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POD&オフセット印刷で廃棄ゼロを目指す 1,300 点のカタログをライフサイクル単位で管理
企業では、急速な製品・サービスの多品種少量・短納期化に伴い、関連する企業内印刷物も同じく、小ロット化・短納期化が求められるようになってきた。これに対応してリコーでは小ロット印刷物のPOD化による1部あたりのコスト改善に取り組んでいる。
リコー製品カタログのライフサイクル
リコーで主に販促で使用しているカタログ類は、約1,300点にものぼり、製品やソリューションなど、16種類に分けられている。その内訳は、カタログ・チラシ・マニュアル・CD・フェア用袋・ノベルティなどである。
これまでリコーのカタログはほとんどがオフセットで印刷されており、営業や販社が30部単位で発注したものが配送・納品されていた。新製品が登場すると、はじめはプレス発表前の会議用資料などとして50.100部が印刷発注される。発売開始のプレス発表に合わせて、本番用のカタログの初版が印刷されて、販売促進に使用される。この時が必要部数のピークになり、在庫が少なくなってくると増刷される。また、内容が改訂された時も再発注される。
しかし、最近は製品のライフサイクルも短いので、しばらくすると後継機が発売されることになる。そうなると、先行機のカタログは必要なくなり、過剰在庫となる。
このようなカタログの印刷・発注は、以前は担当者任せにしていたこともあって、適切な在庫管理ができなかった。そのため、不要になったカタログをムダな費用をかけて大量に廃棄していた。
POD導入による業務改革へ
オフセット印刷では発注量の決定が難しい。リコーでの過去の事例を紹介すると、たとえば当初の必要部数は750部であったが、単価が安くなるからと1,000部印刷した。しかし、実際に使用したのは650部で、350部は廃棄処分となった。
また、当初の必要部数1,000部に対して、予備を見込んで1,100部印刷した。しかし、実際には1,250部が必要になり、150部を追加発注した。オフセット印刷では1,000部が最低ロットであることが多いので、このケースでは単純に2回の印刷発注を行ったことになり、2倍のコストがかかってしまう。これは、オフセット印刷では最も避けたいケースである。
つまり、オフセット印刷は大量に印刷すれば単価は下がるが、前述のようにどうしてもムダな発注があるので、過剰分の在庫コストと廃棄コストを考えると、1部あたりの単価が結局は高くなる。カタログ1点では大した金額ではないかもしれないが、リコーのように1,300点ものカタログがあると、全体では大きな金額になる。以前は、これらのカタログをオフセット印刷するのに年間約2億6,000万円のコストをかけていたが、結局は5,000万円分ほどが廃棄されていた。
そこで、部数の少ないものはPOD 化、つまり必要な時に必要な部数を発注するというオンデマンド印刷を導入することで、在庫コストと廃棄コストをゼロにすることを目標にしたのである。
大ロットが必要な時期はオフセット印刷で製作し、小ロットの時期はPODで印刷するという、両者の特徴を生かした製作方法を、当初178種類のカタログに絞り込み実施した。これによって、年間500万円ほどのコスト削減を実現した。POD 化の狙いは「目に見えるコストダウンができる」ことであり、この業務改革は成功した。
オフセット印刷との分岐点
POD 化するカタログの条件を決めるにあたり、リコーでは、2008年に発注したオフセット印刷のページ単価の実績を調査した。PODで採算が取れる部数の計算も行ってみた。オフセット印刷と比べてPODの1部あたりのコストが低くなるページ数・部数の条件範囲(分岐点)を算出すると、POD化しやすいのは2、4ページのカタログでは1,000部以下、8、12ページでは500部以下、16、20ページだと200部以下であることがわかってきた。そこで分岐点の部数以上はオフセット印刷で製作するが、それ以下はPOD 化するという方針を打ち出した。
PODの品質を総合評価
一方、同社ではPODにより品質の問題が生じないか検証するため、画質、写真、イラスト、文字、罫線、ロゴ、色、グラデーション、ベタ、グレースケール、その他全体の印象、後処理などについて総合評価を行った。官能評価であるが、PODでは不都合があるという回答はわずか3%であった。
・オフセットと同等以上:1%
・十分に満足して使える:68%
・一部不具合が発生する可能性がある:28%
・不具合が発生する:3%
なお、「一部不具合」のほとんどがデータに依存したもので、デザインなどで改善が可能であり、PODによるカタログ製作は運用上問題なしと判断された。
同社では、PODの導入とその検証を経て、部数・ページ数によってオフセット印刷とPOD、それぞれの特徴を生かしたカタログ製作により期待される効果として、以下のことを挙げている。印刷費10%の削減、製作物の精度品質の向上、不良在庫の30%削減、物流納期の短縮、間接人件費30%の削減、業務の可視化による情報の共有化などである。
(「プリバリ印」2010年1月号より抜粋)




