
通販カタログの現状と新たな可能性 PAGE2011カンファレンスDM3報告
掲載日: 2011年03月08日
大幅なコスト削減やWeb媒体へのシフトなどが目立つ通販業界において、カタログが持つ役割や戦略も変化している。ITが進化するなか、カタログが今後も重要な媒体として生き残るための新しい価値とは何か。
PAGE2011ダイレクトマーケティングカテゴリDM3「通販カタログの現状と新たな可能性」 では、カタログの置かれている現状とWebとの連動策、印刷媒体に求められる新たな可能性を探った。
講師は、フォー・レディー の鯉渕登志子氏、スクロール の増田和博氏、通販研究所 の渡辺友絵氏。
■通販市場の現状
2009年度における通販の市場売上高は、4兆3100億(前年度比4.1%増)と拡大し、2008年度より1700億円増の過去最高となった。しかし、2008年度の伸び率(6.7%増)と比べると、2.6ポイント低下しており、やや鈍化傾向へと転じている。
JADMAが 会員251社に対して実施したアンケートの結果によると、通販企業の媒体利用状況は、インターネット92%、DM71.7%、カタログ59%、チラシ53.4%と続き、雑誌や会員誌の減少率が大きくなってる。しかし、媒体別売上構成比を見ると、カタログ24.2%、インターネット20.2%、DM19.8%となっており、カタログはネットに比べて商品単価・顧客単価や、顧客のロイヤリティーが高いとわかった。
このような状況から考えると、通販会社が印刷媒体に求めているのは、「コストダウン、スピードアップ、効率重視」と「きめ細かいマーケティング施策」だと鯉渕氏はいう。通販会社が印刷物にどんな価値を認め、なぜ出し続けているのか、自社の顧客に何を提供したいと考えているかをしっかり見極め、対応していくことが求められている。
■Web×紙媒体のクロスメディア施策
大手通販会社では「純ネット」の売上が伸び、「カタログ併用」と逆転するところも出てきているが、Webは顧客単価が低く、固定客が育ちにくい面がある。そのため、Webだけではなく、例えばWebへの導入として紙媒体を併用して使うなどのクロスメディア施策が目立つようになった。
単なる商品告知や検索機能だけならWebにはかなわないが、印刷媒体には安定した再現性や保存性の高さ、ブランディングの追求と確立、顧客と1対1の関係を築くことができるなどといった利点も多く、ロイヤリティーや客単価の向上、固定客の拡大などに役立っている。
今後、新たな印刷媒体の活用法としては、進化する印刷技術の中から通販会社のニーズに合わせた新媒体の提案や、Webと紙媒体の元データとなる印刷データをマーケティングデータとして活用し、このデータを生かした新しい展開なども考えられるだろう。
今後も通販会社のよきパートナーとして歩んでいくために、同じチームであるという意識を持って、印刷部分だけでなく、川上(コンテンツ)から取組みアイデアを提案すること、また印刷業界として持てる技術と知識を合わせた、例えば人間の5感に訴えるような印刷物や紙媒体の提案などが求められているようだ。
さまざまな業界について多くのことを知っている印刷会社だからこそ持てるノウハウや、コンテンツはたくさんある。通販会社のパートナーであるという自覚を持ち、通販会社が持っている商品や顧客などに目を向けることで、印刷会社から新しい印刷媒体を提案し、新しい価値を創造していくことができるだろう。
(JAGAT研究調査部 小林織恵)