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フレームワークと知識

掲載日: 2008年11月04日

提案の際、分析に使用するフレームワークは、使用方法に関する知識と提案内容に合致する技術的な知識が前提となる。第6期クロスメディアエキスパート認証試験講評[論述編]。

2008年8月24日に実施された第6期試験について10月29日(水)に合格発表がおこなわれた。論述試験の解答傾向について、先日開催された認証委員会の講評より試験の取り組みに関する内容を一部紹介する。

※クロスメディアエキスパート試験とは、顧客のニーズに対応して多様なメディア(クロスメディア)を提案できる人材を認定する試験である。第6期の論述試験では、中堅スポーツジム関連企業が抱える問題に対して、受験者は中堅商業印刷会社・子会社の担当者として改善案を含んだクロスメディア提案をするという形式で出題された。


論述試験の傾向

 

今期の論述試験では、「地域密着型のフィットネスクラブ(中規模)」を与件企業とし、与件企業の抱える様々な問題点や、その企業を取り巻く環境から、提案書を作成していただくといった内容であった。
全体の解答レベルを見ると、合格者数も若干増え、それなりに提案が書けており、全く出来てない答案は少なくなった。しかしながら、前期までの答案と比べると、解答レベルが低くなっており、ボーダーラインでの合格者が多い結果となった。与件に含まれる内容がある程度読み取れていて、記載内容に違和感があっても、好意的に捉えることができれば加点する採点手法については以前から変わっていない。今期については、好意的に提案内容を捉えなければ、合格点に達しない提案が多く見受けられた。ボーダーラインで合格した受験者の答案は、実際の仕事で使えるレベルにない提案書であり、クロスメディアエキスパートとして現実の世界で仕事をすすめていく上で、困難な局面にぶつかる可能性が高い。合格したことに満足せず、日々の情報収集や、分析手法、論理的思考を学び、更新試験の際に、その成果を発揮していただきたいと考えている。

ボーダーライン上の点数になってしまう答案の多くの原因は、与件企業の抱える問題点抽出の希薄さが殆どを占めている。SWOT分析などにより、問題点の抽出はしているのだが、整理はされておらず、多くの問題にプライオリティがつけられていない。SWOT分析を行なった際、単純に「W:弱み」や「T:脅威」となる部分を問題点として捉え、基本的な考え方である「S:強み」を「O:機会」にぶつけるといった視点が無く、「強み」や「機会」による問題について気づいていない。これは分析ツールの基本的な理解が足りないことや、与件の読み込みが足りない点を起因としている。さらに、与件企業の顧客属性を具体的に思い浮かべるところまでいたっていない答案も多く、自身が与件企業の顧客だった場合に、とらない行動を求めているケースも多く見受けられた。

前述した内容の提案を解答としたからといって、その受験者は提案のセンスが無いわけではない。単純に仕事上での訓練や練習が不足していることが要因となっており、努力でつけることのできる提案スキルが足りていないだけである。多くの企業では、提案書をテンプレート化し、得意先名だけを変えているケースが見受けられる。実際の現場においても、月に10~20本の企画提案する人がいるが、全く仕事がとれないことがある。その内容を見ると多くの場合が、提案内容自体に無理がある。受注することが無理でどうすればよいのか解らず、諦めていしまい努力をすることを止めてしまうと、先行きは明るくならない。地道に自ら学び、訓練・練習を繰り返すことで、自然に提案能力は高まるのである。

提案内容で与件企業の競合に対する「差別化」を訴えるのであれば、与件文から与件企業の強みを引き出し、外部環境の機会により、目的を達成できるよう提案内容を選別していくテクニックが必要となる。さらに競合企業の分析を緻密に行ない提案で訴えることにより、提案内容に説得性が増す。コンテンツを提案するのであれば、ターゲットを明確にし、ターゲットが受け入れやすいコンテンツを提供するべきであり、「自社と競合する企業も提供しているから」というレベルでは、得意先に提案内容は受け入れられ難い。

ビジネスの基本を用いる

 

論述試験の与件には、新聞を読んでいれば解ることしか記載していない。新聞は、マクロ環境、ミクロ環境を捉えつつ興味のあるポイントを吸収するには最適のメディアである。(コンピュータを)立ち上げる作業がいらない分、場合よってはインターネットより便利な側面もある。解らないキーワードがあれば、確実に調べ吸収する。当然インターネットも併用する。これらの行為は、試験対策だけではなく、ビジネスマンに求められている基本的なことである。ビジネスマンは、考え、調べ、情報を吸収し、仕事に生かすことが、日々求められる。マクロ環境やミクロ環境など、様々な視点で情報を読み取ることがビジネスの基本である。散在する情報の中からポイントを見つけ出し、調べ、吸収することは、情報自体の要点を絞り込むことが必要となる。多くの情報に触れることは、提案時のボキャブラリを増やすだけではなく、論述試験の与件を読み解く際に、与件企業の強みや弱みなどをいち早く割り出し、まとめる訓練となる。ポイントを絞り込むことが出来れば、前述した分析ツールの使用方法を活用し、論理的に企画をまとめるあげることで、クロスメディアエキスパートとして、実際のビジネスでも活用できる、合格レベルの答案が書けることとなる。

提案先企業の担当者は、ビジネスをしている。提案活動を行なう際は、ビジネスの基本をおさえた上で提案することが必要がある。提案に必要なキーワード選定し、提案先の担当者に失礼の無い言葉を使用し、提案することが基本である。これらを踏まえ、論述試験に臨む際には、学科試験の対策で培った知識を合理的に活用し、説得力のある提案内容である答案を用意していただきい。また、クロスメディアエキスパートとして認証された際には、その知識と提案スキルを仕事の現場で十分に生かしていただけると幸いである。


過去の講評記事:
技術動向知識の蓄積[第6期試験講評・前編]
知識だけでは語れない[第5期試験講評・前編]
事前準備のすすめ[第5期試験講評・後編]
顧客はあなたの提案に納得しているか?[第4期試験講評・前編]
「なぜ?」が解決策を生む[第4期試験講評・後編]
広範な知識が可能性を拓く[第3期試験講評・学科編]
クライアントの本質を掴むことがチャンスに[第3期試験講評・論述編]
同時開催のDTPエキスパート・クロスメディアエキスパート認証試験報告[第2期試験実施報告]
第1期クロスメディアエキスパート認証試験を終えて[第1期試験実施報告]