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中小企業が取り組める社員と組織が活きる仕組み「人材評価と賃金制度の仕組みづくり」

掲載日: 2009年02月14日

その3:賃金制度


株式会社ジィ・ディー・エル 代表取締役 田辺 和彦 氏


今回も2007年10月17日(水)にJAGAT で行われた「中小企業が取り組める社員と組織が活きる仕組み 人材評価と賃金制度の仕組みづくり」セミナーから賃金制度について株式会社ジィ・ディー・エル 代表取締役 田辺和彦様のお話をまとめます。


「年功序列をやめる」という選択
「年功序列」は悪くはありませんが、「年齢序列」はよくありません。同じ年齢でも、よくがんばっている人とそうでない人はいるのです。そのため、現状「年齢序列」になっている「年功序列」制度を見直ししたほうがいいと思います。

年功序列型の現実的廃止方法
大切なことは、
1. 組織の存続・成長を考える
2. 長期的・説得的に対処する
の2点です。
つまり、これとは逆の
・自分の対面を保つ
・突然激しく実行する
ということはしてはいけないのです。
年功序列を廃止していくためには、組織にとって必要なことだ、良いことだということをきちんと考えなければいけません。ところが、年功序列が続けられる一つの理由は、「今さらあの人に役職を下りろ、等級を下げろとは言えない」ということです。
確かに、このような立場の方の状況も分かりますが、もう少し広い視野で、長期的に考える必要があります。
「言えない」ことを理由に年齢序列の制度を維持すると、その部下自身は問題ないかもしれませんが、その周りに不満を抱える部下がたくさん出てきます。経営陣、人事部長からすると、このような状況が見えにくく、「あの人に役職を下りろ、給与を下げるとか言うと、腐るだろう。やっぱり、できない」と考えてしまいがちです。もちろん、人情的にはよく分かるのですが、その人を大切にするが故に、たくさんの人が不満を抱えているのだということを、よく見てほしいと思います。この不満が、やる気をなくすということにつながり、退職してしまったり、仲間同士でいがみ合ったり、チームワークが乱れてくる場合もあるのです。


きちんと伝える大切さ
これはやってみないとピンと来ないかと思いますが、等級を下げた、給与が下がったことを理由に辞める人は案外少ないのです。人の選び方、評価方法、伝え方にもよりますが、きちんとその人の立場で説明すれば、「自分は今までだめ管理職と言われ続けたが、ようやく管理職ではなくなる。給与が下がるのはくやしいが、同じ会社で、これまでのキャリアを積ませてもらうなら、それでいい」とのように、逆にほっとするというタイプの人が多いのです。もちろんすべてのケースがそうだとは言いませんし、話の持っていき方によっては、いろいろな不具合はあります。
気持ちを鬼にしてとは言いませんが、少し長い目で、会社の存続・発展のためにと考え、そして長期的・説得的に対処するのが大切です。突然激しくやるというのは絶対によくありません。
長期的にと言うのは、「能力と成果」と「賃金」の関係が適正でない場合、それを金額的に是正するということです。例えば、既得権益で50万円もらっている場合、一般的には「本当は一つ下の等級に下りてもらうので、今50万円払っているのは、40万円しか払えないが、10万円は調整給に持っていき、一度には減らさない」という方法です。5年にわたって償却していく場合、10 万円は段階的に毎年2 万円ずつ減らしていくことになります。
このほかに、資金に余裕のある会社が導入している方法で、個人に対して一番優しい「新たな昇級をやめる」ということです。つまり50万円は下げないということです。


避けて通れない退職金制度の変更
現実に合った仕事、賃金に改訂するためには、退職金制度との絡みが生じます。退職金が基本給とリンクしている場合、基本給の掛け算で退職金が算出される場合、賃金改定をすると退職金まで変わってしまいます。そこで、賃金制度改定に合わせて退職金制度も見直し、基本給とのリンクを断ち切ることが必要です。そうしないと、基本給を上げない仕組みを作らないと退職金が膨らむため、基本給がゆがみ、第2基本給や、第3基本給など、意味の分からない基本給や手当がたくさん出てきてしまいます。
ある会社の人事部長に、「この手当は何のために付いているのか」と聞くと、「これは20 年前の話なので分からない」と言われたことがあります。この理由の一つも、退職金とのリンクがあるからだと思います。
基本給もいろいろなパターンがありますが、例えば1 等級は16万円~ 18万円、2等級は18万円~ 20万円というふうに幅を持たせるやり方で同じ金額でも等級が違うというパターンが現実的です。
それは、昇格しないと給与は上がらないという仕組みでは、よほど説明しないと、なぜ昇格できないのかというあたりで、侃々諤々(かんかんがくがく)の話し合いになってしまうので、この問題をある程度緩和するために、一般的には日本の企業はだいたい2段くらい重なるという方法が現実的には落としどころだと思います。


ポイント制退職金制度
退職金を基本給で決めない「ポイント制」という考えがあります。これは、在籍等級に応じたポイントが毎年蓄積され、積算ポイントに単価を掛けた金額が退職金になるという方法です。例えば1 等級は1年間3ポイント、2等級は6ポイント、3等級は10 ポイントとあらかじめ等級ごとに年間ポイントとポイント単価(例:1万円)を決めます。
計算例)
1 等級に10年間在籍していた場合、3ポイント×10年間=30ポイント1 ポイント@1万円で30万円となります。
そのため、3 等級(年間10 ポイントの場合)で入社した人が10 年在籍した場合は10ポイント×10 年間で退職金100 万円になります。
実際はどういう昇級・昇格の仕方をするかは人によって違うので、退職時に同じ勤続年数、等級でも、それぞれもらえる退職金は違うのです。


ポイント制退職金のメリット
この制度のメリットは基本給とのリンクが断ち切れることと同時に、その人の累積の貢献が反映しやすいということです。例えば、大器晩成型で、40歳でも1等級、2等級に在籍。しかし最後は5 等級で終わった人と、とんとん拍子に出世して長く5等級で働いたという人ではもちろん受け取る退職金額が違うのです。このように、累積の合計が反映しやすい退職金制度です。ところが、基本給を元にした場合、退職時の給与は同じですので、単純に受け取る金額が同じということになります。
賃金制度の改善を考えるなら、退職金制度の改定も併せてやることをお勧めします。