オンデマンド印刷とデジタル印刷 <デジタル印刷のビジネスモデルを考える>
掲載日: 2009年07月03日
デジタル印刷ビジネスで成功するためにもっとも重要な要素は、ビジネスモデルである。
■オンデマンド印刷とデジタル印刷
オンデマンド印刷、POD(Print on Demand)という呼び方は、そのものズバリでオンデマンド(要求に応じて)という言葉に由来しており、小ロット(短納期)印刷を意味している。しかし、オフセット印刷方式であっても、小ロット・短納期で印刷物を製作し、納入することも可能であり、それもオンデマンド印刷であるとも言える。
厳密に言うと、オンデマンド印刷は印刷方式ではなく、ビジネスモデルを表す用語と言える。
オンデマンド印刷が登場した頃は、オフセット印刷は大量印刷の代名詞であり、小ロット印刷という概念も無かったのであるから、致し方ないだろう。
印刷方式を表すものとして相応しい呼び方は、「デジタル印刷」「デジタルプリント」だろう。
デジタル印刷方式のもっとも特徴的な部分は、刷版を経由せずに、デジタルデータを直接、媒体に記録する無版印刷ということである。小ロット対応や即時性、およびバリアブル印刷も無版方式であるからこその特徴であり、メリットであると言えるだろう。
デジタル印刷が、印刷方式ではなくビジネスモデルを表す用語で呼ばれてきたという事実は、デジタル印刷ビジネスが従来の印刷ビジネスと本質的な相違があるからではないだろうか。
■デジタル印刷とビジネスモデル
欧米に比べて、国内ではデジタル印刷の市場が十分に確立していないと言われている。品質や一枚あたりのコストなども、その課題として取り上げられることが多いが、デジタル印刷ビジネスで成功するためにもっとも重要なのは、ビジネスモデルである。
欧米では、印刷会社が独自にデジタル印刷のビジネスモデルを確立し、成功している場合が多い。
「ロングランバリアブル」とは、オフセットで印刷した印刷物に、デジタル印刷でバリアブル部分を追い刷りするもので、オフセットとデジタルのハイブリッド印刷と言えるものである。大量印刷のメリットとバリアブルのメリットを兼ね備えることで、パーソナルDMに適していると言えるだろう。
B to BのWeb to Printは、多店舗・多拠点型の企業に対して原稿作成と印刷発注の自動化を実現する仕組みであり、応用範囲も広い。
データドリブン・プリントとは、データが更新されるたびに印刷物を発行するという流れを、自動化によって実現する方法である。発注元のコンテンツデータを管理し、自動処理によって継続的に印刷物製作をおこなうビジネスである。
ITやネットワーク技術を駆使した独自性のある提案、あるいは発注元にとって魅力のあるデジタル印刷ソリューションこそが、成功するビジネスモデルであると言えるだろう。
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