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デジタル印刷分野の拡張が続くJDF規格
JDF1.4がリリースされる予定のDF規格の動向
Interop東京
2008年10月に東京で相互運用テスト(Inter Operability Test 略称Interop)が行われた。InteropとはJDFに対応したベンダーがシステムを持ち寄り、JDFによるデータ交換のテストを行う場であり、MIS、印刷機、後加工機など分野を問わずさまざまなベンダーが一同に会する。年に二回ヨーロッパ、北米、アジアの持ち回りで開催されている。
Interopにおいては、誰でも参加できる無料のJDF入門セミナーを行うことが慣例となっており、今回のInterop東京でも実施された。印刷会社やデジタル印刷機メーカーから多数の参加があり盛況であった。JDFへの関心は決して衰えてはいないようだ。また、海外のMISベンダーが日本の機器メーカーとの接続テストのために何社も参加していた。
さらに、このInteropを契機にJapan BNGとJapan TechnicalWGという二つのワーキンググループが設立されている。
Japan BNGのBNGとは'ビジネスネットワーキンググループ'の略称でベンダー間連携を図りながら、JDFの普及・啓蒙活動を行っていく。IGASやPAGEといった展示会でのマーケティング活動も企画する。
Japan TechnicalWGは、JDF規格を中心とした技術的なテーマについて日本語で議論するグループである。JDFのさまざまな技術部会は欧米、特にヨーロッパを中心に行われており、ネットでの会議も多い。そのときに日本の関係者は、英語と時差の二つが障害となり、なかなか積極的に参加できていない。今回Japan TechnicalWGが設立されたことにより、日本からの要望がより規格に反映されやすくなることが期待される。
JDF1.3と1.4
現在、公開されている最新バージョンはJDF1.3であり、2005年9月にリリースされている。1.3でのトピックは、パッケージやラベル分野の拡張、新聞印刷のワークフロー対応および輪転印刷の強化である。実はJDFが本格的に輪転印刷機に対応したのは1.3からで、最近ようやく輪転印刷機のJDF対応が増えつつある。
その他にJDF1.3では、HTTPS対応によるセキュリティ対策や付け合せ面付けへの対応が行われている。
JDF1.4は当初drupa2008にあわせてリリースと言われていたが、予定がずれこみ2008年11月にリリースする見込みである。当初予定されていた仕様で先送りされたものも少なくないが、実用度を増したというのが全体の印象である。
今回の改訂の主な特徴は次の2点である。
(1)実運用の実績を積むなかで求められるようになった機能の追加
(2)デジタル印刷への対応
具体的には以下のような機能が追加されている。
- ネット上でのデータ交換を想定したセキュリティ/認証機能追加
- JMFの取りこぼしを防ぐ仕組みの追加(相手の受信が確認できるまで送り続ける)
- フレキソ印刷対応
- ニス加工対応
- バリアブル印刷を想定した自動面付け
- デバイスモジュールの個別モデリング機能
- 多機能型デジタル印刷機では、RGB/CMYK変換、色補正、トラッピング、分版、面付けといった一連の処理をまとめて行うことが多く、外側から部分的に調整することが困難であったが、各モジュールを個別定義することで、JDFでコントロールすることが可能となる。
- コンテンツ生成における座標定義の追加
- コンテンツ生成とはいわゆるDTP制作作業のことであるが、バリアブル印刷におけるページ構成要素(イラストや画像など)の自動配置が強く意識されている。
デジタル印刷(DIPI)WGの動き
JDFの仕様は各分野ごとにWG(ワーキンググループ)が作られ検討される。いま最も活発に活動しているのがデジタル印刷のWGである。
検討中の大きなテーマとして、JDF1.4をベースとしたCommercial Digital Printing ICS の策定がある。ICSとは、あるデバイス、ないしデバイス間でデータ交換するときに最低限実装すべきJDFの規格範囲を定めたもので、例えば、製本機用のBinding ICSやMISと枚葉印刷機間のデータ交換を規定したMIS to Sheet-fed Conv.Printing ICSなどがある。
デジタル印刷機用のJDF仕様はこれまでオフィス用を中心に検討されてきたが、Commercial Digital Printing ICSは商業印刷業者によるデジタル印刷機の運用を想定したものである。ここで、キーワードとなっているのが、「ハイブリッド」と「リターゲッティング」、そして「バリアブル印刷」である。
言葉の定義として、ひとつの印刷物の中にオフセット印刷したパーツとデジタル印刷したパーツが混在する、あるいはオフセットで印刷した上にデジタル印刷で追い刷りすることを「ハイブリッド」と呼び、印刷機の選定をオフセットからデジタル、あるいはデジタルからオフセットに自在に切り替えることを「リターゲッティング」と呼んでいる。そして「バリアブル印刷」と対になる概念が「スタティック(静的な)印刷」である。
ひとつの商業印刷会社のなかで、上記のような仕事が混在したときでもスムーズなJDFワークフローが構築できるように、WGの枠組みを超えて製本やプリプレス、あるいはMISのWGのメンバーが随時召集されながら活発に議論が続けられている。
議論のなかで出てきた新しい役割の概念としてWFM (ワークフローマネージャー)というものがある。デジタル印刷では、プリプレス/プレス/ポストプレスという工程の区切りが明確ではなく、PDFデータを受け取ればインラインでフィニッシングまで行うスタイルが多い。そのためMISとは異なる工程管理、デバイス制御の機能/概念が必要ということで、それをWFMと呼んでいる。WFMとRIP、あるいはWFMと面付けシステムといったWFM関連のICS規格が策定されつつある。
(取材協力 株式会社メタテクノ ビジネス開発本部 事業推進部)




