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いよいよ本番、電子書籍の行方 -----勝ち負けではなく理解を深めよう
電子書籍というと「紙VS電子」といったメディアの勝敗構図で報道されるきらいがある。印刷は、文化を育むコミュニケーションサービスの一翼を担うメディアであるとすれば、社会にとってどうあるべきかの議論と理解を深めていくことが、大切ではないだろうか。
2010年1月27日、サンフランシスコでipad(アップル社)が発表されてから(販売は4月3日)世界中でマスコミによるipad騒動が巻き起こった。日本でも5月末の販売とともにほぼ毎週といっていいほど電子書籍関連ニュースが話題を呼んでいる。過熱気味の報道も少し落ち着いてきた。とはいえ、プラットフォーム機器の話題だけでなく、出版、取次、製作・印刷、教育界、放送、販促、小売業界など広範囲に及ぶ関連企業や団体・産業が次々と参入を表明しており、合弁組織、研究会、ビジネスアライアンスなど各社各様の行動計画を打ち出している。それぞれがどれぐらいの深さと信憑性をもって活動するかは今後を待つしかない。
ipadを含めた携帯デバイスビジネスはこれからが本番で、クールにじっくり、されど行動を起こしていくことが大切である。経験の無い新しいメディア環境にあっては、情報収集はもちろん怠ることはできないが、結論を急がないことである。従来以上に試行錯誤が必要であり、その時々の判断を積み重ねていくしかない。その最大の要因は、生産者主体の時代が終焉し生活者(消費者)主体に軸が移行したことにより、生産者サイドの思惑・計画通りには進まず、生活者の思わぬ反応、活用、評価が商品の方向性に大きな影響を及ぼすからである。
そういう意味では、ipadビジネスもどう展開するか動向を注視しつつ、自社あるいは自分であればどう活用するかを自らイメージし、チャレンジしてみることである。スティーブ・ジョブズ(アップル社CEO)氏の快心作とはいえ、私企業である以上アップル社の都合が前提になるのは当然であるが、そこに戸惑いを覚える利用者も大勢いる。一方ipadビジネスとして思っても見なかった展開が利用者側からもたらされる可能性もある。
バスに乗り遅れるなと右往左往しても意味が無い。いろいろな立場の人とじっくり話し込み、意見交換することで自身の考えを整理することが大切である。クライアント自身にも解答はない。創造性(ビジネス構想)を豊かにすることとできる範囲のことはチャレンジ(経験)してみることである。次ステップに進むにはそれしかない。
創造とチャレンジを阻害する壁は従来の固定観念、先入観である。それを捨てる決意があるかないかだけである。技術の壁を越えることは周辺の力を借りれば簡単であるが、ビジネスの壁は印刷(経営)人自らが越えなければならない。
ある学術出版社の編集長は、『我々は出版(本)することに対してもっと議論、検討すべきだが、安易に出版点数を増やしてしまい、返って経営を苦しくしてしまった。出版は後世に残せるものであり座右の書となるものだ。ところが受け手(読者)とは無関係に作り手の論理が優先になっている今の現状に対して、電子書籍(出版)は印刷メディアとの仕分けを考える有益なツールになるかもしれない』という視点で話してくれた。
電子書籍というと「紙VS電子」といったメディアの勝敗構図で報道されるきらいがある。そのほうがセンセーショナルで面白いからだろう。
印刷は人間の生活を支え、文化を育むコミュニケーションサービスの一翼を担うメディアであるとすれば、社会にとってどうあるべきかの議論と理解を深めていくことが、印刷(経営)人として大切ではないだろうか。
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