本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。
第11期クロスメディアエキスパート認証試験の合格発表(5月18日JAGAT Webサイト)を踏まえ、解答の傾向と試験が問うポイントを報告します。
第11期の合格者は54名、合格率は過去最高の43.5%となりました。
過去に出題された問題について、情報が受験者に浸透してきたことから、学科試験のみの合格率は70.2%とな9期試験以降、高い水準で推移しています。しかしながら、新規に出題された問題の一部については、今期に限らず全ての期の試験を通し、正答率が非常に低くなる傾向があります。今期の新問題として出題された中で、「ストリーミング技術:プロトコル」については、インターネット上の動画配信が世間で一般的となっている現状を踏まえ、概要を掴んでください。また、「地方ブロック向けマルチメディア放送」についても出題されましたが、地上波デジタル放送化が完了する時期を鑑み、クロスメディアエキスパートを目指すうえで動向を追ってください。
1.設問の変更による解答傾向
今期の試験は、論述試験の設問をこれまでの出題構成から変更を行い、2問構成としました。問1が提案の題名と主旨を記述する問題、問2がプレゼンテーションのできる提案書を記載する問題です。解答傾向は、2問構成となったことから、2時間ある試験時間のうち、問2のプレゼンテーションのできる提案書を作成する時間配分が高まったことで、ある程度まとまった提案書となっている解答が多く提出されました。さらに問2の配点を高めたことで、合格率が高まったと考えらます。しかしながら、体裁は整っているものの、論理的な説明のなされている提案書が多かったとはいえません。与件に「明確」に記載されていた「社長の思いと今後の課題」が、提案内容によって殆ど解消されていないものについては、減点対象となっています。合格ライン(70点)前後の受験者の方々は、自身の作成した提案書が、与件に対して忠実かつ論理的であったか再考してください。
2.提案書の主旨
問1で提案の題名と主旨を記述する問題を出題したと前述しましたが、主旨を記述する際、「挨拶文」のみとなっている解答が多く見受けられました。これでは、「主旨」という言葉の意味を理解しているとはいえません。主旨とは、主要な意図や、中心となる事柄を意味しています。したがって、提案の主旨を説明するのであれば、提案の主要な意図や中心となる事柄を記述しなければなりません。問1の結果が芳しくない場合の殆どの理由は、主旨が記述されていなかったとお考えください。なお、今期については、「挨拶文」中に提案の「主旨」が記載されているものについては、相応の加点をしています。「挨拶文」であったことが減点対象となっておりません。しかしながら、今後、採点基準の見直しがあれば、「挨拶文」であるが故に減点されることもあります。クロスメディアエキスパート認証試験に限らず試験では、出題文(語句)に必ず意味があることを心に留めておいてください。