- ホーム研究会/研究調査 テキスト&グラフィックス研究会 デジタル印刷 「ものづくりを楽しむ心」が 生む多彩な小ロット製品
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「ものづくりを楽しむ心」が 生む多彩な小ロット製品 ワンストップでデザインから 立体物製作まで
独自のノウハウを築き成功しているケープリントの事例を紹介。
印刷業界では、この10年ほどの間、著 しくデジタル化が進んだ。工程のデジ タル化はほとんどの印刷会社で究極ま で進み、もはやハード、ソフトによって は、サービス、製品で他社との差別化 を図ることは困難な状況になりつつあ る。「今後は運用ノウハウ」というのが、 業界の合い言葉のようになっているも のの、独自なノウハウを築けている企業 はまだ少数だ。そのひとつが今回紹介 する(株)ケープリントである。
モノクロ専業から小ロットカラーへ
ケープリントは、もともとモノクロ専業を数人でやっ ていた小さな会社だった。それが13年前に、小ロッ トカラーという新しい分野を開拓することで、たちま ち70人を超える中堅企業へと変身した。
「モノクロをやっていると、ページものでは本文は モノクロだが、表紙はカラーという仕事が時々ありま す。弊社にはカラーの設備がありませんでしたの で、その部分だけは他社さんに頼みます。しかし、 わずか数百部程度のものはなかなか急ぎではやっ てくれません。1週間くらいかかります。弊社に来る 仕事はほとんどが急ぎなので、それで何度か困った ことがありました。弊社が困っているのだから、ほか にも困っている会社があるだろうと考えて始めたの が、小ロットカラーの仕事です。これが見事にあたり ましたね」(水田氏)。
オフセット印刷機を主体とする印刷業では、部数 がものを言う。部数の多いものが優先され、少ない ものは印刷機が空いた時、片手間に印刷するとい う空気が強かった。通常の受注仕事は、受注順に 行う企業が多いが、印刷業界ではそういう慣習は ほとんどなかったわけだ。
価格の公表と ワンストップでの処理
ケープリントの小ロットカラーの仕事は、その意味で業界の慣習を打ち破るものだったと言える。しか し、ただ「小ロットでも受注する」だけが成功の理由ではない。
「小ロットカラーの宣伝は、同業他社に対して DMで行いました。この時、価格表も入れたので す。一般の印刷会社は、価格表を公表しておりませ ん。仕事が発生するたびに、営業マンから見積もり を出すのが一般の習慣です。しかし、小ロットの仕 事は、急ぎのものが多いのです。そういうやり取りを している間に、発注者が急ぐから、ほかに頼んでしま う場合もあるのです。価格表があると、受注した会 社が即座に見積もりできますし、弊社は1日から2日 の間で仕上げますので、顧客を逃がすこともありま せん」(水田氏)。
これにより、最盛期は2,400もの印刷会社から注 文が舞い込んだという。「価格表に加えて、ワンストップでできることもヒット した理由です。印刷業は、分業が進んでいて、デザ イン、印刷、後加工など、工程、作業によって、いろい ろな会社が担当するのが普通です。しかし、短納期のものでは、その間を行き来していると日程が苦し くなります。弊社では、デザインから印刷、後加工、 発送まで、全部行います」(三科氏)。
印刷会社の製作物は、小部数の場合、一般に 営業マンが顧客の元に届ける。「しかし、それでは 顧客を回っている間に、余計な時間がかかってしま います。そこで、弊社ではすべて宅配便で届けるこ とにしています」(水田氏)。
他社よりも早い導入で ノウハウを獲得
徹底した小ロット、ワンストップを実現するために、 ケープリントは大規模な設備投資を行った。軸とな る印刷機については菊四裁(A3よりやや大きい)の オフセット機を10台導入。すべて同じ機種だ。 「同じ機械を10台揃えているので、オペレーター が代わっても操作に戸惑いません。メンテナンスの 仕方も一緒ですし、品質ムラも少なく、作業フローも スムーズなのです」(三科氏)。
そのうちの1台は、紙の両面を一度に刷ることが できる8色機だ。表の4色を刷った後、自動的に紙 を反転させ、裏のページを印刷する。
