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デジタルサイネージや電子書籍コンテンツは印刷業の領分
将来こうなるとといってもそうすぐになるわけではないが、後で考えてみるとほとんどのことは結果的にそうなってしまうものだ。そういうことならやっぱりやるっきゃないだろう。具体的にはデジタルサイネージコンテンツと電子書籍コンテンツは印刷業界の領分だ。
印刷業界では相変わらず不景気風が吹きまくっているが、どうも最近の業界、特に若手を中心として大きな価値観の変化が生まれているように感じる。「大きな変化」というよりは「本当のことを言いましょう」という意見が声になり始めている。要するに大きな流れは「大本営発表はそろそろ止めましょう」ということである。
大本営発表の最たるものが印刷出荷高であり、これまでの数字は大なり小なりすべてが右肩上がりだったのだ。説明するまでもないが、どのように楽天的に見積もっても右肩上がりは難しいというのが正直なところで、それならば現実を直視しようという動きが起こっているということなのだ。どれくらいの数字に落ち着くかは本日の話題ではないので「減ることも避けられない事実である」ということだけ念頭に置いていただきたい。
さて私も関係していたのだが、大日本スクリーンは1996年1月25日ワンソースマルチユースを体感できるソリューションショップ&インターネットカフェ「サイバープラザProvision」を渋谷にオープンさせた。一言で言えば拡印刷を狙って、印刷業界がコンテンツをワンソースマルチユースできるところは印刷以外のメディアもビジネスターゲットにしようというものだった。仕事の絶対額アップ及び効率をアップさせようというものだ。「印刷の未来はバラ色ですよ」と体感できるショールームと考えていただければよいと思う。
今思えば本当によくぞここまでやったなぁと我ながら感心してしまうのだが、そのうちのほとんどが今や当たり前になっている。インターネットの普及も当初の予想を遙かに上回っている。当時は「旅行代理店をはじめとする代理業が無くなる」といわれていたのだが、すぐにはそうはならなかったのだが、さすがに最近は旅行代理店の窓口に行ってもびっくりするくらい空いていると思う。大手旅行代理店も支店数を半減させるらしいし、なんだかんだいっても10年以上経つと当時いわれていたことが現実になってくるのを体感できる。
Provisionはインターネット電話もトライしたが当時のインターネットテレフォンの品質はお世辞にも良いものではなかった。しかし現在のSkypeの便利なことといったら今更説明の必要もないと思う。中国の大連で日本相手に組版の仕事をしている会社は、皆一様にSkypeをフル活用している。日本の直属の子会社で専用回線を使用しているところもあるが、Skypeをフル活用している会社と通信コストを比べると二桁位安く運用している。
Real Audioというソフトでラジオ放送もしていたのだが、最近の通勤電車風景を見ているとiPhoneからイヤフォンを伸ばしているおじさんの中で三分の一くらいの人はポケットラジオの代わりにRadikoを聞いている(実は私も愛用のポケットラジオをやめてiPhone、iPadで「radiko.jp」の愛用者だ)。Radikoとはパソコンをラジオ受信機として使うIP(Internet Protocol)サイマルラジオである(実際にはRadiko用アプリケーションを使用して聞くことになる)。AM放送は本来デジタルとは縁がないが、Radikoの音は押しも押されもしないノイズの無いデジタル品質が得られる。
こんな話をしていくといつまで経っても終わらないが、デジタル技術/IT技術というのは際限知らずで、びっくりすることがすぐに一般的になってしまったり、前述したようになんだかんだいってもその通りになってしまうということを解っていただきたい。
さて当時「デジタルKiosk」と呼ばれている今風に言えばインターラクティブなデジタルサイネージが登場してきた。将来普及するとは思っていたが、少なくとも私はここまでとは思わなかった。世界的にデジタルサイネージの普及はすさまじく、日本でも2010年に入って本格的なものが登場してきている。東京だけで恐縮だが、例えば品川駅の構内など逆ハの字型に配置されたデジタルサイネージは壮観である。周りにもLEDバックライトのコルトン(電飾)が並んでいるのだが、注目は逆ハの字のデジタルサイネージが独り占めしている。もう一つ例を挙げるが東京は銀座のデパートの一階化粧品売り場が改装後、紙のポスターがゼロになるということである。この事実を印刷業界は冷静に受け止めるべきだろうと思う。生き残りの施策に様々な方法が考えられるが、もしポスターがデジタルサイネージに変わるならデジタルサイネージコンテンツビジネスもやるべきだろうし、POP がデジタルサイネージになるなら電子POPとしてのサイネージコンテンツもやるべきだろう。本が電子書籍に変わるなら電子書籍ビジネスをやるべきだろう。今までのコンテンツハンドリングノウハウを活かしてXMLをフル活用するのが印刷業界らしい行き方だ。そうすれば自然に印刷の仕事もついてくるもので、小ロットのPODノウハウがあれば申し分ない。
つぶやいてしまったが、再度コンテンツ制作というビジネスに注目が集まるだろう。そういうところに印刷の仕事も集まりますよ。ということに本日はこだわりたいと思う。(郡司秀明)
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