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新項目出題ついては、本試験前の新出題/変更問題項目や試験後の講評などいろいろな機会を通じて伝えせてきたが、改めて今回の更新試験の出題を例にして述べさせていただく。
リード文にも関連して、この時期は更新試験対象の申請者は、更新試験に取り組んでいただいている。この認証試験の出題傾向を半年前にも「第36期DTPエキスパート更新試験結果」の(2011年11月10日)のHPや「更新試験を題材にした記事などで事あるごとに述べさせてもらっている。基本的には2年毎に本試験の差分が出題されいる更新試験の出題の問題項目を見るだけでもその2年間の本試験の出題傾向を一定限理解できる。
今期の更新試験の出題の問題項目を下記に挙げてみる。
見積りと用紙/印刷用紙の規格/縦組みと横組み/フォントと組版/ユニバーサルデザイン/知的財産権/画像レタッチ/分光特性とLED光源/UVインキ/デジタル印刷のワークフロー/インクジェット/デジタル印刷機/印刷の再現技術/Flash(フラッシュ)/特色の扱い/HTMLとXML/DTPアプリケーションの基本操作/DTPアプリケーションの運用/PDF基本問題/Windowsの文字コード/テキストのエンコード/電子書籍/電子媒体のフォーマット/ワークフローの情報交換/インタフェース/CRTとLCD
出題項目の名称だけでは、正直なところ半年前の更新試験と比較してほぼ一緒である。異なる項目では、「デジタル印刷のワークフロー」「DTPアプリケーションの運用」「テキストのエンコード」などである。半年前との比較なので全くの新しい項目としては各設問のリファイン、リニューアル(実際のバージョンに対応させたり、現状の仕様にあわせたり、選択肢の改善など)を含めると毎期ごとのおおよその新問題の出題はこの程度の割合である。
機会あるごとに述べさせていただいているが、更新問題は、特に奇をてらう出題はなく対象の2年間で新たに注目される項目の出題や、従来からある基本的な問題のリニューアルで概ね構成されている。 つまり本試験の新出題/変更問題項目を集約したものある。こうした新出題は、あくまで目新しいだけではなく、少し大げさではあるが、業界の現状/動向を見回して知識レベルとしても知っておくことが必要なものと考えている。
新出題の「デジタル印刷のワークフロー」を例に上げると、特に最新のテーマではなく、従来のデジタル印刷機での出題を内容を改めてワークフローの側面から捉えた出題である。現行のデジタル印刷機の状況を考えてみると如何に上手く活用されるか、他との差別化、オフセット印刷との併用/共存と言ったことは簡単には言い表せない状況にあることは否定できない。単にデジタル印刷機の機能であったり仕様であったりすることも重要(既に多くの出題がされている)ではあるが、それと共にその運用つまりワークフローを考えていかなければならない。そんな状況を踏まえてこうした出題になったわけである。
下記にその問題文の抜粋を挙げて見ると
現在の印刷業界においては、既存の御用聞き営業方式では採算が取れないことが明白化になりつつある一方、デジタル印刷の普及により、印刷ビジネスの可能性は拡がりつつある。
現在の印刷メディアでは、マルチパーパスを意識したフローが提案されている。具体的には、電子書籍やアナログ印刷とデジタル印刷を組み合わせたハイブリット印刷を意識したフローになっている。現在役立つ機能を具体的に挙げると、アナログ印刷ではギャンギング してコストを落とすというものが出てきている。欧州では大判印刷機の普及とともに付け合せ印刷が不可欠のものとなっている。それを自動化したのが昨今のワークフローRIPであり、JDFデータも考慮して断裁までリンクするようになっている。
また、ネットワークの発展・普及に伴い、デジタル印刷・アナログ印刷双方にメリットのある
Web to Print機能のソリューションで営業コストを下げていくというアプリケーションも増えてきている。このような非マス的な価値観の世界が新領域であり、これらを正当な価格で正当な利益を確保しながらこなしていかなければならない。
今後は、グラフィックアーツ市場向けインクジェット機の存在感が増していく。トナー式デジタル印刷機が先行するなか、書籍や冊子の印刷を対象にした輪転式インクジェット機においても、各社から続々と発表されている。複数のジョブを同じロール紙に折り面付けしたものを印刷、その後、そのロール紙をシートカットしたあと製本、三方断裁して仕上げるというフローが成り立っている。このように、デジタル印刷の生産性の高さや生産コストの低さは、既に実用的になってきている。
もちろんこの出題一つでデジタル印刷の運用などがすべてが理解できるわけではないが、DTPエキスパートととして効率のよい全体運用を見渡せる能力を求めれれる。従来からもこうしたワークフロー関連の出題はされてきたが、改めてデジタル印刷ではそれをうまく運用するワークフローが求められていることをを考えていかなければならない。(資格制度事務局)
■DTPエキスパート認証試験
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