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情報プラットフォームとしてのメディア 次世代のメディアを考える

掲載日: 2010年06月13日

プラットフォームを作る、サービスを作るといったメンタリティがメディア業界に必要である。

 

既存メディアが機能不全に陥っているにもかかわらず、新しいメディアは詰まるところ「エンタメ産業」でしかないという現状の中で、技術・経営・デザイン等の観点から、次世代(具体的には約10年後)のメディアはいかに設計されていくべきかを探るKixセミナーシリーズ。

同セミナーシリーズにモデレータとして関わるスタイル 竹田茂氏に、特別イベント「クロスメディアセミナー2009冬 」でメディアの役割についてお話いただいた内容を一部紹介する。

***

私も、プレスの新しいネットジネス立ち上げについてプロデュースをおこなっている。コンテンツプロバイダーは良いコンテンツを作れば何とかなると思っている人が多いが、コンテンツを載せたプラットフォームを作らないと先がないのである。

プラットフォームはそんなに大げさなものではないケースが多い。以前日経BP社で仕事をしていた時代に、宝飾店の経営者向けの「日経ジュエリー」という雑誌があった。同誌は発行部数は1万部に満たない程度であったが、9000部くらいあると宝飾店の経営者全員をカバーしていることになる。こうなるとそれはもはやプラットフォームであり、その上で色々なビジネスが展開できることになる。

「アテンションエコノミー」とは、関心の総量は一定であるという、トーマス・H・ダベンポートが言った有名な言葉である。それぞれの頭の中にタンスのようなものを思い描いていただいて、そこにメディアが引き出し別に入っているとする。タンスの量は一定なので、たくさんの情報を入れるために引き出しが細分化されるのである。つまり、小さな引き出しにどれだけ滑り込むかをメディアが考えなければならない。コミュニケーションのためにとってある引き出しが結構多いというユーザーが増えているのではないか。

書籍は、装丁で250ページくらいの本にする。つまり、言いたいことをまとめたら、数十ページのものを延々と250ページにするわけである。要するに背表紙が欲しい。つまり背表紙が作れるような本でないと棚に並んだときに見えない。平積みにしている時間は短いからである。しかし、残念ながら、ユーザーはそういった本につきあってくれなくなっているのである。一種のアテンションエコノミーの現象ではないかと思う。

次に、私の小さい頃と今の若い子の決定的な違いは「膨大なアーカイブがあること」である。私の小さい頃はデジタルアーカイブはなかった。小学生が、ニコニコ動画がどうした等と話している。マンガは見るがテレビは見ずにむしろニコニコ動画を見ている。いきなりアーカイブにいっているのである。毎週土曜日の夜6時半に「巨人の星」を見るためにテレビの前に座るというスタイルではなく、アクセスのスタイルが変わってきているのである。膨大なデジタルアーカイブをどういう形で今のビジネスに繋げていくのかという視点が、どの業界を問わず、非常に重要である。

では、デジタルアーカイブに対して、どういう形で編集内容を加えれば効果的かといえば、いったん分解して断片化することである。小さなマイクロコンテンツにリッチなアノテーションを付けるのである。アノテーションとは一種の注釈で、メタデータの変形である。例えば、YuTubeで流しても面白くない動画をニコニコ動画で流せば、そこにアノテーションが付くのである。ここにかなり商売の香りがしている。
プレゼンテーションに対してお金を払うことが多いと思う。新聞というものは、毎日届けてくれるとか、ポストに入っているとか、この記事はあなたには関係ないということを確認するために毎日読んでいるとか、見出しだけ読むとか、どちらかというと外形にとらわれしまうものである。

例えば、Techcrunchはニュースサイトである。しかし、収入の8割はイベントである。ニュースサイトをやっているということは、バナー広告がそこそこ取れて事業として上手く回っているのだろうと思うとそれはウソで、高額なイベントを定期的にやっていて事業収入を立てている。ニュースサイトをやっているようで、売上げ自体は広告ではなくイベントでとっているということである。

これからは、無料と課金の設計を上手くやっていく必要がある。ほとんど人には無料で良いサービスを提供するのだがごく特殊な人だけに課金するとか、女性はタダで男性には課金するとか、いくつか複雑なトラップ、構造をもっていることが主流になっていくだろう。良いものを作ったのだからこの値段で買ってくれという直接的なモデルだけでない設計をしていく必要がある。今は広告費が取りにくい。どういう形で販促費を獲得していくことができるかという視点が重要である。

(クロスメディア研究会会報「VIHEICLE」より一部抜粋)

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