本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。
第12期クロスメディアエキスパート認証試験の合格発表(10月25日JAGAT Webサイト)を踏まえ、解答の傾向と試験が問うポイントを報告します。
■全体を通して
社団法人 日本印刷技術協会は、2011年8月21日(日)に第12期クロスメディアエキスパート認証試験を実施いたしました。受験申請者222名のうち、過去最高の210名が受験をしました。採点・検討が行われた結果、過去最高の82名(合格率:39.0%)の方が第12期クロスメディアエキスパートとして認証委員会により認証されました。なお、今回の試験より「二段階合格方式」を採用したことから、学科試験のみの合格者は78名おり、第13~16期の学科試験が免除されます。
■学科試験の傾向
過去問題の情報が、問題集(絶版)や受験サポートガイドにより受験者に浸透してきたことから、学科試験のみの合格率は71.4%となり9期試験以降、高い水準で推移しています。しかしながら、「メディアに関する市場規模の推移」の問題については、全ての期に渡り正答率の低い問題でしたが、第12期試験でも同様の傾向にありました。また、新規に出題された問題の一部については、今期に限らず全ての期の試験を通し、正答率が非常に低くなる傾向があります。前期試験で新規問題として出題された「ストリーミング技術:プロトコル」についての問題は、正答率が引き続き低い傾向にあります。インターネット上の動画配信が世間で一般的となっている現状を踏まえ、概要を掴んでください。
試験当日の会場では、全国的に時間に余裕がある受験者がおり、試験を終わらせ早めに退室される方が目立ちました。早く試験を終わらせ論述試験の対策をすることも受験テクニックの一つですが、出来る限り見直しの時間を設け、一問でも多く正答できるよう心がけてください。
■論述試験の傾向
1.試験内容と解答傾向
今期の試験では、建売住宅を専門に取り扱う中堅不動産会社が与件企業となり、その不動産会社に対するクロスメディア提案を行うといった出題でした。受験者の解答で多かった提案は、「Webサイトのリニューアル」や「ソーシャルメディアの活用」、「社長のつぶやきコンテンツ」でした。中には、「住宅を1軒プレゼントし、当選者に期間契約で住宅の良さをソーシャルメディアでアピールしてもらう」や「競合企業のマンションディベロッパーと提携し、地域活性化を中心としたプロモーション展開を行う」などといった提案もありました。論述試験だけで見ると、93名の方が合格水準の解答を書かれていました。
提案書としての様式が整っていない解答は少なく、論理性について疑問が残る解答が多く見受けられました。合格ラインである70点前後の受験者が最も多く、また、非常に良くできている解答(90点前後)と全くまとまっていない回答(40点以下)が5%程度ありました。論述試験全体を見渡すと、途中で時間切れとなってしまい中途半端な提案書となってしまった解答は少なく、提案書自体の完成度の受験者間の差異は少なくなっています。
2.出題の意図
今期の問題では、「秋祭りからの取り組みを今後の事業展開でも活用できるように・・・」と与件に記されているにも関わらず、「秋祭り」と関係のない提案が数多く見受けられました。また、与件企業を取り巻く市場動向などの外部環境に関する記載があったのですが、ほとんどの提案は、与件企業の内部環境である「強み」を活かすものか「弱み」を克服することを中心としたものでした。与件文に記されている内容については、ほとんどが意味のあるものです。提案内容を検討するときに、「なぜ、政府の施策について記載されているのか?」や、「なぜ、住宅購入予定者の求めていることが記載されているか?」も考慮してください。
論述試験の採点基準で最も重要視される項目は、「論理性」です。「与件企業がプロモーションを行う目的は何か?」、提案された施策を実行した際にどの様な効果があるかが求められます。建売を中心とした不動産会社であれば、「家をつくり、販売し、利益を得る」が基本となります。自社の「Webサイト」のアクセス数を増やすことが目的ではありません。提案をする際には、アクセス数を増やすことで見込み客を囲い込み、購買に繋げることが判りやすい提案(表現)となるように心がけてください。