- ホーム
Cialis Online
広い視野で取り組むデジタルメディア
マスメディア至上主義はこれから崩れ、別の活躍の場や登竜門がネットとITで出現しつつある。【PAGE特別連載 その5】
毎日のニュースの中で目を引く事柄と、それらを産み出した背景にある力は、セットで考慮しなければならない。例えば漢字フォントや日本語組版のような日本固有の技術であっても日本のソフトウェアが負けてしまったのは、開発の背景にある方法論の差だろう。欧米の開発者と比べると日本人はサイエンスや哲学の感覚が薄いので、開発の案件があるたびに、その都度モノゴトの分析・整理の方法が異なってしまう。結果的には場当たり的なソリューションになり、似たことを別の機会に始めようとしても引き継げない。要するにソフトウェアが積みあがらないのでトータルシステムに向けて前進しないことになる。これがプリプレスで負けた原因だと思う。
1990年代にコンピュータはWYSIWYG操作になったが、あらゆる操作をオブジェクト・オリエントに落とし込んだのは欧米である。しかもOSもアプリも、会社が異なってIBMもAppleもSUNもMicrosoftも、という徹底振りである。日本でもWYSIWYSの開発はあったがオブジェクト・オリエントに徹してはいなかった。日本に天才的なU/I開発者がいたとしてもかなわない。メディアでも同じようなことが言える場合が多くある。スティーブジョブスのDRM不要論と日本の著作物を守る考え方の差も、著作物の販売だけを見ているのか、もっと広い範囲を見ているのかの差である。いろんなことがデジタル化した現在では、コンテンツを作り出すところがどのように変わっていくのかを考えるべきだろう。
最も大きな変化はCGM・UGCである。2008年にJAGATがいくつかの地域で行ったJAGATナビゲーションツアーでのクロスメディアの話の冒頭では、2008年にアメリカのマーケッターが最も力を入れる広告はSNSであって、テレビ・新聞というマスメディアは軒並み大幅削減対象であったことを伝えたが、実際にアメリカの小売広告は2008年にSNSに流れ、有名リテーラーの多数がSNSに対応して、利用者に対してクーポンが得られるようなキャンペーンを始めた。月間のユニークビジター数が億人のレベルのSNSとしてはMySpaceやFacebookがある。CGM・UGCという草の根のようなメディアであっても、すでにTVを超えるようなオーディエンスを抱え、しかも一方通行のマスメディアとは違ってソーシャルな機能を果たし、しかも広告主からみるとターゲットがはっきりしているので、魅力的なメディアである。
マスメディア企業も自社の利用者向けにSNSやBlogを立ち上げ、写真や動画の共有やコメント受付などの機能も急速に実装されるようになってきた。しかしそれ自身のコンテンツが魅力的でなかったり、オープンなものでないと使われない。メディアのカタチだけを似せても勝負が付いてしまう時代になった。日本の現状でネットが最大のマスメディアになるようなことは考えることは出来ないかも知れないが、ネットの可能性は日本人が考える以上のものであることは明らかだ。しかもそれらの推進者はもはや旧来のマスメディア企業ではない。こういった既存メディアを覆す原動力にオブジェクト・オリエントの時のような共通基盤があるのがアメリカの凄さである。
日本はどうしても新しいビジネスモデルのリスクを避ける傾向があるが、リスクにばかり目を奪われるのではなく、ITの進展を追い風にできるようなメディア戦略が必要である。PAGE2009 C4セッション「2009年はどうなる? 音楽も変わる!メディア産業も変わる!」の中で取り上げられるヤマハの楽器 TENORI-ON は、一昨年に発表された時にびっくりしたものである。自分で使ったわけではないが、感じたことは作曲と演奏を重ね合わせたような使い方ができて、それらはデータにもなっているので、今までの楽器の即興演奏のように消えてなくなることもないだろうということだ。TENORI-ON そのものはユーザインタフェースがユニークであるが、IT時代に進化していく要素ももっている。
IT化ネット化を駆動している底流がどのようなものかを捉えていないと、表層の変化に翻弄されて何も技術やビジネスの蓄積ができないままで疲弊してしまうことになりかねない。今直接売上げにつながるソリューションとは別に、時代の変化に追随する感覚をPAGE2009 で得てもらいたい。コンテンツに関してはマスメディア至上主義はこれから崩れ、別の活躍の場や登竜門がネットとITで出現しつつある。こういった方向性を感覚として身についている人が活躍する時代になりつつある。




