧客とのコミュニケーションを行う場合、「何のために」「いつ」「誰に」「何を」「どの様に」情報を伝えるかを意識しましょう。メディア特性についての知識を豊富に持つことで、論理的なクロスメディア提案が展開できます。
論述試験の採点基準で最も重要視される項目は、「論理性」です。しかしながら、合否に関わらず多くの受験者が論理性について疑問視される提案書が多く見受けられています。メディア関連の業務を遂行するビジネスパーソンとして、基礎知識となる、様々なメディアの「特性」について再検証してください。