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最大のコミュニティ誌の悩み
Webなど新技術と、広報の現場のGAPを埋めるサービスが必要
マスメディア以外にも大量に印刷物をまいていた時代があった。その最たるものが情報誌であったが、その最大手も売り上げの40%くらいはネットに移ったという。雑誌が衰退するのを横目に近年はフリーペーパーが伸びたが、それも淘汰の時代になっている。フリーなことは情報の受け手にとっては好ましいかもしれないが、情報の送り手はあまりコストをかけたがらないので、どこかに置いておいて自由に取ってもらう雑誌形式のものが増えた時代があった。
しかしこのマガジンラック方式は置き場所が悪いとなかなか媒体をもっていってもらえない。フリーペーパーが受け入れられるためには、誰に何をどういう機会に渡すべきかというところに非常に努力が必要なのに、ラックの設置場所が他社の管理下にあると、配布の工夫ができない。広告主に対して設置箇所数を誇示するためにラックを置いているようなもので、結局部数を減らさざるをえなくなる。そのために大部数のフリーペーパーは昔ながらの宅配が中心になるかもしれない。
むしろ配布対象を分野とか地域に絞って情報の送り手と受け手の関係を濃くするような方向もある。こういうコミュニティ指向の媒体は人々に愛着をもたれはするが、有料化やビジネス化はなかなか難しい。たくさん数が出るのは若い人向けの同人誌のほんの一部で、今ではコミックマーケットの中から商業出版化するものがみられるが、殆どは自費制作の部類であろう。同人的な分野は日常の作品発表はWebやBlogで行い、何かの際に合同で紙媒体化することが多いようだ。
社会一般を見渡したときには、市町村などの住民にとって全戸配布される自治体広報が身近な媒体である。中央官庁が印刷物を減らしている一方でこういった地元メディアはそれほど予算も削減されてはいない。とはいえ元々非常に限られた予算で作成されているので、本来ならもっと力を入れたいところが、なかなかかなわないのが実情のようである。先般、社団法人日本広報協会の方のお話をお聞きしたが、近年の広報活動はさらにWebでの情報発信も合わせて行わなければならないので、自治体担当者の負担は増えているとことであった。
そういった中で広報誌のDTP化は進んでいて、市町村の4割ほどが導入している。一般オフィスと同様にWindows上でのAdobeInDesign主流である。自治体から広報協会に対する問合せではWebに関するものが多いとのことで、低予算の中では紙媒体よりもWebやmailに比重を移すところがあるのかと思ったが、まだWebの方が不自由なようである。例えば住民を紙面に登場させる場合に、紙面掲載のOKは出ても、他の地域でも閲覧でき、何時までも残るWebへの掲載には難色を示す場合があるという。これはコミュニティ誌が地域の顔見知りの世界に限定されて配布される前提で企画編集されるからである。
地方での自治体広報は住民に非常によく読まれていて、効果測定の調査結果でも70-80%の浸透率である。最近は経費捻出のために広告を掲載するところもあるが、限られたスペースしか用意していないのですぐに埋まってしまうという。しかし自治体の顔で信用も保たれている媒体だけに、商業誌のように広告を増やすわけにもいかない。住民に親しまれていることから、逆にWebのような他媒体に出そうとすると制約を受けることもある。
基本的には担当者の数が少なく、広報内容は住民サービス全般にわたるのに、広報誌・Web以外にイベントの案内のような広報物の作成もあるので、紙媒体とWebとの内容の使い分けよりも以前に、広報情報の蓄積や使い回しができる環境があって、情報発生時点で任意に登録してWeb(イントラも含めて)で閲覧でき、文書やイベントチラシなどはオンデマンドでデザインテンプレートに流し込んでプリントアウトし、日常のそういった情報に加えて、紙媒体用に取材などを足して広報誌に仕上げるような、総合的でシームレスな環境があれば、市町村だけでなくいろいろな公的団体にとっても助けになるだろう。
全戸配布の自治体広報誌は、横に連携をとるようになると、最大のコミュニティ誌になる。ネットの社会においては、地域住民にネットで情報を供給するのとは違った、間接的なネットの利用も進むだろう。一つ一つの媒体は大きくなくても、こういった媒体が地域限定情報だけでなく、もっと横断的に接点をもって社会の広い情報を扱って、ある面では国民の役に立つようになる全国的な媒体という特性を持つ可能性もある。
ALPS協議会 2010.1
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