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月刊『プリバリ印』2011年10月号の特集は、「紙は長~いトモダチ!」 。製紙工場見学や製紙会社のインクジェット用紙最前線、和紙雑貨ブランドなど、紙の役割・価値、新しい関係を探ります。インタビューはクリエイティブディレクターの工藤青石さん。
雑誌や書籍、ノートや手帳、チラシやカタログ、包装紙や紙袋など、改めて見渡してみると、私たちの生活には紙があふれています。だれもがとってもお世話になっている紙は、いったいどのようにつくられているのでしょうか。
ファンシーペーパーや情報用紙、特殊な機能が付与された工業用紙などを生産する特種東海製紙の三島工場を訪ね、紙に関するお話をうかがうとともに、ファンシーペーパーの製造工程をみせていただきました。
(本誌特集「紙は長~いトモダチ!」より)
―― 機能紙の動向はいかがでしょうか。
ペーパーレスの影響を顕著に受けているのが情報用紙で、象徴的なのは電子化によって株券がゼロになってしまったことです。また、銀行の通帳の紙もつくっていますが、コンビニエンスストアのATMも増え、記帳される方も減ってきましたし、需要はあるものの緩やかに減っている状況です。
あるいは、一般にマークシート用紙といわれるOCR用紙で、これも国内では弊社が初めて手掛けました。昔は飛ぶように売れたのですが、ペーパーレス化も進み、さらには読み取る機械の性能が高くなって、特別な用紙でなくても読み取れるようになったこともあって、かなり需要が減っている状況です。ただ、センター試験の答案用紙は、若者たちの人生を左右する大事なものですから、長年弊社の製品を使用していただいています。
総じて、デジタルに置き換わるものについては、少しずつですがペーパーレスが進んでいるという状況です。その一方で、リーマンショックや東日本大震災の影響にもかかわらず、比較的堅調な、あるいは伸びている分野もあります。そこに共通しているのが「安心・安全」というキーワードで、具体的には医療包材と食品包材です。まず医療包材ですが、これは手術用具を消毒・殺菌する袋に使われる滅菌紙で、景気動向に左右されない底堅い需要があります。食品包材というのは耐油紙です。一般的にはフッ素系耐油剤が使われていますが、弊社ではノンフッ素系耐油剤を使用しており、大手のコンビニエンスストアさんで使っていただいています。
弊社では世界中からクリーンな原材料を調達し、富士山の雪解け水で紙を抄きます。きれいな水できれいな紙をつくるということで、チリやゴミの少ない紙づくりに特化しています。人の安全や食の安全を守るためのきれいな紙をつくれることが弊社の強みのひとつになっています。
もうひとつ、情報の安全ということでは、親展用のハガキなどで一度はがしたらくっつかない、特殊な糊をコーティングした圧着ハガキを開発したのも弊社です。個人情報保護の観点、あるいは80円の封書から50円のハガキへのコストダウン効果といったことから、順調な売り上げを保っている状況です。
特殊紙は、使われるハードが変わるとある日突然なくなってしまうという宿命を背負っています。ですから、印刷会社さんを中心にお客様のニーズを正確に捉えていく必要があります。弊社は多品種小ロットを地で行く会社ですが、常に新しいものをつくり続けていくことが三島工場を中心とした特殊紙の特長だと思います。
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本誌では、特種東海製紙の三島工場さんに紙に関するお話を伺うと共に、ファンシーペーパーの製造工程見学なども紹介しています。是非チェックください!
『プリバリ印』2011年10月号
特集:
紙は長~いトモダチ!
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印刷物をつくる人・つかう人の虎の巻 『プリバリ印』