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2011年度の新入社員は、厳しい就職戦線をやっとの思いで抜け出し入社を間近に控えたところ、東日本大震災という大惨事が発生してしまうという環境のなか各企業へ入社した。
今年度の新入社員は、今までにない環境の中で入社したこともあるせいか、4月4日開催したJAGAT新入社員養成講座における受講姿勢を見ても、今年度の新入社員は近年と比べ緊張感と意識の高さが感じられた。
ちなみに、公益財団法人日本生産性本部が毎年発表する新入社員のタイプ(ネーミング)だが、今年度は震災の影響で見送られるようであり残念である。
■新人社員の可能性を早期に開花させる
新人社員は、高い意欲とモチベーションを持っている。企業から大きな期待を受け、その期待の認識と自らの目標に向かった道を歩んでいく。
今回の新入社員養成講座におけるアンケートを見ても、個人の気づきや今後の目標(なりたい人物像)等の記載において、自己分析をきちんと行い目標も明確に主張できる新人が多く存在した。
その優秀な新人が継続的に成長していくためのポイントは、自社や業界の情報はもちろん、早期段階における仕事の基礎や知識を学んでいけるかにある。しかし、多くの企業では初期研修は、数日から半月程度という短時間の中で済ませ、あとの教育は現場任せになりがちである。従って、新入社員教育は、配属後の環境や配属先の管理者の能力、力量によって大きく変わってくる。
その背景には、企業の置かれている余裕のない環境が影響しているだろう。企業は、成果主義において管理者も余裕が持てない状況の中、本来の部下育成もおろそかになっている。
しかし、今後企業は新入社員が入社後どのように成長を遂げていくかを真剣に考え、戦力としての定着とステップアップの仕組み作りへの取り組みを必須事項にしなければならない。
企業がせっかくコストをかけ採用し、教育している最中に辞めてしまうケースも多々見受けられる。このような企業にとって大きなマイナスになる最悪のケースだけは避けなければならない。
■新入社員といえども戦力化への余裕はない
以前の右肩上がりの経済成長時のように、新入社員だからといって余裕を持った成長プロセスは許されない時代だ。えば、日本電産社長の永守重信氏は、先日の入社式において「これからの時代変化は信じがたく早くなり、あらゆる面でグローバル化がものすごい勢いで進展する。だから、新入社員だからと言ってのんびりと過ごすことは許されない」と述べている。
また、コニカミノルタホールディングス社長の松﨑正年氏は、「志を高く持つ。社会のため、当社のため、自分のために、やり遂げるだけの価値があると思う目標を自分で掲げ、その実現に邁進していただきたい。それが企業人としてどこまで成長するかを決め、充実感を決める。努力するだけではなく、目指さなければ高い成果は得られない」。
さらに「強みを作り、強みを生かす。満遍なくできることは学生時代優等生になるには良いアプローチだったが、グローバルに競争するプロの世界では通用しない。弱点を直すだけでは存在感を発揮できず、高い成果を上げるには、自分ならではの強みを作りその強みを磨いて生かすこと。そうすれば自信を持って仕事ができる」と述べている。
上記2人の企業トップの例でもわかるとおり、企業も新入社員を悠長に育てていく余裕はなく、そのためには効果的な教育のステップを考える必要があり、新人も企業の期待にいち早く応えなければならない。もちろん新人だけが対象ではなく、本気の人材教育こそが業績向上の原動力になり、重要なファクターであることは言うまでもない。
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