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読書ファンは電子書籍を待っている
多くの出版社が協力して電子書籍を推進する企業を設立しようとしている。出版デジタル機構では、超大手から小規模・専門出版社までを巻き込んで、魅力的な電子書籍を生み出すための活動を目指している。
「若者の活字離れ」は本当か
「若者の活字離れ」と言われることがある。
たしかに、出版業界の売上は雑誌・書籍ともに10数年に渡り、低減し続けている。
新聞の定期購読率もこの15年で大きく低下している。1995年と2010年との比較で、32%→13%(20代男性)、55%→23%(30代男性)、67%→41%(40代男性)という調査もある(NHK放送文化研究所)。
1月9日は「成人の日」であった。今年、大きく報道されていたのは、2012年の新成人が全国で122万人ということである。1994年の第2次ベビーブーム世代の新成人207万人と比較すると、6割に満たないほどの急速な減少である。ピークの1970年(団塊世代)の246万人から見ると、半減である。
高齢化社会と言われているが、高齢者の実数が増えただけでなく若年人口の実数も減少した結果、相対的に比率が高くなっているのである。
当然の帰結で、例えば10代、20代など若年層を対象にしたビジネスはすべて若年人口減少の影響を大きく受けている。たとえば、若者の自動車離れと言われることもあるが、そもそも人口が少ない。教育機関の定員割れなども珍しくなくなっている。同様に、若年層を対象にした雑誌・書籍も、この影響を大きく受けていると考えられる。
しかし、その一方で文字媒体としてのWebやメールは幅広い年代で親しまれている。よく言われるように、首都圏の電車の中で新聞や雑誌を読んでいる人は、本当に珍しくなった。文庫本を読んでいる人はそうでもないが、多くの人はケータイやスマートフォンを手にしている。
それだけではなく、出版業界の売上には古本は含まれていない。ブックオフは全国で大規模な店舗を展開しており、中高生から成年まで多くのファンに支持されている。
筆者の知人で、自分が購入した書籍を読み終えると、即座にブックオフで買取してもらうという者がいる。要は自宅に本を置かない主義とのことである。
また、首都圏の図書館はどこも盛況である。図書館で最新のベストセラー書籍が数10人待ちとなっているのは、ごく日常的なことである。誰でも無料で人気作家の最新書籍が借りられる、読書ファンにとっては天国のような状況があるのだ。
自分自身のことを言うと、以前は書店で時間をかけて本を物色することが多かった。今では、ほとんどアマゾンで購入している。まずは、数多くのユーザーレビューを読むことで、内容をチェックし、何が魅力なのかを把握している。同じ著者の作品が瞬時に一覧できることや、アマゾンのリコメンド機能に乗せられて購入することも多い。
現在の20代の若者が「活字離れ」しているかどうか、一概に言うことはできない。雑誌・書籍を買わないのは、ネットに移行したからでもあるが、古本を買っているかもしれないし、図書館を利用しているからかもしれない。人口が減った影響も大きい。
電子書籍の魅力は何か
ネットでいつでもどこでも購入できることや、手軽にたくさんの冊子を持ち運べることなど、電子書籍の魅力は数多い。
日常的に何冊も紙の書籍を持ち運ぶことは考えられないが、電子なら何冊でも持ち運べる。いつでも好きな部分だけを読むことができる。
電子書籍では最後まで読むことが出来ないとか、読んだ本を書棚に並べることで達成感が得られるという人もいるが、紙の本でも最後まで読まれているかどうかは判らない。最後まで読まなければいけない理由もないだろう。
リーズナブルな価格でいつでもどこでも購入でき、スマートフォンやタブレットPC、電子書籍リーダーなどいろいろなデバイスで手軽に利用できる電子書籍を待ち望んでいる読者は少なくないだろう。
現時点で電子書籍が普及していないとしたら、魅力的なコンテンツが少ない、という理由以外には思いつかない。
2012年2月9日(木)のpage2012カンファレンス基調セッション2では、「出版デジタル機構の目指すもの」 と題したセッションを開催する。
■電機大出版局長で出版デジタル推進機構の代表幹事である植村八潮氏は、この数年来、電子書籍の標準化や電子出版に関わる委員会などで議長などを務めてこられた中心人物である。
現状の出版の問題点や電子書籍普及の課題について、お話いただく。
■講談社取締役デジタル担当で出版デジタル推進機構の幹事でもある古川公平氏には、講談社の電子書籍戦略をお話いただく。
国内の電子書籍の最初のヒット(ホームラン?)となったスティーブ・ジョブズの伝記本から雑誌・書籍・コミックの電子化、デジタル印刷によるオンデマンド出版まで、興味深い話が伺えるだろう。
■ポット出版代表取締役の沢辺均氏は、「版元ドットコム」など小規模出版の協力体制を構築した経験もあり、現在は図書館における電子書籍の可能性を検討するプロジェクトにも参加している。
小規模・専門出版社における電子書籍の取組み・課題、また図書館における電子書籍利用をお話いただく。
■ディスカッションでは、電子書籍が本当に普及するために何をするのか、読者(読書ファン)にどんなサービスを提供するのか、これからの夢を語っていただきたいと考えている。





