本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。
CG画像から印刷をおこなうことが急速に増えている。CG画像のハンドリングにおける印刷会社の対応力が問われている。
余り触れたくもないことだが、世の中ではあまり景気の良い話を聞かない。米国に端を発した金融不安はあらゆる産業に暗い影を落としているし、もちろん印刷業界も例外ではない。
一時代前なら「こういう不景気こそ印刷業界の真骨頂を見せるときだ」ということになるのだが、印刷以外の広告媒体が充実している現在は
1.Webに対抗して印刷ならではのメリットを追求する。
2.Webと強調して総合的なビジネスをする。
3.他のメディアに対抗できるためギリギリのコストダウンを図る。
等々、他メディアとの協調や徹底した強みの強調なくしては印刷の生き残りが難しい状況となっている。
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そしてそこに共通した認識がコストダウンであり、納期短縮もコストダウンする大きな要因でもある。デジタルカメラは納期短縮やコストダウンにつながる有力なツールなのだが、デジタルカメラへの移行はデジタルカメラ推進者も予想していなかったくらいの驚くべきスピードで進んだのは皆さんも目にした通りである。
しかし、そのデジタルカメラも過去の遺物になろうとしている。
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それはCGの台頭であり、現在印刷会社に入稿されている写真原稿の多くはCGによるものが多いはずだ。自動車等の工業製品はもとより、清涼飲料水や化粧品のパッケージはCGと考えた方が良い。
そんなバカな?と思われる方もおいでだと思うが、工業製品やパッケージ類の設計はほぼ100%CADでされる。そしてそのCADからCGを起こすのは、InDesignのネイティブファイルからPDFファイルを作るくらいに当たり前のことなのだ。もっと極端な例としてはPhotoshopのネイティブファイルからJPEGファイルを作るという感じだ。
同じメーカーがCADソフトとCGソフトを作っているケースも珍しくないくらいなのだから、これは容易に御理解いただけるはずだ。
カラーポジからスキャナでスキャニングしていたら、色が不安定で「ああでもないこうでもない」と時間はいくらあっても足りない。それがデジタルカメラになれば、一桁、手数は減るはずであり、そういうデジタルカメラの威力を体感された方は少なくないはずなので、クドクド説明は必要ないだろう。
しかしデジタルカメラがCGになれば、クライアントの本当に欲しいアングルで、欲しい階調を自由自在にコントロールできるのだ。天候を待つことも腕の良いカメラマンを探す手間も省けるのだ。
耳を疑うかもしれないが、コストダウンのツールとしての最終兵器はCGなのである。
ハリウッドの例を見れば理解は容易だ。「ベン・ハー」時代は大型セットで作られたものが、「インディ・ジョーンズ」時代にはマッド画といわれる絵となり、そのほとんどがデジタル画像との合成で使用されていた。そして「マトリックス」以降はCGとなり、現在に至っている。
わざわざこれはCGで作ったというのではなく、コストダウンの方法としてCGがフルに使用されているのである。
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印刷でも御他聞に漏れず、CG画像の割合が急激に増えているが、最近になってCGのネイティブファイルで入稿されるケースが目立ちはじめている。
「CGのネイティブファイルは入稿データではない」と断るのは簡単だが、これを断るかどうかで今後のビジネス展開が大きく変わってくるのは間違いがない。
CGをハンドリングできるというのは、デジタル画像をディレクションできる証であり、印刷業がビジネスのイニシアチブを取る第一歩でもある。
「印刷業にとってCGは必修科目である」というのはこういうことであり、間違いないと断言できる。もう既にCGネイティブが来ている印刷会社には「今後ネイティブをハンドリング出来なければ、もう仕事は出しません」とはっきり言われている会社もあるくらいである。
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テキスト&グラフィックス研究会では10月21日に「CGと印刷ビジネス」というタイトルで、印刷会社がどういう風にCGと付き合っていくべきかを分りやすく実践的に啓蒙する研究会を開催する。
画像ビジネスを少なからず考えている会社は是非御参加いただきたい。
講師の長尾氏(株式会社パーチ)は、印刷会社にはこれだけビジネスチャンスがあるという持論の持ち主で、印刷会社には強い味方になるはずである。