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2012年度新入社員「奇跡の一本松型」タイプは、厳しい就職戦線をやっとの思いで抜け出し無事入社を終えた。
企業は、入社式や新入社員の扱いを工夫し、たとえば百貨店の高島屋では、入社式(4月1日)において「スーツ禁止」を呼びかけ、ジーンズやワンピースなどカジュアルな装いのなか、鈴木弘治社長ら役員もノーネクタイで臨んでいる。鈴木氏は「百貨店は変化に対応できず苦戦している。新しい感性で古い習慣を壊してほしい」と述べている。
環境面を見ると、大卒予定者の就職内定率は昨年より改善したものの過去3番目に低い(80.5%)という厳しい状況であった。昨年に引き続き厳しい環境の中で入社したこともあるせいか、4月5日に開催したJAGAT「新入社員養成講座」における受講姿勢を見ても、緊張感と意識の高さが感じられた。
ちなみに、公益財団法人日本生産性本部が毎年発表する新入社員のタイプ(ネーミング)は、「奇跡の一本松型」だという。東日本大震災にも耐えて生き残った「奇跡の一本松」のように、前例のない厳しい就職戦線を潜って残った頑張りを称えることからネーミングされた。
■入社後の3年が社会人、企業人の基礎を作る
新人社員は、高い意欲とモチベーションを持っている。企業から大きな期待を受け、その期待の認識と自らの目標に向かった道を歩んでいく。
今回の「新入社員養成講座」におけるアンケートを見ても、個人の気づきや今後の目標(なりたい人物像)等の記載において、目標を明確に主張し、丁寧に表現できる新人が多く存在した。
新入社員を早期戦力化するには、初期の意識改革や集中教育が有効である。たとえば、DIC社長の中西義之氏は先日の入社式において、「入社して最初の3年間は社会人、企業人として自立するための基礎をつくる期間である。この期間をどう過ごしたかによって、その後の仕事のスタイルが決まる。とにかく、この3年間は一所懸命いろんなことを吸収し、仕事に対する基本姿勢や基本能力をしっかりと身に付け、どんな部署でも通用する人材となってほしい。」と述べている。
また、コニカミノルタホールディングス社長の松﨑正年氏は、「志を持て、高く持て。社会のため、当社のため、自分のために、やり遂げるだけの価値があると思う目標を自分で掲げ、その実現に邁進していただきたい。それが企業人として明日からの行動を決め、どこまで成長するかも決める。そしてなによりも充実感を決める。努力するだけでは充実感は得られない。目指すものがあるからこそ充実感が得られる」。
さらに「強みを作り、強みを活かす。満遍なくそこそこできることは学生時代優等生になるには良いアプローチだったが、グローバルに競争する企業の中で存在感を発揮するには別の戦略が必要である。弱点を修正だけでは存在感は発揮できない。存在感を発揮し高い成果を上げるには、強みを作ること、その強みを磨いてそれを活かすことである。」と述べている。
上記2人の企業トップの例でもわかるとおり、企業も新入社員を悠長に育てていく余裕はなく、そのためには効果的な教育のステップを考える必要がある。もちろん新人だけが対象ではなく、企業全体のレベルアップこそが業績向上の原動力になり、重要なファクターであることは言うまでもない。
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