- ホーム協会情報 機関誌『JAGAT info』 『紙』の目線から見たデジタル印刷の変遷
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『紙』の目線から見たデジタル印刷の変遷
インクジェットプリンタにおける『紙』の立場から見た①マシンの変遷②それに伴う紙の変遷③問題点と課題④デジタルプリントの将来について今月と来月の2回に渡りお話をする。
2008年ドイツ・デュッセルドルフで開催されたDrupaが「Inkjet Drupa」と呼ばれて以来、2009年ChicagoのPRINTと東京のJGASを経て、今年イギリス・バーミンガムで開催されたIPEX2010は、印刷機材展としてより一層デジタルプリントに、とりわけインクジェットプリンタにシフトされた-注目された-機材展だったと言える。
デジタル化のムーブメントの起点にされるDrupa2008だが、実はその前年に東京で開催されたIGAS2007で既に各プレーヤー(ハードメーカー)が出場し始め、Drupa2008で主要プレーヤーが出揃った、と言えるだろう。
IPEX2010でお披露目されたデジタルプリンタの機種や仔細なスペックについては、紙幅の都合もあり本号の他の記事に委ねるが、本稿では主にインクジェットプリンタにおける『紙』の立場から見た①マシンの変遷②それに伴う紙の変遷③問題点と課題④デジタルプリントの将来について今月と来月の2回に渡ってお話したい。
なお、電子写真については既に非常に完成度が高く、紙に関してはほとんど出番がない。敢えて申せばIndigoに代表される液体トナーに対しては、特にコート紙における定着性や色再現などにおいて紙の寄与率は高く、選択のし甲斐はある。
一方のインクジェットについては、今注目されているのは産業用-広義では捺染などの分野も含まれ、厳密にはIndustrialと言うよりProductionの方が適する-であって、従来のグラフィックアーツ用とは異なる品質も求められている。
したがって本稿に出てくる紙とは、主にこの狭義の『産業用の紙』であることをご留意願いたい。
マシンの変遷
1990年代にScitex(現Kodak)の高速インクジェットプリンタが登場して以来、トランザクション(請求書類)分野に圧倒的な威力を発揮してきた。解像度は300dpi程度だが宛名や請求金額などのモノクロ印字に十分な品質であった。ここまでを第一世代のプリンタと呼ぶ。
2000年代に入ってから技術の幾何級数的な進歩に支えられてフルカラープリンタが登場してきた。今まではKodakの寡占状態だった市場に、ミヤコシ、大日本スクリーンらが相次いで参入してきた。解像度も600dpiを超え、フルカラー印刷に耐え得る品質になってきた。このレベルまでを第二世代のプリンタと呼び、ここまでは主にビジネスフォーム印刷市場を対象としてきた。
そして商業印刷市場をターゲットにしたオフセット並のカラー品質と生産性をうたったプリンタ/プレスへと変遷していく。これらには第二世代輪転機の進化版に加え、富士フイルムらのカラー品質重視の枚葉機も登場してきた。これらを第三世代のプリンタと呼ぶ。
Drupa2008は第二世代機のプレーヤーが揃い踏みしたのと同時に、第三世代機のコンセプトを表明した展示会でもあった。そしてその次世代機が追求する理想に対し現実的な取り組みを示したのが当にIPEX2010であったと言える。
紙の変遷
第一世代の紙はフォーム用紙である。電子写真用にはNIP適性が求められたように、インクジェット用では水性染料インクを紙面に固着させる定着剤が不可欠であり、所謂トリート紙と呼ばれるものである。
初期の頃は水で文字が流れたり滲んだりせぬようインクの耐水性と高速印字に耐えうる速乾性が重要な品質であった。後に公共料金代理収納システムの普及で高密度なバーコード-UCC/EAN-128(現GS1-128)-の再現性が必要となり、主にサイズ性(吸水性)と定着剤の最適化で対処し今日に至っている。(以下次号)




