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DTPエキスパート認証試験では、課題制作について今回大きな変更をおこなった。
第32期エキスパート認証試験も世の中の不景気を反映して受験者が減ってしまったのは、ほかの資格試験の結果などを見てみると致し方ないことだが、それでも1000名の大台を維持しているのは「今まで真面目に努力してきたことの見返りとして受け取れるのではないだろうか?」と自分勝手に評価している。それでも日進月歩で進化しているデジタル技術だから古くなった問題も少なくない。
しかしDTPエキスパートはレガシーなデバイスやフォーマットにも対処できることが必要であり、出題側としては新旧の問題バランスが難しい。ただし実技試験に関しては古いやり方をバッサリ切っていくということで、課題制作を今回からガラッと変更した。
経緯から説明すると第31期試験からCD-ROMによる課題制作の材料配布からWebによるダウンロード形式に変更した。
正直な話、最悪のことも考えて100枚のCD-ROMは用意しておいたのだが、指定校から1枚のオファーがあっただけで、特に混乱もなく終了した。なぜこんなことをと疑問に思われるかもしれないが、デジタル化のメリットでもあるネット利用の推進者として、DTPエキスパート取得者は働いていただかないと困るので、その技量を持っていることも必須と考えているのだ。もっとも日本のブロードバンドの普及率も重要で、昨今の状況をかんがみて課題提出もWeb経由という決断に至った経緯があるのは言うまでもない。作業指示書はPDF、でき上がった課題はPDF/X-1aの入稿データの形で指定サイトにアップしてもらうのだが、締め切り間際のトラフィックの混雑も考慮してのスケジューリングなども、必然的に採点対象に含まれてくるわけである。
今後の課題制作についても「リモートプルーフの実践や記述を入れる」とか、「著作権・肖像権フリーの埋め草的な写真やコンテンツをインターネット上で捜してきて課題に反映しろ」とかいろいろ工夫できると思う。いずれにしろWebのお陰で実践的なテストにより近づけることができるわけである。今回は印刷標準にそれほどこだわらなかったが、色基準をきっちり決めておけば、海外からのオファーに対しての対応、マルチユース等々トライしたいことは山ほどある。「まだまだ改良の余地はたくさん残っている」ということはDTP技術もまだまだ発展するということにほかならない。
(「JAGAT info」2009年9月号より)