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IPEX2010では展示面積は5万5,000㎡の40%に達するプリプレスとデジタルソリューションの展示面積に対して、印刷は34%、ポストプレスが 26%となり、最大出展面積は傘下に入れたOceを加えたキヤノンブース、単独ではHPであった。【IPEX2010レポート1】
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4大印刷機材展のひとつであるIPEX2010が5月18日から25日までの8日間、イギリスのバーミンガムで開催された。
展示面積は5万5,000㎡で、プリプレスとデジタルソリューションが展示面積の40%に達し、印刷は34%、ポストプレスが26%となり、最大出展面積はOceを傘下に入れたキヤノンが両ブースを加えると最大となり、単独ではHPが最大と、印刷は有版から無版へ、アナログからデジタルへという流れがさらに加速されることを予感させるのに充分であった。
IPEX2010はPerfect Time, Perfect P1ace, One Unique Opportunity、The right decision for your businessがテーマで、意訳すれば「印刷の可能性を広げるチャンスとビジネスを得る、他に類を見ない絶好の場」とでもなろう。、drupa2008から2年目で次のdrupaまでの中間点に当たるので新技術がどのように製品化されているのかを見るには絶好の機会と位置付けられる印刷総合機材展である。約1000社が40カ国から出展してきた。今回は注目のインクジェット新製品/新技術を紹介する。
drupa2008で国内メーカー2社から発表されて大きな注目を集めている新技術である。B半裁のJetPress 720(富士フイルム)とTruepress Jet SX (大日本スクリーン)は片面機と両面機という以外はあるが、IPEXではともに稼動させての展示を行い出力サンプルも配布された。受注についても予告されているが本格販売までには両者とも少し時間が掛かりそうである。
Truepress Jet SX
drupa2008では米国のコダックとHPからから参考出品され、ゼロックスからも技術発表があり注目されていた。
●Kodak Prosper 5000XL Press
drupa2008では新開発のコンティニアス方式のインクジェット技術がSTREAMとして発表されプロトタイプが公開されていた。昨年7月に正式に製品として発表されていたが、IPEXではフルカラー・両面構成のKodak Prosper 5000XL Pressが分速200メートルでライブデモを行い、大きな注目を集めたが、残念ながらサンプルの配布は行なわれなかった。先行して今年市場投入されるモデルはモノクロ機のKodak Prosper 1000 Pressであるが、Kodak 700 Print Managerコントローラとともに展示された。
Kodak Prosper 5000XL Press
●Kodak Prosper S10およびS5インプリンティングシステム
輪転機などの印刷機や製本機への組み込み型のS10およびS5も出展された。S10は昨年既に発売されているが、600dpiで300m/分という高速で出力によるハイブリッド印刷を実現させている。
●HP T300 Color Inkjet Web Press
●HPT200 Color Inkjet Web Press
drupa2008で発表された機種はT300 Color Inkjet Web Pressという名称となった。印刷幅762mmで最高印刷速度122m/分。C,M,Y,K4色で1200×600dpiの3階調で一般印刷紙や新聞紙、インクジェット用にコートしたコート紙等幅広い種類や厚さの用紙に印刷が可能であり、10セット近くが既に稼動して実績を上げている。会場にも導入印刷会社から提供された出版系の実際の印刷物が展示されていた。
会場で実稼動させていたのは本体が大幅のコンパクト化された新発表の20インチモデルであるT200であり、出力サンプルを配布していた。
HPT200 Color Inkjet Web Press
●Xerox Production Inkjet Technology
トナー分野の開拓者であり、電子写真(ゼログラフィー)が社名もなっているゼロックスがインクジェット市場に本格参入することを示すものであり非常に注目される。デモは行ったがサンプルは配布せず参考出品であり技術展示のレベルである。ワックスタイプのインクによる方式なので、乾燥装置が不要となるので電気消費量がすくなくEcoであることと、インクの特徴から幅広い用紙選択ができることをアピールしていた。
●Oce ColorStream10000
新製品のColorStream10000はOceはバリアブル対応のトナー形高速プリンタでプロセス4色に加えグリーンインクを追加した5色対応、両面1/1~5/5の、1,425枚/分の高速出力が可能である。Oceを傘下に入れたキヤノンがColorStreamなどのロールtoロール型産業用モデルを今後どのように展開していくかに注目したい。
(続く、相馬謙一)