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キンドルブームを考える

掲載日: 2009年09月12日

CO2は魔法の言葉。人の行動様式を変え、電子書籍にもポジションを与えようとしている。

あれほどペットボトルで水を携帯していた人たちが、水道水を飲もうという運動に鞍替えしたのが、2007-2008年であった。これは単に水を飲むのに、ペットボトルを生産したり輸送流通させる多大なエネルギーを使っていることが無駄という考えで、ニューヨークのように飲料にできる水道のあるところでは排斥しようというエコ運動がおこり、レストランのメニューからもペットボトル水は消えていくとか、シカゴではペットボトル水税というのも設けられた。

これと似たものが昨今の電子ブックでも感じられる。アメリカではAmazonが電子書籍のダウンロード販売をぐんぐん伸ばしていて、そのリーダーとしてのキンドルも市民にとって身近なものとなってきた。端末代は3-4万円かかるものの、コンテンツをダウンロード購入するのは安いので、たくさん本を買う人にはトータルで割安なものとなる。こういった使い方の先に新聞もダウンロードにしようという試みもある。電子書籍そのものは新しい概念ではなく、モデムやミニフロッピーの時代から絶え間なく挑戦されてきたものであるが、今日それが成り立つのは、エコのライフスタイルに裏打ちされているといえる。

ペットボトル水排斥も電子書籍も Green fashion という場合があるが、どちらかというと Green fascio といいたくなるような全体主義的な強迫観念が感じられて、合理的な判断を突き超えた現象として進んでいくものかもしれない。ペットボトルがいくらリサイクルできるからといっても、多く作られすぎなのではないかと感じて、ペットボトルを買うのは後ろめたいと感じる女性が半数以上いるというアンケートがあったが、紙媒体の氾濫に対しても同様な印象をもたれるかもしれない。

その意味では電子書籍という様式は、まさに「メディアはメッセージである」を実現しているともいえるだろう。別の見方をすると「本」をモノとして所有・管理する世界と、コンテンツとして利用する世界とは分かれて進んでいくことでもある。つまり電子書籍は、それを使う行動様式とともに定着していくことになるのだろう。

(クロスメディア研究会 会報「VEHICLE」245号)

 

 


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