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プリント

DMの伸びはどうなったのか?

掲載日: 2010年04月02日

事業者、発送業者、印刷会社の設備が入り組むというだけではなく、知恵比べもボーダーレスになっていく。

印刷関係から見るとマスメディア広告が2009年には前年比15%くらいは落ち込み、雑誌は近年で半減した印象がある。電通の「日本の広告費」によると、総広告費は12%減で、インターネット広告もほぼ横ばい、プロモーションメディア広告費も全体傾向と同じように下がっている。しかしDMは5%ほどのダウンでしかない。POPにいたっては1%も下がっていない。これは電通の統計の取り方の問題か、本当にあまり変化はないのか?

郵便事業株式会社のニュースリリースで毎月引受郵便物等物数が出ているが、それによると普通郵便物は5%も下がっていない。普通郵便物の7割は企業の出すDMといわれ、アベレージでは毎月10億通ほどある。これは料金明細のようなトランザクションも含まれる。一般人が出す郵便物(全体の3割)が増える傾向にあるとは思えないので、DMはせいぜい2~3%下がった程度と思われる。

実際にメーリングサービス(封入封緘)業者に聞いてみると、価格競争が厳しくて売上は5%くらい下がっているというが、件数的にはそれほど下がっているという話は聞こえない。それは長期の傾向であるが封書から葉書への流れにともなって郵便料金は下がっても件数が減らないのと、信書である郵便とは別枠のメール便とかカタログの発送が増えているので、単価の低下をカバーしていると思われる。

カタログの発送については、ゆうメールが前年比で110%と1割伸びているのが、通信販売の伸びを反映しているとみられている。通販以外も学習塾や金融・保険とかカタログ発送が増えている分野がいくつもある。実態としてはマスコミ広告を減らしてDM・カタログに比重を移した事業会社があっても、おそらくこういった内容は電通の「日本の広告費」にはあまり反映していないのではないかと推測する。

こうしてみるとDMは(一部カタログも含めて)相対的には伸びていると考えられる。しかし単純な伸びではないので、DMという世界の中で何が起こっているのかをもっと知る必要がある。2009年は障害者団体を偽装したDMがニュースになったが、DMを企画する上でのテクニックがいろいろと発達してきた。郵便のDMそのものの規定は郵便法によって決まっているが、例えば近年すっかり定着した圧着葉書のように、既存の規則の上でも工夫してコストパフォーマンスのよいDMを考案する努力をしてきたからである。

また郵便の出し方も、佐川運送のような中間業者が入ってくるとか、もっと小規模では顧客から預かったDMを市内特別郵便で安く発送出るように仕分けて、浮いた郵便代金を顧客と折半するサービスなど、単純だが地道なビジネスが裏では色々ある。また引受ける郵便局の特性の把握まで行って、コストダウンに向けたDM企画をすることによって郵便の通数があまり変わらないようにできていると考えられる。

記事「予算のない時代には知恵を絞るビジネスを」にもあるが、DMそのものが減らない理由のひとつに、コンプライアンスなどが典型的だが社会制度が変わる際のお知らせ、例えば最近ではデジタル放送などには大量の郵便物が必要になるからである。一般的には一括で出されるDMの単位量は下がっているようで、これは宛名の絞込みがされてきているからである。こういったものは従来全く同じ印刷物を作っていたわけだが、しだいにセグメンテーション化、トランザクションとの融合、OneToOne化の可能性がある。

従来は印刷業者がDMを刷ったりプリントをして、それをDM業者が発送するという区分けが明確にあったが、現在では印刷会社が封入・封緘の設備を入れて一貫化したり、発送業者がプリンターを導入して自分のところで印刷をしてしまうというボーダーレスで入り組んだ状況になっている。これは設備が入り組むというだけではなく、知恵比べもボーダーレスになっていくと考えられる。つまり導入した設備を活かしたビジネスをするには、相手の知恵も獲得しなければならないわけだ。その知恵比べの要素としては、前述のDMのツクリそのものの工夫と、セグメント化・OneToOne化があるだろう。

ALPS協議会 2010.3

 

 


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