本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。
月刊『プリバリ印』の連載「印刷の森 よろず相談承り所」では、素朴な疑問から具体的なハウツー、ビジネスパートナー募集まで、印刷に関する相談についてご紹介しています。
【質問】
風景写真を使用する印刷物を発注しましたが、イメージと違う仕上がりになってしまいました。
何が問題だったのでしょう。
【回答】
目で見たイメージを写真が忠実に再現出来るかどうかについては、印刷の色再現以前に、従来からカメラそのものの特性 として課題が認識されています。「人間の目とカメラは同じ」なのでしょうか。カメラが撮影するのは、シャッターを押 した瞬間の映像ですが、人間の目は絶えず動いて光景を捉えています。自分が興味を持った部分がよく見えるように視覚 を調整しつつ、焦点や明るさの異なる範囲を頭の中で合成した画像にしています。そのため、結果的にカメラが撮影した 画像とは異なる再現レンジになっているのです。
色彩についても、例えば「桜の花の色」「女性の肌の色」などについて、人間は体験に基づいた色のイメージ(記憶色) を思い浮かべながら写真を見ています。そのため、レンズが捉えた色彩が対象物の色を光学的には「正しく」記録してい たとしても、「桜はもっと鮮やかなピンク色のはずだが……」といった違和感を覚える場合があります。ソメイヨシノは 実際には白みの強い花ですが、デフォルメした色彩が記憶されているので、ピンクで印刷しないと「桜らしく」見えない のです。このような違和感のない、「目で見て自然な」「魅力的な」画像を印刷物として制作するためには、撮影から実 際の印刷までの様々な段階で画像修正作業が行われます。
●印刷に適した画像データを
用意する印刷に適した画像データの作成には、いくつかのガイドラインが公開されています。中でも標準とされているも のに、社団法人日本広告写真家協会(APA)が公開している『RGBワークフローガイド2007』*1があります。
また、印刷会社からも入稿データに対して要望基準が出ており、大日本印刷株式会社が2007 年7月に公開した『デジタル カメラ入稿ガイド』*2などが知られています。
これらのガイドラインでは、プロカメラマン向けの様々な注意点として、RGBワークフローの全体像、撮影時のデジタル
カメラの設定、RAWデータの現像手順、モニターの適切な環境設定など、適正な画像を作成する具体的な方法が解説され ています。このようなガイドラインが公開された背景には、印刷に適したデジタル画像データ入稿が徹底されていないと いう問題がありました。つまり、デジタルカメラで撮影したデータ自体が不適切であれば、印刷会社で修正することが不 可能な場合があるのです。細かくは技術的な話になりますが、印刷物発注者の側でも、カメラマンやデザイナー、印刷会 社など、画像修正の各工程担当者の責任範囲を正しく把握するために、まずは適切な入稿データの要件について知識を持 っておくと良いでしょう。
〔後略〕
本誌では、印刷会社との充分なコミュニケーションの必要性、デジタル画像処理技術の進歩についても説明を加えている。是非ご確認ください。
月刊『プリバリ印』3月号
■特集:ローカルヒーローの時代~地方がリードする“ 印刷維新”
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■ プリバリインタビュー
日本における産業革命をリードしたのは中央ではなく地方だった
中村 尚史〔なかむら・なおふみ〕 東京大学社会科学研究所教授博士(文学)
■ 特集
ローカルヒーローの時代~地方がリードする“ 印刷維新”
●新しいことにチャレンジするのがタカヨシの大きな特色です
株式会社タカヨシ[新潟県新潟市]
●今のやり方で良いのかと、常に自問自答していかねばならない
セキ株式会社[愛媛県松山市]
●地域活性化、地域貢献がこれからの仕事につながってくる
川口印刷工業株式会社[岩手県盛岡市]
【特別寄稿】
地域ブランド化をサポートする印刷ビジネスへの期待 四元正弘