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    不易流行の経営~事業承継と新創業を考える 「JAGAT経営シンポジウム2011」開催報告

    掲載日: 2011年12月07日

    恒例の「JAGAT経営シンポジウム」を、11月22日(火)に前回と同じ会場(千代田区立内幸町ホール)で開催した。「不易流行の経営~事業承継と新創業を考える」をテーマに、75分の基調講演と120分のディスカッションで構成し、約80名の参加者が最後まで熱心に耳を傾け、スピーカーの本音と熱意が飛び交う聴き応えのあるシンポジウムとなった。

    昨年は「組織力とモチベーション」をテーマに経営シンポジウムを開催し、続く今年6月の「JAGAT大会2011印刷新創業宣言~高い志と本物の勇気」では、越純一郎氏の講演が大変好評だった。そこで、今回の基調講演では、JAGAT大会のテーマを深める意味で、一橋大学大学院 菅野寛教授に「真の経営者」に求められる資質をお話しいただいた。そして、ディスカッションでは、事業を継ぐこと、事業の存続に必要な条件とは何かを考えることとした。


    基調講演「経営者になる 経営者を育てる」

    基調講演のタイトルは、菅野教授がボストン コンサルティング グループ(BCG)在籍中の2005年に発刊した同名の書『経営者になる 経営者を育てる-BCG戦略リーダーシップ』から付けたもので、同書を文庫化した『BCG流経営者はこう育てる』が2011年2月に発刊されたことからも、その内容が少しも古くなっていないことが分かる。

    菅野教授は、不易流行の意味 、企業経営において、変えるべきものは何か、変わるべきでないものは何かを考える必要性に言及した後、「成熟産業での成長・成功はあり得るのか」という視点から、業界の常識を打ち破ることで成功した、セメックス(メキシコのセメントメーカー)、マブチモーター、ヤマト運輸、ユニクロ、青山フラワーマーケットの事例を紹介した。

    BCGで17年間コンサルティングに従事し、多くの優れた経営者と仕事をともにした経験から、経営者に必要なスキルは習得可能であり、それにはコツがあることに気付いたという。
    そして、今の日本に最も欠けている経営資源は“真の経営者”であり、経営者に最も必要とされるものは「何が何でも結果を出そうという強烈な意志」であり、さらに「不完全な情報下でも決断する勇気」「フレームワークにとらわれないインサイト(洞察力・発想力)」「考えるしつこさ・実行するしつこさ」「夢を共有するソフトな統率力」の5つであると語った。

    事業とはそもそも成功しないもので、他社と同じことをしていては「儲からない」が、他社と違うことをやれば「失敗する」。必ず成功する方程式はないが、成功確率を上げることはできる。そのためには、これをやったら絶対に成功しない「落とし穴」を徹底的に避けて、その上で「実行を徹底する」。集中度・スピード・しつこさ、勇気・情熱をもって、こまめに軌道修正することで差がつくのだ。 


    ディスカッション「事業承継と新創業~新たな領域への挑戦」

    菅野教授をモデレーターに、金羊社の浅野健社長、不二印刷の井戸剛社長、日本電鍍工業の伊藤麻美社長が、いかに事業を引き継いだか、今後どのように事業を存続させたいかについて意見交換した。

    浅野社長は全日本印刷工業組合連会の前会長で、現在はJAGAT会長でもあり、印刷業界では全国区の知名度をもつ大御所である。井戸社長は大阪の若手経営者として、従来の印刷業務にとらわれないサービスの提供に注力している。伊藤社長 はラジオDJ、宝石の鑑定・鑑別士から転身して、倒産寸前のメッキ加工メーカーを3年で黒字化させた女性経営者である。3人の共通点は創業者または事実上の創業者の長男・長女であることだが、事業を継承した経緯は三者三様で、それぞれの苦労と努力があった。しかし、創業者の志をいかに引き継ぐべきか、変革すべき点は何か、新領域へのチャレンジなど、共通する課題も多かった。

    事前の顔合わせでお互いにさん付けでいきましょうと決めただけあって、ディスカッションは和やかな雰囲気で進められたが、生々しい体験談や苦労話、初めて語られた話もあって、参加者の多くが身を乗り出して話に聞き入っていた。
    お話の詳細はここでは紹介できないが、参加者から「本音トークで面白く、勉強になる話が聞けた」「素直な言葉と心で語っていただき感銘を受けた」「経営における様々なキーワードが非常に参考になった」などのコメントが寄せられた。

    困難な決断もあったというスピーカーの話に対して、菅野教授は経営者の人間的な魅力の重要性を強調し、優れた経営者に共通する魅力として「ネアカであること、心根の優しい善人であること」を挙げ、「経営者には必要ならば情を捨てて人を切る勇気が求められるが、善人であるからこそ社員も関係者もその決断を支持してくれる」と、3人の経営者の勇気にエールを送った。


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