時間と場所を特定できる唯一のメディア
デジタルサイネージの媒体としての一番の特長は、「時間と場所を特定できる唯一のメディア」ということである。
この特長を生かす限りにおいては、デジタルサイネージは非常に意味がある。生かし切れなければ、中途半端になってしまう。逆に時間と場所を特定しないメディアは、Webである。いつでも、どこでも、だれもがアクセスできる。
つまり、デジタルサイネージの対極にあるのがWebである。その間にあるのは、テレビである。テレビは、時間は特定されている。テレビにはプログラムがあって番組表に従って実施されている。場所は受信できればどこで見てもよい。
それに対して、デジタルサイネージは、その両方がひも付けられている。その場所、その時間で、何を提供したらよいのかというのがデジタルサイネージの特長である。
最近のマーケティングは、単に一つのメディアを使おうというのではなく、テレビや新聞広告とチラシなどを連動して行うもので、クロスメディアと言われる。その手段の一つがデジタルサイネージであることを認識しておくことが大切である。
単にデジタルサイネージを置けば儲かるとか、そういうことではない。デジタルサイネージはメディアの一つであり、マーケティングから考えてメディアをどうやって、メディアミックスして使おうかという時の一つが、デジタルサイネージである。施策としては情報提供や行動ターゲティングしたりレコメンドしたりといったことがある。
またマーケティングという考え方の上では、費用対効果について検討する必要がある。Webと同じ発想だが、アクセスログ、視聴者の測定、動線データ、POSデータの解析といったことまで含まれる。そして、マーケティングした効果はどうだったかとフィードバックして、メディアや置き方やマーケティングのターゲットを変えていく。その中でデジタルサイネージをしっかり位置付けるという発想をもつことが、デジタルサイネージを無理なく使う一つの方法である。
デジタルサイネージ自体には、受動型と能動型がある。受動型はテレビのように流されているのを見るだけのもの。つまり視聴型である。能動的になると、接触型、双方向型、出演型となる。接触型はFeliCaなどで触るとクーポンがもらえるものである。双方向型は何か検索したり、タッチパネルを使うものである。
ここまでが従来だったが、最近は出演型が既に出てきている。これは、視聴者の関与度としては一番高く、自分が出てしまうタイプで、CGM(消費者生成メディア)やAR(拡張現実)がそうである。自分が出演していることを他人に知らせたいがために、口コミ効果が生まれSNSのようになっていく。
配信のほうで言えば、メタデータを入れたりとか、アグリゲーションのところもそのうち吸収が進んでしまうので、デジタルサイネージは非常に少ないコンポーネントで目的を達成できることが間近になってきている。デジタルサイネージは複合的なアプリケーションで、従ってプレイヤーも多い。制作の役割を果たすのか、あるいは広告主なのか、ロケーションオーナーなのか、媒体社なのかで、どうサイネージに関わって収益を上げるかのプロセスが全く違ってくる。全部単独でやるのは無理で、違う分野の人と協業することが必要になってくる。
(「JAGAT info」2010年1月号より)




