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インキセービング
フィルム製版時代のUCRから、デジタル時代にGCRとして発展。そしてカラーマネジメント&CTP時代ではインキセービングへと変遷していく。
本来UCR(下色除去)は新聞紙のような悪い紙にも刷れるように総インキ量の低減、つまり「印刷適性の改善」を主目的に生まれた技術である。フィルム的な処理で下色除去されたCMYK版を作成していた頃は特に問題にならなかったが、カラースキャナ時代になるとUCR回路の考え方によってUCRのかかり方が大きく異なって、製版的な仕上がり品質に影響を与えるようになり、製版手法の一つとしてUCR機能が多用されるようになる。大日本スクリーン製のスキャナグラフの場合は、グレー成分にもUCRがかかることが特徴であった。
つまり少し濁った色でも、その濁り部分にUCRがかかる。例えばC40%M100%Y100%にUCRを50%かけると、C40%部分に50%UCRがかかるという感じだ。UCRをかけた後のCは20%に、MYは85%程度に減少し、BK版は19%くらい入る感じになってくる。しかしヘル社のスキャナ(クロマグラフ)やクロスフィールドのスキャナ(マグナスキャン)では、C40%M100%Y100%だと、ほとんどUCRはかからないのが1983年ごろまでのプロ向けスキャナ事情だった。
だからスキャナグラフでは、印刷のためというよりは製版のためのUCRで、色かぶり補正等にUCRを多用していた。シャドー点の増減やトーンを変更すると色部分にも影響するので、印刷物向けにはUCRが最も安全な色かぶり補正だったのである。
そして1983年ドイツのフランクフルト在住のDr.ハラルド・キュッパースがUnbuntaufbau(無彩色印刷)という100%UCR理論を提唱した。「グレーの安定性」「印刷適性」「色相の安定性」「暖色系の高彩度再現(反対意見も多いと思うが、個人的にはレゴ社のカタログで好評を得た経験がある。赤いブロックの再現性がシアンよりもブラックの方が、なじみが良いということ)」等々、メリットが多いということで注目されたのだ。
この頃、欧州で郵便料金の一斉値上げがあり、DMの薄紙化の要求と相まって100%UCRが話題になった。テストしてみると大日本スクリーン製スキャナは、若干の改良でICR(インテグレーテッドカラーリムーバル)機能として商品化された。ライバル会社も、相当の改良を加えてPCR(プログラムドカラーリムーバル)等の商品名で人気を博した。私もその現場に立ち会っていたのでその実態は把握しているが、結果的には黒っぽいものよりもカラフルな画像の方が実は相性が良かったり、考えていたこととは逆のことも多かった。
だいたい欧州の墨インキは黒濃度が足りないので、どうしても薄っぺらなイメージになってしまい、UCA(アンダーカラーアディション、色を足す方)で極シャドーのCMYインキを戻すことなどで凌いでいたが、100%UCRはCMKで再現するのでロゼッタが目立ってしまう致命的な欠点も持っていた。また、品質アップのため専用の墨インキも試作したがコストが高くて意味がなくなってしまうなど随分失敗も経験した。CTPならFM網点でロゼッタを回避できただろうが、フィルム時代だったので制限も多かったのだ。Dot on dot、つまり同心円状にCMYKを印刷するという離れ技も試してみたが、結果は上々で効果的な再現も多く発見した。
そして時代はDTP全盛となりPhotoshopのGCRに集約していくのだが、カスタムテーブルを使ってCMYK分版しているときはこれで良かったのだが、ICCプロファイルで分版するようになるとGCR量は固定させないといけなくなり、専門化したインキセービングソフトが注目を集めるようになる。少しでもインキの使用量を少なくしようというケチケチ連鎖である。
ということで、デジタル時代のGCRソフトが専門メーカーから発売されている。inkOptimizer、Oris InkSaver、KBD Color Ecoが代表的な製品だが、各社手を変え、品を変え独自の機能で競争している。
(文責:研究調査部 部長 郡司秀明)
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