その後、オン デマンド印刷機が普及し始めると、それも生産ライ ンに加え、オフセットの小ロットよりもさらに少ない部 数でも受注できるようにした。後加工に関しても、断裁機、折り機、製本機など を、後加工専門業者に負けないほど揃えている。
新マーケット、小ロットパッケージ
こうして年々実績を伸ばしてきたケープリントだ が、近年は小ロットカラー受注に関してやや陰りが 出てきた。
これは、同業他社がケープリントとほとん ど同じやり方で、印刷会社の小ロットカラーを受注し始めたためだ。 「真似されるのはしょうがないです。やれるところ をやって、他社が追いついてきたら、次を考えてい けばいいんです」(水田氏)。
このあたりは、一般の 印刷会社と営業、経営姿勢が著しく異なる。一般に 印刷会社は、なんとか顧客の囲い込みを図ろうとするものだ。新しい企画で、マーケットを開拓していく 姿勢は、環境の厳しい昨今、どの会社にも必要なこ とだろう。 すでに次のマーケットとして確立しつつあるの が、小ロットの立体物(パッケージ)の製作だ。いわ ゆる製函(せいかん)である。
これを担当する部門 をパップスタジオと言う。「パップ」はパッケージ&ポッ プ(POP)からつくった合成語だ。 「オフセットの小ロットのニーズがあるのだから、 パッケージの小ロットのニーズもあるだろうということ で、このスタジオは2003年に設立されました」(小林氏)。
製函は、これも独自の分野でほとんどが専門の 会社で作成される。しかし、専門の会社は小ロットの ものはやらない。これは、箱をつくるためのプロセス では、切り抜き用に専用の金型をつくるため、小ロッ トでは採算が取れないことによる。

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小ロット生産に特化した生産ライン
ケープリントが小ロットのパッケージでも採算が取 れるのは、パッケージを切り抜くためにプロッタータイ プの切り抜き機を利用しているからだ。また、印刷は オンデマンド印刷機を利用する。このため、パッケー ジ1個でもOKだ。こうした企業はほとんど見あたら ない。「小ロットパッケージの仕事は、単なる思いつき ではありません。印刷物の小ロット生産に特化した 生産ラインの延長線上にあるのです」(三科氏)。
「パッケージの製作では、パッケージ形状の設計、 パッケージ上のデザイン、紙の印刷、切り抜き、製函 と質的に異なるプロセスがあります。そのため、ある 部分はこの会社、ほかの部分はある会社とあちこち 回り、時間がかかってしまうことがあります。その点、 弊社は設計からデザイン、製作までのすべてを行い ます。時間がかからないだけでなく、コスト的にも安価にすることができます」(小林氏)。
オンデマンド機で他社に勝てる理由
現在では、オンデマンド印刷機が一般化、普及し てきているので、他社でもやろうと思えばケープリントと同じことがやれそうだ。ケープリントならではの強 みがあるとすれば、なんだろうか。
「パッケージでは、形状やデザインに関して複数 の提案を求められることがあります。他社では、パッ ケージを無地(白)のまま提案することが多いので すが、弊社ではオンデマンド印刷機があるので、仕 上がりのデザインの絵柄で提案ができます。白いも のよりは、色や柄があるもののほうが、説得力があり ます」(小林氏)。
「現在ではオンデマンド印刷機は、多くの印刷会 社に入っていますが、弊社は導入時期が早いので 先行するノウハウがあります。たとえば、オンデマンド 印刷機で刷った印刷物は、初期のころ、トナーの性 質などの問題で、製本をはじめとする後加工がやり にくかったのです。現在では、メーカーも対応策を 持っていますが、弊社ではそれ以前から後加工の ノウハウを獲得しています」(三科氏)。
(参考)
ケープリント
ハコレットホームページ
(月刊「プリバリ印」2010年3月号より)
【3月号特集】 POD後加工の贅と技・ 箔でメディアに「箔をつける」
・「ものづくりを楽しむ心」が生む多彩な小ロット製品
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