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中小企業が取り組める組織が活きる仕組み「人材評価と賃金制度の仕組みづくり」
その1:評価制度の現状
株式会社ジィ・ディー・エル 代表取締役 田辺 和彦
氏
今回は2007年10月17日(水)にJAGAT
で行われた「中小企業が取り組める社員と組織が活きる仕組み 人材評価と賃金制度の仕組みづくり」セミナーから中小企業の人材評価の現状について株式会社ジィ・ディー・エル
代表取締役 田辺和彦様のお話をまとめます。
評価制度導入の実状
中小企業の人材評価は、従業員が39 ~ 99
人の場合、39.4%が人事考課制度を導入しています。制度を導入しようと思っているところは12.6%あります。つまり、まだ5
割は評価という感じではないということで、給与や賞与の時期になると社長が悩みながらやっているということです。
従業員が100
人以上になると、急に増えて73.7%が人事考課制度を導入しています。「人事評価システムや給与制度はどの程度から入れたらいいか」と質問されることがありますが、一般的には従業員100
人が一つの目安です。やはり、従業員が100
人を超えると、なかなか社長の目が届かず、中間管理職を置かないと、細かい評価ができないということがあるので、一つの分岐点だと思います。
人事制度・評価制度の流れ
中小企業を含めて、人事制度や評価はどういう流れになっているでしょうか。
昭和以前、給与の最初のころは、実績給であったと言われています。イメージで言うと、車1
台売ったらいくら、家1
棟売ったらいくらというような給与体系で、基本給はほとんどありません。
昭和初期は、日本全体が大きくなっていき、産業界が人を必要としました。企業は社員に辞めてもらっては困るので、辞めさせない仕組み、つまり年功序列が出てきました。日本人=年功序列だというイメージがありますが、実はそんなに歴史が長いわけではないのです。
年功序列も、功労・功績に応じての序列ならいいのですが、年齢だけの序列というのはどうでしょうか。同じ50
歳でも非常に生産性の高い人と、ほとんど引退に近いような人が、同じ給与だというのはおかしい、ということで日本の固有の制度と言われている職能資格制度が出てきました。
アメリカやヨーロッパでは仕事で給与が決まる職務給が一般的です。これはなかなか日本人にピンとこないところですが、極端に言えば、その仕事をやる上においては同じ給与だということです。日本でもいくつかの会社が欧米流でやっていこうと、職務給を導入しましたが、やはり日本人には合いませんでした。
職務遂行能力の登場と成果主義
いくつかの会社がアメリカなどで導入されている、職務給を日本で試しても、うまくいかないということが分かり、その後、能力だけでもない、かと言って職務を無視しない、つまり、職務遂行能力を発明しました。
私がコンサルタントになった20年前、職務遂行能力を指導していて思ったのは、能力を評価するというのは難しいところがあるということです。企業は普通テストができません。「あなたは今年どの程度能力が上がったか」と、毎年テストができれば簡単なのですが、仕事を見ながら、この人の能力が高くなったとか、なっていないということの判断が難しく、結局、日本では6
~ 7
割くらいの会社が職能資格制度を取り入れましたが、結果をよく見たら、年功序列とあまり変わっていないということに気がつきました。つまり、職能資格制度と言っていても、年齢の高い人の給料が高く、若い人はそうではないのです。これではまずいということで、またアメリカから成果主義が入ってきて、いくつかの会社が成果主義にトライしました。
成果主義の実態
大企業では7
割くらいが成果主義になっているというデータがありますが、あまりうまくいっていないという話を聞いていると思います。成果主義は悪いものではありません。そこで、今は成果だけを見るのではなく、能力も併せて見るところが多いようです。
この成果というのも非常に難しいところがあります。例えば、営業の場合1
億円売ったら偉くて、5000万円ならだめな営業かと言うと、そうでないことがたくさんあります。5000 万円売るのがすごく大変な市場と、1
億円はだれでもほぼやれるという市場があるからです。数字だけ見る危うさがあるので、今は成果も、能力も見るというところが増えてきています。
制度の導入状況
ここまで、人材評価に関わるさまざまな制度を紹介してきましたが、それぞれの制度の導入状況を見てみましょう。
下表は社会経済生産性本部がまとめたデータです。これによると2000
年職能給は、管理職層では82.4%、非管理職の一般職では87%が行っていました。それが2003年ではそれぞれ60.6%、69.3%に減っています。
職務や役割で評価する会社は少し増えて、2000
年43.9%から2003
年は53.4%になっています。
年俸制は、あまり増えているわけではありませんが、一定の割合では導入されています。
定昇制度は、きちんとやっていれば昇級がする制度ですが、これは減ってきています。
以前は「1
年がんばったのだから、少しは給与も上がる」というのが常識でしたが、今は「仕事が同じなら、別に給与を上げる必要はないだろう」ということでしょう。
キャリア開発支援関連の社内公募制は、あまり広がっていないようです。
社内FA
制度は野球のように、自分で手を挙げると異動できるかもしれないという制度ですが、運用するのはとても大変です。「毎年手を挙げているのに、全然会社が言うことを聞いてくれない」となった場合、やぶへびになってしまうことがあるからです。
評価関連では苦情処理制度と言って、自分の評価に納得できなかったら手を挙げてもいいということで、これを導入している会社が36%あります。
コンピテンシーは成果を上げるための行動特性、つまり成果を上げる人と上げない人は何が違うのか、という切り口で能力を捉えたもので、導入は増えてきています。特に大手は6
~ 7
割が取り入れていますが、うまくいっている会社がどの程度あるかと言うと、半分くらいでしょうか。
多面評価は、部下が評価されるばかりではなく、管理職も評価します。いろいろな人からの評価を聞くというのが多面評価で、これはトレンド的にも、確実に増えていくと思います。
制度運営のポイント
実は人材評価制度に関連して、あまりもうかっていない会社の一つのパターンがあります。
それは、新しい制度にどんどん飛び付き、古い制度をすぐ捨ててしまう会社です。今年はこれがはやっているからこれ、ちょっと違うから、次はこれというふうに、完全に消化する前に次の制度に飛び付いてしまうのです。
経営者、人事部長がこのようなタイプの場合、特にこのような傾向が強く、コンサルタント会社も悪いのですが、仕事を売り込もうとして「職能資格制度ではない、これからは成果主義だ」などと言うかもしれませんが、そういう口車に乗ってしまうと、だいたいうまくいかないものです。
石の上にも3
年とことわざがありますが、人事制度も同じです。最低でも3
年間は同じ制度を運用して、そこで改善を行うことがどの人事制度を導入したとしても大切なポイントです。
次回は引き続き、田辺様のお話から人事評価の問題に関してお伝えする予定です。





