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中小企業が取り組める社員と組織が活きる仕組み「人材評価と賃金制度の仕組みづくり」

掲載日: 2009年02月14日

その2:人事評価の問題点


株式会社ジィ・ディー・エル 代表取締役 田辺 和彦 氏



 今回も2007年10月17日(水)にJAGATで行われた「中小企業が取り組める社員と組織が活きる仕組み 人材評価と賃金制度の仕組みづくり」セミナーから人事評価の問題点について株式会社ジィ・ディー・エル 代表取締役 田辺和彦様のお話をまとめます。


人事評価に関わるさまざまな問題
 人事評価に関わる問題は大きく
①目標設定に関わる問題
②情意考課やコンピテンシー評価に関わる問題
③フィードバックに関わる問題
の3 つに分けることができます。今回はこの3 つの問題についてお伝えします。


①目標設定に関わる問題
 目標管理は、上司と話し合いながら目標を立て、基本は自分で目標を追求し、結果も自分で振り返りながら、次の目標に対してまた上司と話し合っていくという流れを踏むものです。目標管理を導入している企業は、全企業の8 割で、さらにその8割が人事評価とリンクしています。
 これには良しあしがあります。良い点は、定性的な評価ではないもの、例えば私の仕事のミスが昨年は15件発生したので、それを半減させるという目標を掲げたら、少なくとも今年の結果が7 件なのか10 件なのかによって、一応評価がはっきり出るということです。
 一方、積極性、規律、協調性などは定性的になってしまいます。「チームワークをよく発揮したか」「後輩をよく指導したか」などどうしても評価者の好き嫌いで判断されてしまいます。さらに「数値化、数値化と言われているから、本当は以前のようなミスは発生しない環境になっているが、目標としてミス7 件以内としておこう」というように、目標がゆがんでしまうことがあります。
 まずしっかり社員教育をして、きちんとした目標を立てられるような社員をしっかり作り、管理職も部下の目標設定にうまく関われるような人材に育て、それから実際に運用するということが必要です。
 最初から一足飛びにやろうとすると、目標そのものがゆがんでしまうという傾向が多く感じられます。


②情意考課やコンピテンシー評価に関わる問題
 情熱と意欲を持って取り組んだかというのが情意考課です。具体的には、きちんとルールを守ったか、協調性を持って仕事をしたか、積極的に自分の守備範囲を広げ能力をアップさせる姿勢が見られたか、言われたことを最後まで投げ出さずに、また他人のせいにせず、自分で結果を出そうとして取り組んだか、などが情意考課で、どこの会社でも使われていることでしょう。
 ここで問題になるのは情意考課の場合、何を評価し、何を評価しないのかという評価要素の理解がまちまちになってしまったり、逆に覚え切れない評価項目が存在する場合もあります。また、よく問題になることですが、協調性というのは、本当はチームワークや同僚、上司、下級者、もしくは部下を超えた人たちとの協調性を指すのですが、評価する側は、だいたい自分との協調性、つまり「管理職である私」との協調性と捉えてしまいがちです。
 さらに、最近ではコンピテンシー(成果を上げる思考・行動特性)という考え方があり、情意考課を置き換えている会社がありますが、残念ながら今のところあまりうまくいっていないようです。
 成果主義を取り入れている企業も多いかと思います。しかし、「自分の結果だけ出ればいい」「自分の結果で給料が左右されるのだから、同僚のことなど構っている暇はない」という、「成果主義=個人主義」に陥ってしまっているところもあります。
 組織はチームワークです。この情意考課に関わる内容は、絶対社員に求めていかなければいけません。


③フィードバックに関わる問題
 この問題に関しては、「評価をしたら結果を本人に伝えよう」ということに尽きます。当たり前の話ですが、これができない組織がけっこう多いのです。また結果の伝え方を、管理職は小さく捉えがちで、例えばある組織が、S、A、B、C、D の5段階、5 点満点だとします。部下に今年の評価を伝える時に、「田辺君は5 段階評価で今年は3 点だった」ということを伝えなければいけないということが頭の中のほとんどではないでしょうか。さらに、「私は田辺君を4 点と見たが、上のほうで調整されて3 点になった」という場合、「事実を伝えるのが怖いので、評価をフィードバックしろと会社から言われているが、しない」と考えたり、「結果が良かったらフィードバックは必要ではない」と思うという管理職の方もいるのです。
 最近、「何となくフィードバックの時にはいいことばかり言われた」と感じている人が増えています。これは管理職の自信がなく、日々会議だと言って呼び出されたり、得意先のところへ行くなど、社内にいる時間が短く、部下と接する時間も全体的に短い場合、評価に関して自信がないのです。
 部下は、自分のことは自分が一番よく知っていますが、一方上司は全員の部下のことを分かっているわけではなく、フィードバックの際に腰が引けてしまうのです。
 腰が引けると、「田辺君、よくやってくれたね」と、真綿でくるむように、「来年もよろしくね」という当たり障りのないフィードバックになってしまい、これは部下からすると、「しかられないだけマシだが、来年何をすればいいかよく分からない。どこをがんばればいいのか、どこが駄目だったのか、そこを教えてほしい。そういうところが不十分だ」と感じるのです。
 ただ管理職の立場で言えば、「うちのシステムではフィードバックできない」と言う方もいます。
 部下がたくさんいる、プレーイングマネージャーでプレイヤーもしている、部下のことをずっと見ているわけではない、自分が付けても人事部で勝手に変えてしまう、社長が変えてしまうなど、「それでフィードバックしろと言われても困る」というのが管理職の悩みではないでしょうか。そのため、フィードバックがあまりうまく機能していないのです。
 年配の方からすると、なかなかピンと来ない部分だと思いますが、今確実に若い人たちは、給与もさることながら、私は会社からどう見られているのか、上司からどう見られているのか、そこを知りたがっています。年配の方は「そんなことはいい、結果だ。結果は銭だ。給与さえもらったらいい」というように考えがちですが、今の若い世代は、「給与ももちろんだが、何がOK で何がNGなのか、そこを知らせてくれないと困る」と言います。
 大変かもしれませんが、「きちんと評価を伝える=社員の成長」につながります。「田辺君、こういう点は良かった。しかし、こういう点も少し工夫してごらん」ということが年に1 回でも2 回でも話し合うことができれば、すごい成長につながるのです。
 「会社はどう見ているのだろう。賞与の結果からすると、自分はまあまあなのかな」というくらいでは、社員は成長しません。管理職が地道に部下に評価を伝えることはかなり効果の高い教育の一つなので、きちんとしたフィードバックができるようになったほうが絶対いい組織になり、いい従業員が育っていきます。


次回も引き続き、田辺様のお話から賃金制度の仕組み作りに関してお伝えする予定です。