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■電子書籍は出現は?
電子書籍は、印刷物である書籍・本のコンテンツがデジタルデータになり専用のリーダー(タブレット端末やスマートフォンなど)で読む形式の書籍を指す。日本では、20年前から電子辞書や電子百科事典として出始めていた。現在、電子辞書は紙を含めた辞書市場全体の約4分の1程度あるとも言われている。その後、CD-ROMなどのメディア配信による電子出版が中心になりWebでの電子出版(ネットワーク出版)が出現し、そのコンテンツは主に携帯電話とPCを中心に販売されてきた。日本市場の電子書籍の売り上げは、ほとんどが携帯配信によるものでそのコンテンツは、圧倒的にコミックが占めているという特徴がある。
米国ではアマゾンの「Kindle」が2007年に発売された。これはキンドルストアと呼ばれるオンラインショップでコンテンツを購入し、WiFiで読書端末に3G通信を通じて時間と場所に関係なくWeb上のサーバーにあるコンテンツをダウンロードをする形式である。購入履歴もサーバー上に保存され、端末内のデータを一度削除してもまた後に必要になればダウンロードできる。書籍の価格もハードカバーよりかなり安く設定されている。
■代表的なフォーマット形式は
電子書籍のフォーマット形式を大きく分類すると、ページレイアウト型、リフロー型がある。ページレイアウト型(ラスタライズ型)とは、新聞紙面や雑誌をJPEGやPDFとして掲載するもので、予め想定されたドキュメントサイズの中でレイアウトを重要視する傾向がある。画面サイズに制約のある電子書籍デバイス上で文字サイズを大きくするとドキュメントが画面内に収まらなかったり、画面移動のためにパネルを指でスライドさせるドラック操作をよく見受けられる
リフロー型は、ページサイズが可変という想定でコンテンツは作成される。テキストコードを持ち、通常はタグ付きテキストで書かれていて、文字サイズを変更しても画面に合わせて文字がリフローするため、ページ送りだけで読み進めることができる。文字コードがあるので文字を選択して意味を調べたり、リンクを貼ったり、検索したりできる。多種多様なデバイス上で、より自然な読書が可能となる電子書籍ならではの概念と言える。その代表なフォーマットにEPUB があり、現時点で国際標準にもっとも近い位置付けとなっている。米国の電子書籍の標準化団体の1つのInternational Digital PublishingForum(IDPF、国際電子出版フォーラム)で公開された規格である。EPUB 形式のファイル構造は、XHTML 形式の情報内容(コンテンツ)が、指定の形でZIP によって圧縮された後、ファイル拡張子が「.epub」に変更されたものである。しかし、EPUBでは縦組やルビなどの日本語向け環境が確立していないため、現時点で縦組の電子書籍を作成する場合、EPUB 以外のリフロー型かページレイアウト型(静的レイアウト)を選択せざるを得ない状況である。シャープのXMDFやボイジャーの.book(ドットブック)などもこのリフロー型である。このようなフォーマットは、メーカー依存なのでこの要因を取り除いたEPUBのような標準的でオープンなフォーマットの促進が進められている。その他に「プログラム型」の形式があり、アドビシステムズがWIREDなどが代表されるようにリーダーといっしょに提供している。この仕組みでは、テキストに限らず、リッチコンテンツとして動画、スライドショー、360度画像などが扱え、画面にタッチすることでズームできるなどの書籍を超えた新しい表現方法が可能となる。(教育サポート部)
問 電子書籍 次の文の[ ]の中の正しいものを選びなさい。 電子ブックリーダーにも展開できるタブレット型コンピューターとしてアップルの[1 : ①iPad ②iPhone ③iTunes ④Machintosh]が売り出されて電子書籍に対する注目度が非常に高くなっている。アップルは、既に iPodと[2 : ①iPad ②iPhone ③iTunes ④Machintosh]を用いて行っている音楽配信と同じような仕組みで電子出版にも本格的に参入すると も言われている。 電子書籍は書籍の内容であるコンテンツだけを指すこともあるが、電子ブックリーダーも重要な要素であるが、コンテンツと端末機器の両方が揃って成り立つも のである。その呼び方は、電子書籍のほか、電子ブック、デジタル書籍、デジタルブック、eブックといった呼称が存在する。 アップルのほか、米国ソニーやB&N社など多くの電子書籍リーダーで採用されている電子書籍フォーマットがEPUBである。EPUBとは、米国の 電子書籍標準化団体、IDPF(International Digital Publishing Forum)が策定したオープンな[3 : ①電子書籍 ②紙面 ③ホームページ ④画像]フォーマットである。XHTMLやCSSをベースにしておりWebとの親和性があり、 [4 : ①画像 ②動画 ③音楽 ④テキスト]系コンテンツに適していることやページモデルではなくディスプレイやフォントのサイズに応じて見栄えが変化するリフ ローモデルという特徴がある。現時点では[5 : ①縦組み ②横組み]、禁則処理やルビなどの日本語組版機能は搭載されていないため、日本電子出版協会が中心となって、EPUB日本語要求仕様案をまとめ ており、標準化が進められている。EPUBはHTMLやWebブラウザーソフトのオープン性を保持しつつ、インターネット接続が切断された状態のPDAや ノートパソコンなどでも読書が継続できるようにダウンロード配信を前提にパッケージ化された、XHTMLのサブセット的なファイルフォーマット規格であ る。従来の電子書籍ファイルフォーマットは、それぞれのメーカーで作成されたものが多く、出版社や著者が使用にはそのメーカーから有償の制作ツールやライ センスを購入する必要があった。そのメーカーへの依存性が[6 : ①高い ②低い ③全くない]ので過去に制作したデータの将来に対する安全性は保障されない。そこで、EPUBではメーカー依存をできるだけ排除し、誰で も簡単に自分の作品をEPUB形式で提供したり、関連アプリケーションを開発できるように規格化が進められている。EPUB形式のファイル構造は単純で、 書籍コンテンツをXHTMLファイルで作成し、一定の形式でzip圧縮後、ファイル拡張子を[7 : ①epub ②ps ③eps ④pdf]に変更するだけである。 解答 1:① 2:③ 3:① 4:④ 5:① 6:① 7:① |