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プリント

印刷技術そのものがビジネスツールだ

掲載日: 2009年01月26日

317_01mini.jpg 医療分野でのカラーマネージメントというと「そんなの関係ない♪(」と言わ れてしまいそうだが、実は「そんなの関係大有り♪」で、ひょんなことから大ビジネスに発展する(した)という例をご紹介したい。

医療分野でのカラーマネージメントというと「そんなの関係ない♪(2007年度の話題で済みません)」と言わ れてしまいそうだが、実は「そんなの関係大有り♪」で、ひょんなことから大ビジネスに発展する(した)という例をご紹介したい。
イロモノ(カラー印刷 物)、具体的には臨床用カラーガイド作成(印刷)について説明する。「胆道閉鎖症」といわれる病気のチェックシート(カラーカードと呼ばれている)作成の ためにカラーマネージメント技術がフルに使われたというドキュメンタリー解説である。
この内容はPAGE2009の基調カンファレンスA1「印刷技術&分 光色再現技術の医療分野への応用」 でお話しするが、医療だけということではなく、印刷技術が、色彩再現技術があらゆるビジネスに発展する内容である。 

事の発端は胆道閉鎖症の大家である国立成育医療センターの松井陽病院長が印刷品質についての質問をJAGATにしたことに始まる。「胆道閉鎖症」とは何らかの原因で胆道が詰まってしまい、胆のうから出る胆汁が腸に十分に届かず、消化吸収できなくなる病気だ。基本的には新生児を対象として検査されている病気 であり、重度の胆道閉鎖症と診断された場合は赤ちゃんの寿命は半年くらいといわれており、生死に関わる怖い病気である。処置法は胆道のバイパス手術等で胆 汁が腸に届くようにするのがメインで、病気かどうかを判断するタイミングを逸すると手遅れになってしまうので早期診断が大変重要なのである。

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病気の診断方法だが、赤ちゃんのことなので問診するわけにも行かず、血液検査や物理検査に頼ることになるのだが、コストや簡便性で赤ちゃんの便色(ウンチ の色)で判断する方法を成育医療センターの松井病院長が考案し、印刷会社とトライ&エラーの末、苦労して松井式カラーカードを考案され、臨床現場で実際に活用されてきた。
カラーカードの色度は胆汁が混ざると茶色になり、まったく胆汁が腸に行かないと灰白色の便になってしまう特性を利用しているのだが、3番(より下が異常)と4番(より上が正常)が分かれ道となっている。7番は人口乳の場合で、緑がかった便になってしまう。症例に適した便を採取する こと、また製版や印刷工程で色がずれてしまうので、何十校という直しの末、出来たカラーカード(チャート)なのである。
下図のカラーカードは岐阜県の例なのだが、各都道府県の新生児担当部門から赤ちゃんのお母さん宛に出される往復はがきで、お母さんが自分の赤ちゃんの便を一人でチェックできるように工夫されている。これで命を救われた赤ちゃんは数知れない。

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松井病院長のJAGATへの相談というのは「このカラーカードをより良くしたい」ということであり、その趣旨に沿って最新のカラーマネージメント技術を駆使してカラーカードの作成や医療工学的データを集めることとなった。印刷関係者(印刷会社、メーカー、カメラマン等)を総動員してのプロジェクトをスタートさせたわけだ。
カラマネ技術のもう一つの柱がカラー画像をRGBデータとして扱うのではなく、分光スペクトルで扱うということである。具体的には便のサンプル撮影を通常のRGBデータではなく、6分光データとして撮影する。総務省系の「ナチュラルビジョンプロジェクト」の流れを汲むNTTデータが開発したソリューションを使用している。
http://www.colordesigner.jp/
下図はRGBと6分光撮影を比較したものだが、一眼レフタイプのデジカメに特殊フィルターを装着して二回露光することで6分光データを作成している。6分光撮影はスペクトルデータとして色情報を扱えるので、病院内、家庭の照明光の影響も極小に抑えることができるのだ。もちろん色再現精度もアップし、色差で表現すればRGBに対してΔE2.0程度良くなっている。このように撮影したデータをカラマネ環境下でモニターチェックするわけなので、松井病院長が苦労してカラーカードを作成したときと比べると、その生産性や精度は比べものにならないほど向上している。
そして画像処理自体もスペクトル情報自体をレタッチする独自のノウハウを駆使している。RGBのバランスを整えるのではなく、スペクトル形状自体を近似させてしまう「必殺技(分光レタッチ)」で色を造っていくので、高原などの影響(メタメリズムの問題)も排除できるのだ。

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国立成育医療センターを本拠に胆道閉鎖症の研究拠点は全国に存在しているのだが、まず国立行政法人国立病院機構栃木病院の羽金和彦臨床研究部長が共同研究者として参加され、先生の臨床研究室に成育医療センターと同じナナオのCG241Wがセットアップされた。羽金先生はカラマネ技術を独学で勉強され、カラープリント一枚印刷するにも「モニターでこの色ならこれくらいに出る」的に印刷していたとのことである。それが印刷関係者と一緒に研究することで、ストレートに色を考えることが出来るようになり、本来の研究に専念できると絶賛いただいている。

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カラーカード印刷を多色方式の広色域印刷でトライすることも行われており、カラーカード(印刷物)自体のメタメリズム改善もトライしている。母子手帳に印刷することも計画されており、海外からも問い合わせが多い。医療を例にしているが、同じことは工業製品現場やブランドモノの場合、要求項目にあがってくることは珍しくない。
要するに技術さえあれば、コストに左右されない仕事が確保可能だということだ。
A1「印刷技術&分光色再現技術の医療分野への応用」では、この辺について懇切丁寧に解説し、羽金先生の言葉もフィルターを通さず聞ける。
A1「印刷技術&分 光色再現技術の医療分野への応用」 は、技術で勝負したいと考えている会社は是非ご参加いただきたいカンファレンスだと自負している。

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