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サイネージは、見られて初めて役に立つ
日本での市場規模は、2007年度実績で約300億円、3年後で約500億円になると予測されている。
デジタルサイネージはハードウエア、広告、鉄道、通信キャリアなど、さまざまな業態の事業者が参入している。店舗、交通機関、キャンパス、オフィスなどに設置され、天気予報や案内表示など、さまざまな情報が提供されており、既に人々の生活に溶け込んでいるものもある。
クロスメディア研究会では、総合情報通信総合研究所の上原理睦氏にその最新動向や展望についてお話いただいた。
サイネージが必要とされる場面
まず導入が進むと言われているのが交通、流通・チェーンストアの分野であり、特に現在の動きで言うと交通である。既に車内や駅構内など、さまざまなところで実験レベルの取り組みを含めて実施されている。
交通(社内・駅構内)の特徴は、乗降客数が多いため接触する人数が非常に多い点である。駅構内や車内では、乗客は一定個所にとどまっている状況に置かれるため、中吊りを見るなど何かしらの情報を求めており、その点でニーズに合っている。
コンテンツの種類についても、沿線情報や駅周辺情報、イベント情報といった関連する情報のほか、運行情報など、現時点では最も交通がサイネージの場所として親和性が高いと言える。
また流通・チェーンストアも導入が進んでいる分野である。これらは大規模店舗であるため、交通と同様に接触人数はそれなりに多い。しかし、このような施設へ来る利用者は目的意識を持っており、また自由に行動ができるため、なかなか滞留できる場面は少ない。従って交通と比べるとニーズは限定的である。
市場のプレイヤー
デジタルサイネージ市場を見渡すと、さまざまな事業領域ごとに事業者が参入している。これらがうまく連携して初めて一つのデジタルサイネージが成り立つ。
印刷業界では、恐らくコンテンツ制作の事業領域が該当し、流れとしては広告主や代理店から委託されるケースや、ディスプレイを設定している企業(ロケオーナー)からコンテンツ制作を依頼されるケースがある。
いずれにしても、いかにこのサイクルを効率的に、コストもできるだけ下げて、広告主からコンテンツ制作、配信というところまでうまく流れるように連携することが、市場全体を拡大させていく要素の一つになる。
現在はシステムごとに異なる形式のシステムがあるが、事業者間で標準化を行い、簡単にネットワークにつながり、どのようなシステムでもコンテンツを配信できるようにすることが不可欠である。
求められるコンテンツの条件とは
デジタルサイネージは、見られて初めて役に立つものである。まずはユーザーベネフィットの視点が大切であり、また場所・時間帯に応じた接触者を想定しながら、最も有益で利便性を提供できるようなコンテンツが重要となる。
大規模なターミナル駅を例に挙げると、朝は通勤客、昼間は買い物目的の女性客、帰りは飲みに行く客が多いというように、時間や場所によって利用者の属性や気分はまちまちである。そういった人たちに合致した情報を考えて構成していく。
次に、表示環境への最適化という点が挙げられる。例えば、ディスプレイを設置する場所によって音を出せる所と出せない所がある。また屋内か屋外かによっても日光の当たり具合や、反射の角度、色合いといった環境の変化がある。それらの条件に柔軟に対応できるようなコンテンツの作りを意識する必要がある。
3つ目は、インタラクティブ性、リアルタイム性である。広告効果を測定するという意味でも、またユーザーの反応を知りたいという広告主の要望という意味でも求められる。
何らかの形で利用者に参加してもらう作りも視点の一つである。簡単なところではQRコードを埋め込んで携帯電話サイトに誘導するというやり方がある。いろいろな仕掛けやサプライズを与えることができれば、それだけ人々に視認してもらうことができる。
また、デジタルサイネージは場所にひも付いているため、毎日同じ広告を目にするという接触の仕方も多い。すると、毎日同じものが流れていると、ここは変わらないという認識で、だんだん視野に入らなくなってくるという恐れもある。従って、できるだけリアルタイムの情報を盛り込めるような工夫が必要とされる。
デジタルサイネージは動画を表示するのが一般的と思われているが、このように考えていくと、コスト面ですべてを動画で賄うのは難しい。
利用者はテレビを見慣れているせいで、動画に求めるクオリティは想像以上に高い。そのため、商業用にコストを抑えて制作すると安っぽく見えてしまう。もちろん動画を選択できる場合はよいが、それ以外の方法も模索していく必要がある。それには、クライアントや媒体側で持っている既存コンテンツをどう有効に使っていけるのかを検討する必要がある。
また、表現方法についても、動画以外にどのようなものがあるか、いかにコストを下げて、できるだけ訴求できる表現方法があるかということは、まさにこれから試行錯誤が進んでいくと思われる。
(『Jagat Info』2009年1月号より一部抜粋)
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