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原価管理から始める全体最適化のロードマップ
原価管理からスタートして、MISの進化による投資効果を出しつつ、JDFワークフロー実現に向かうロードマップの概説
これからの収益性向上の重点施策
印刷企業の利益率はますます低下してきており、収益性改善の努力を一層強めていかなければならない。その方策として、個々の作業工程に新鋭設備を導入してのコストダウンは当然だが、それはひとつの必要条件に過ぎない。十分条件を満たす方策、それがIT化による全体最適化である。他社との同質の競争を抜け出し、スリムで筋肉質の強い企業に変身する方策はこれ以外にはない。
全体最適化は、従来にない生産設備の自動化から経営管理の質的向上、営業、工務業務の大幅な合理化、顧客とのコミュニケーション改善による顧客満足向上など、幅広い範囲で効果をもたらす。だからこそいきなり「全体最適化」を実現することはありえないし、どこから手をつけていいかわからないということにもなる。
ここで、少し具体的に考えてみよう。生産設備の自動調節といえば、プリプレスで作られたデータを直接、自動的に印刷機のインキコントロール装置に送ってインキ調整を自動化することは良く知られている。ここに、工程管理で作った日程計画のデータを合わせると、例えば、印刷機械側に表示された予定表示で次の仕事に取り掛かるとの指示を出せば、調整に必要なデータそのものが自動的に印刷機に送られて調整を始めることになる。
ここで考えるべきことは、このようなシステムのなかで、日程計画自体は相変わらずベテランの工務担当者がねじり鉢巻をして作るようなギャップを残したままでいいのかということである。答えは当然「否」である。経営管理のコンピュータシステム(MIS)を進化させてこのような部分の合理化をすることは、それ自体で大きな効果を生み出しプロセス全体の効率面での凸凹をなくす。同時に機械の調整自動化の仕組みと連携させることによってその効果をさらに向上させることになる。このようなシステム間の連携こそが全体最適化の肝なのである。
標準原価の把握からスタートしよう
全体最適化といわず、何を行なうにしても収益性改善の原点、というより経営の原が標準原価の把握である。
印刷価格は、「1色1枚」が単位になるが、これに対するコストは印刷機械の「1胴当たりコスト」である。しかし、これは企業によって数倍のバラツキがある。実例としてコストの低い会社は1胴1時間当たり4000円であるのに対し、高い会社は16,000円である。平均的には8000円程度になる。だから、売値がほぼ同じでも利益が出る会社と利益がマイナスの会社が出る。しかし、実は上記のような数字を把握している企業は驚くほど少ない。標準原価の把握なしで利益を管理できる時代ではない。
この数字を事前に把握するためには「部門別あるいは機械別アワーコスト」と「標準作業時間」があれば良い。
主要な管理システムの改善を図りつつJDF対応へ向かう
そして、この標準原価計算のやり方を使えば、コストを10%下げるためには、どこをどのように改善すれば良いかというシミュレーションも可能で、生産現場改善の具体的な手段、目標を明確にすることもできる。「標準作業時間」は日程計画の基本的データだから、それがわかっていれば日程計画をコンピュータで作らせて、担当者はその結果を見ての判断と調整だけ、という仕組みを作ることができる。また、各部門の目標利益と実際の利益の対比などの利益管理が可能になる。当然見積り、あるいは請求金額算出の元になるものである。
つまり、上記の二つのデータがあれば、主要な日常管理である一方で改善しにくい「見積もり管理」「日程計画」、「利益管理」を合理化するMIS構築が可能になる。それは経営管理の質の向上、非生産業務の効率向上の効果を出しつつ全体最適化のためのMIS 構築を進めることにもなるのである。
あるデータによれば、全体最適化の効果は生産現場関係が30%強で、70%は上記のような非生産業務の合理化から生み出されるとしている。したがって、MISの進化による非生産業務の改善を進め、その間に生産設備間での連携による自動化が可能な部分を推進、MISと生産設備の連携を仕上げ段階とするのが有力なロードマップのひとつであろう。そして、このロードマップにおけるMIS進化の第一ステップが標準原価の把握であり、それ自体、安値受注競争からの脱却の基盤になる。
Page2009 コンファランス 「E2 標準資料を活用したMIS」では、収益性確保のための標準原価の利用事例から、そのデータを活用してさまざまな効果を生み出すMISについて、具体的システムを紹介しつつディスカッションする。




