本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。
10月30日(金)、2009年8月23日に実施された第8期試験の合格発表がおこなわれた。第1期~第8期までの解答傾向について、先日開催された認証委員会の講評より、試験の取り組みに関する内容を一部紹介する。
第7期試験で解消された、最終問題に近づくほど正答率が低いといった傾向が再び採点結果に現れた。これは、試験に対する時間配分が十分に検討されていないため、デジタルコンテンツにあたるカテゴリーの問題に取り組む時間が極端に足りなくなり、十分に考慮された解答がされていないためである。またITについて基本となる主要技術や基幹業務システムに関する問題では、正答率が80%を超えた。この傾向は、直近に行なわれた試験では共通して見られる結果である。以前にも増し、ビジネスにおいてITが不可欠なものとなり、日常の中でその知識が問われることが多くなったことから、この結果が生まれていると考えられる。
しかしながら、全体を通してみると前期の試験と同様に、新キーワードが含まれる問題の正答率が特に低いという結果が顕著に現れた。技術やサービスの最新動向や新用語に関する問題へのさらなる対策の必要性が感じ取れる。出題範囲は広いが、カリキュラムに記載されているキーワードに対し深い知識は求めていない。また、新しいテクノロジーに関しては、世間で一般化しつつある技術やサービスからの出題となっており、普段から新聞やインターネットなどで動向を追いかけていれば十分に対応できる内容である。 学科試験で得る知識は、論述試験で必要となる知識の基盤になるものなので、カリキュラムの内容に関することだけでなく、新しいテクノロジーについても、出来る限り対策を怠らないでいただきたい。
今期の論述試験では、「実店舗およびネットを通じて行なってきた医薬品販売業(中規模)」を与件企業とし、与件企業の抱える様々な問題点や、その企業を取り巻く環境から、提案書を作成していただくといった内容であった。今回から設問の見直しが行なわれ、
<問1>
与件企業の強みと機会を3つずつ挙げなさい
<問2>
与件企業の抱える問題解決に向けた施策を3つ挙げなさい
<問3>
問題解決に近づくために、メディアによって出来そうなことについて、与件企業がターゲットとすべき市場セグメント別を明確に記載し3つ挙げなさい
<問4>
問3と関連づけて、与件企業に見込まれる効果を3つ挙げなさい
<問5>
問1~問4を踏まえ、わが社からの提案の骨格を、プレゼンテーションできる様式でまとめなさい
といった内容であった。
設問の変更は、問1から問4までを解答すると、これまでの出題内容と比べ、提案書の骨格を作成しやすくする出題意図があった。与件を理解し、出題意図を汲み取ることに対する採点基準は、これまでの試験と同様である。問1での問いかけに対し、正確な解答ができているか否かで、以降の設問に対する解答の一貫性が左右され、合否を大きく分けた。「強み」と「機会」に対する解答の段階で、これがSWOT分析の一部であるとの認識が重要であった。特に「機会」に関する解答がSWOT分析で示される、与件企業の外部環境に関する解答が求められることに対し、与件企業の内部環境に関する解答が多かった。学科試験で求められるキーワード(ツール)に対し、概要を覚えるだけでなく、そのキーワード(ツール)の用途、問題点を含めた学習をしていただきたい。