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「牛乳に相談だ。」キャンペーンにおけるクロスメディア・コミュニケーション
ターゲットに関心をもってもらわなければ、いくら情報を流しても効果は薄い。コミュニケーションチャネルを開発することが重要となる。
JAGATクロスメディア研究会では、企業の販促事例やクロスメディア事例を中心に取り上げる「Xover Night」シリーズを開催しており、さまざまな業界の方の体験談や苦労など、現場の「生の声」を聞ける場としてご活用いただいています。
今回は、前回(#6) で中央酪農会議 事務局長の前田浩史氏にお話いただいた「牛乳に相談だ。」キャンペーンのお話から一部をご紹介します。
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牛乳消費の世代別変化をみると、残念ながら全世代で消費が落ち込んでおり、日本人の食生活で牛乳離れが進んでいる。重要なことは、中学生、高校生と進むと消費量ががくっと落ちて、成人になると一生を通じて消費量が変化しないということである。
つまり、全世代で消費量の落ち込みを減らすこともさることながら、急速に落ち込む部分をいかに減らすかということが、世代別にみてターゲットを選ぶときの大きなテーマになっている。従って、今回は若い世代、思い切って10代にターゲットを絞り込んだ。
次にターゲットを攻略する上での課題であるが、まず、1つは、牛乳の摂取機会、つまり飲む量自体が減少していることと、家庭内飲料として緑茶にポジションを奪われたことがある。10年前の牛乳の家庭内常備率が95%あったが、最近は85%である。一方、緑茶の家庭内常備率は10年間で10%増加している。
もう1つは、この世代が牛乳に対する関心度がほとんどないことである。お年寄りやお母さん世代は健康面で牛乳に対する関心度は高い。ところが、ターゲット世代は最も健康な世代で、健康に対して自ら課題を感じていないのである。従って、学校給食の影響もあるだろうが、牛乳イコール健康という一般的なイメージがない。つまり、イメージが希薄で飲料としての興味を持っていない。
一般消費者が起きている時間に何秒くらい牛乳について考えたりイメージするかという点でみると、恐らく中高校生世代は1秒も考えていない。そこで、課題として、「『牛乳』という存在そのものへの興味(関係性)を高め(意識させ)もう一度牛乳に振り向かせること。(関係に気づかせること)先ず認知させ、興味・関心を喚起し、そして飲用行動を促す。」ということを重点とした。
つまり、コミュニケーションのプロセスの中でいくら牛乳についての様々な情報を流したとしても、関心、気づき、といったように牛乳に向かってターゲットの心が開かれない限り、はねつけられてしまうのである。関心、興味を喚起して、親和性を高めるところからコミュニケーションの設計を始めなければならない。
クロスメディア戦略そのものは、一般的にはテレビ、ラジオ、新聞、雑誌といった従来のコミュニケーションチャネルと新しいメディアとしての携帯電話、Webサイトを組み入れるものであるが、場合によっては新しいコミュニケーションチャネルを開発しなければ、子どもたちの生活動線にコミュニケーションを配置できない。
コミュニケーションの構造としては、牛乳が健康に良いというベネフィットを訴求するという方法が一般的である。しかし、牛乳に対して親和性がない限り「のれんに腕押し」の状態で、牛乳の機能的便益性が概念的な知識として子どもたちの頭の中に入っていかな、左脳的な理解が進まないのである。
そこで、右脳的直感と呼んでいるが、情緒的便益性を重点化して牛乳にまつわる親和性を高めて、それとセットで基本的な便益性を入れていく方法をとってみることになった。今まで、牛乳にはカルシウムやタンパク質があるといった直線的なコミュニケーションをしていた業界だったが、戦略的に方向性を変えたコミュニケーションをやってみようということである。
キャンペーンに世界観を、若者に牛乳を
牛乳そのものの世界観を新たに作ることは非常に難しいので、キャンペーンの世界観を作っていってコミュニケーションの土俵を作るということを念頭においた。そこで、多くの悩みを抱える10代にとって、牛乳を『相談できる仲間』のような親しみのある存在に変えていくために、キャンペーンのキャッチコピーとして『牛乳に相談だ。』のメッセージを採用した。
プロセスとしては、ターゲットにとって「牛乳とはどういう存在ですか」という調査をやっていくわけである。そうすると牛乳の存在は、すごく優等生でいいところのお嬢さんやお坊ちゃんであるけども、面白くない、邪魔にはならないけれど仲間として面白くない、というものであることが分かった。
では、どういう仲間が欲しいのかと探っていくと、やはり色々なことを相談できる存在を求めていることが分かった。この世代は、勉強、恋愛、健康等の様々な悩みを抱えている。それを相談出来る存在に牛乳になって欲しい、そういった世界観を作っていこうということで『牛乳に相談だ。』のキャッチコピーを開発したのである。また、ロゴマークは乳牛の乳房をモチーフに、色使いを考えてデザイン化した。
結果的にキャッチコピー、ロゴマークの開発、成功がその後のキャンペーンの発展に繋がっているのである。この表現系の成功は、キャンペーン全体にとって6~7割の貢献度であったと思う。
(クロスメディア研究会会報より一部Web用に抜粋・編集。全文は会報へ掲載しています。)
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